商業用、住宅用、産業用の顧客5000万超を抱えるドイツのエネルギー企業E.ON(エーオン)は、「資産を持たない」テックスタートアップに投資するための2億5000万ユーロ(約310億円)の投資ファンドFuture Energy Venturesを新たに組成した。
公共サービスはエネルギー発生ソースの脱炭素化に移行していて、分散がかなり進んでいるソースから得られる電力を調整、統合、管理できるさまざまなテック企業にアピールする必要があることを認識しつつある。住宅や事業所に送る電気を発電するために大型の石炭プラントや天然ガスプラントに頼っていた、世紀の価値があるエネルギーインフラからの移行だ。E.ON幹部によると、アーリーステージの企業によって開発されているさまざまな新しいテクノロジーの導入を必要とする変化だ。
E.ONで長らく幹部を務めているInes Bergmann-Nolting(イネス・バーグマン-ノルティンク)氏とJan Lozek(ジャン・ローゼック)氏の2人が新ファンドをリードする。両氏はすでにE.ONの資金をアーリーステージ企業に投資している。実際、Future Energy VenturesはBidgely、Holobuilder、Intertrust、Thermondo、T-Rexの5社をポートフォリオに抱えて組成された。
企業に直接投資するのではなくベンチャーファンドを組成するという動きは、ポートフォリオにある企業によって開発されているテクノロジーを商業展開できる投資パートナー間でコンソーシアムを結成することが可能であることを意味する、とローゼック氏は述べた。
「世界の最も優れている企業に投資するために、我々はより多くの資本やパートナーを必要としています。だからこそ、他のパートナーを取り込める構造にしたのです」。
スタートアップが必要とするネットワークと、ベンチャーキャピタルの従来モデルの間の断絶をE.ONは目の当たりにしている、とローゼック氏は話した。E.ONのような大手産業パートナーは投資をするだけでなく、あらゆる商業・産業顧客を紹介したり、新たなテクノロジーを実用化するのにスタートアップをサポートする当局へのアクセスを提供できる。
「企業は成功するのに資金以上のものを必要としています」とFuture Energy Venturesでマネージングパートナーを務めるバーグマン-ノルティンク氏は声明で述べた。「コラボレーション、メンタリング、そして大規模展開するのを手伝ってくれる他の組織と提携する機会を必要としているのです。ダイナミックでイノベーティブなスタートアップ、E.ON、関係会社、増えつつあるパートナーが協業することで積極的に価値を生み出すこと、そして互いの財政や戦略的メリットに大きな大きな影響を与えることを模索しています。可能性のあるユースケースかどうかが投資の決め手となり、E.ONやポートフォリオ企業で組織的に展開するためのエコシステムの中で、試験事業やユースケースの展開をサポートすることを目的としています」。
ローゼック氏によると、Future Energy Venturesがディールをリードし、支援する企業の持ち分最大10%を取得する。同社は欧州、米国(主にシリコンバレー)、イスラエルにフォーカスし、3つの分野のテクノロジーに取り組んでいる資産を持たない企業を支援することにしている。
3つの分野について、ローゼック氏は「未来のエネルギー」あるいは既存のエネルギーインフラを統合する相互連結システム、エネルギーインフラを都市環境に統合するクラウドシティ、新たな機械学習モデルや増大しつつあるデジタル資産を保護するための新たなサイバーセキュリティテクノロジーといった最先端の技術、と定義している。
カテゴリー:Enviro Tech
タグ:E.ON、ドイツ、Future Energy Ventures
画像クレジット: piranka / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/10/12/2020-10-08-german-energy-company-e-on-forms-eur250-million-venture-fund-focused-on-smart-grid-tech/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Jonathan Shieber
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