ドライブレコーダーといえば、乗車中のトラブルの際に役立つツールというイメージだろう。国土交通省の調べでは、ドライブレコーダーの認知度はほぼ100%であり、自家用車を保有している人でドライブレコーダーを搭載している割合は45.9%だったとのこと。
ドライブレコーダーが普及する一方で、2020年6月12日公布の改正個人情報保護法で長期間の保存を行わない個人情報についても開示請求や利用停止請求に応じる義務が発生することとなり、事業者の負担は増している。
そんななか、東大発AIベンチャーであるTRUST SMITH株式会社は、筑波大学大学院の坂本航太郎氏らが考案した「ドライブレコーダー映像から個人情報を取り除くAI」(以下、同AI)の開発に成功。これにより、ドライブレコーダー映像の汎用的な使用が可能になりそうだ。
個人情報を自動で消す
同AIは、ドライブレコーダーの映像から個人の顔や表札、車のナンバープレートといった個人情報を自動検出し、該当箇所をモザイクのように自動で消し込むことが可能。
これにより、その映像は「個人情報」ではなくなるため、改正個人情報保護法によって発生する開示請求や利用停止請求に応じる義務を負わなくてすむ。
この義務を負うと、個人情報取り扱いコストの増大につながるため、事業者にとって同AIはコスト削減の面で大きな役割をもつだろう。
事故発生の予測も可能に!?
同AIの映像処理の特徴として、オンプレミスでの処理が可能という点が挙げられる。クラウドサービスなど外部サーバーでの処理が一般的な映像処理技術を自社で実行できるため、リアルタイムな処理ができるというのがポイントだ。
また、ドライブレコーダーの映像には複数の人や車などが写り込んでいることが多いが、同AIはそういった映像であっても高速かつ高精度で処理することが可能だという。
同AIが普及すれば、プライバシー保護の観点から使用が制限されていたさまざまな場面においてもドライブレコーダーの映像の取得が可能となるだろう。
同社はこれまで、自動搬送ロボットの開発や障害物回避型アームのアルゴリズム開発、関連会社の設立などスマートファクトリー実現に向け事業を展開してきた。そのなかで、2020年6月には自動搬送トラックの開発を開始するなど、モビリティ分野での技術開発にも注力している。
そんな同社は、今後モビリティの分野において、同AIの重要性が一層高まると推察しているようだ。ドライブレコーダーの映像を交通事故の証拠として使用するだけでなく、交通事故データを継続的に取得・蓄積することで、交通事故の原因の識別や発生確率の予測が可能となるとの見解を示している。
- Original:https://techable.jp/archives/136738
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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