テント泊でのキャンプでは必須アイテムの「シングルバーナー」ですが、釣りのフィールドでも大活躍します。潮待ちでの休憩にお湯を沸かして熱いコーヒーを味わったり、ミニ鉄板と現地スーパーで調達した食材で、仲間とプチBBQを楽しんだり。また夜釣りや雨に濡れた場面では、お湯を沸かして熱々のラーメンが冷えた体を温めてくれます。
そこで、釣りのフィールドで使いやすい、腹ぺこ釣り師たちを救うシングルバーナーをご紹介します。今回は、筆者が長く使っているSOTOのシングルバーナーを3つピックアップ。使用シーン別の使い分けなども合わせ、その魅力をお伝えします。
■汎用性が高く安定感抜群!
SOTO
レギュレーターストーブ ST-310
価格:5800円
熱源:CB缶
SOTOのシングルバーナーの中でも、汎用性と安定感の高さが魅力なのが「レギュレーターストーブ ST-310」です。
熱源は鍋料理でもおなじみのCB缶=カセットボンベ。シングルバーナーの横にCB缶を接続して一体化させて使用します。CB缶が着地面積を広げながら、全体に重心が低いので非常に安定性が高いアイテムです。
▲カバーを付けても、手のひら大サイズまでスタッキング可能!
CB缶のメリットは1本100円ほどという安さと、どこでも入手できること。万が一、現地で「あ、ガスなくなってた…」という状況になっても、コンビニやスーパーで調達が容易なんです。
一方でCB缶にはデメリットも。寒さに弱く、缶の温度が低くなると内圧が下がって火力が不安定になってしまう点です。この「ドロップダウン現象」は、外気温が低くなくても、連続使用によっても起こります。
しかし、ST-310は「マイクロレギュレーター」と呼ばれる機構が搭載されており、このデメリットを克服。ボンベの内圧が下がっても、スプリングを備えたマイクロレギュレーターの調節弁が圧力変化に応じてガス量を調節し、安定した火力を継続できるのです。
CB缶の弱点を克服し、コスパが抜群のシングルバーナーだから、春夏秋冬、朝晩と年中釣りに出かけるアングラーには、外気温を選ばず使える優れものといえます。
直径19cmまでの鍋が使える大きなゴトクがあり、調理中も安定感抜群。そのため釣りだけでなく、家族でのキャンプに持って行き、サブバーナーとしてお湯を沸かしたり、別鍋で一品作ったりするのにも使用しています。
お気に入りの使い方としては、小型の鉄板をのせての「釣り場焼肉」。地元のスーパーで食べたい肉を1パック買っておいて、ジュージュー焼けばどこでも最高の焼き具合の、旨い焼肉を楽しめます。筆者が愛用するのは「ヨコザワテッパン」というミニ鉄板。
5mmの分厚い鋼鉄でできており、しっかり蓄熱できるので厚めの肉も安定した熱量で加熱できます。焼きおにぎりなんかもおすすめ。1kgとやたらと重い点だけガマンいただければ…片付けはラクですし、なにより焼いた肉の旨さを知ってしまったら、後戻りできませんよ!
オプションパーツが多いのも特徴的。単体だとさほど大きくないのですが、ケースに入れるとそこそこ大きくなることや、ヨコザワテッパンとともに使うことが多いため、クルマでアクセスできる釣り場に持ち込むことが多いです。
■超コンパクトだから山岳渓流、トレッキングなどにも最適
SOTO
マイクロレギュレーターストーブ SOD-300S
熱源:OD缶(アウトドア缶)
こちらもSOTOが誇るマイクロレギュレーターシステムを備え、外気温が氷点下になっても安定した火力を保つ、ハイスペックのシングルバーナー。海外の有力アウトドア誌が選ぶ賞などを数多く受賞していることからもわかるように、エクストリームな現場でその信頼性を評価されている、日本が誇るアウトドアギアです。
本体がとにかくコンパクト! 本体重量はわずか73gで収納時は手のひら半分サイズほどに。この抜群のコンパクトさゆえに、電車&自転車釣行、歩きで向かう渓流や地磯など、バックパックを抱えて行くようなときに持参しています。
ちなみに10年以上使っていますが故障がまったくなく、しっかり点火。このタフさも魅力的。熱源はOD缶で、メリットは寒さに強いこと。低温下でも火力が安定しています。デメリットは、CB缶よりもやや価格が高い点と、コンビニやスーパーなどでは入手できないので、調達がやや面倒…。
そしてガマンのしどころは、横風への弱さでしょうか。SOD-300Sのバーナーヘッドはドーム形状で鍋底に均等に炎を広げるのですが、火口が風に対してむきだしになるため、どうしても横風に弱いのです。なので素で使うのが心配な方は、純正オプションのウインドスクリーンSOD-451(別売)でフォローしたいところです。
ちなみにこの点を改良したSOTO製のシングルバーナーとしては、某アニメでも有名になった「アミカス」や、「ウインドマスター」などもあります。いずれもバーナーヘッドがすり鉢状になっており、横風に強いです。ただし、炎が鍋の底に集中する形になるため、強火調理した際に鍋が焦げやすくなるというのがデメリット。
このあたり、ギア選びではよくある細かい機能のトレードオフで悩ましいところ。迷ったときは「どこに心地よさを感じるか」をポイントにするようにしています。筆者の場合はとにかくコンパクトさによる使い勝手の良さを最大限に評価し「SOD-300S」を使い続けています。
■ブック型の薄型収納でタックルボックスにも入れやすい!
SOTO
G-ストーブ ST-320
熱源:CB缶(カセットボンベ)
あまり見られないユニークなブック型のシングルバーナーです。利点は、低重心による抜群の安定性と、薄型ケースに収納されたタフさ。バイクツーリングをする方にも人気です。
またコスパの良いCB缶と直接接続しながらも、熱が直接当たらない設計で、鉄板などをのせても輻射板いらずで調理が可能。
カセットガスが現地調達できるので、これだけ持って国内外での遠征に持ち運びしています。そのためタックルボックスや遠征バッグの端っこに入れっぱなしになっていることも。四角い薄型ケースなので、道具の中に整理して入れやすいことも利点です。
このようにケースの中にメカメカしくスタッキング可能。その反面、バーナーの組み立てとガスの接続方法がやや複雑でひと癖ありますので、やや玄人向けかもしれません。
寒い時期や夜釣りの際に、釣り場で食べる熱々のラーメンは最高です。釣れなくて心が折れそうでも、シングルバーナーがひとつあれば、釣りの楽しみをまた違う確度で広げてくれますよ!
<取材・文/ナオ・サクライ>
ナオ・サクライ|子供のころ、九州で渓流から海まで、さまざまな釣りを経験したのち上京。学生時代から東京湾奥のシーバス釣りにハマったのを皮切りに、ありとあらゆる海のルアー釣りへとのめり込み、離島のショアGTや怪魚釣りなど、エクストリームな釣りを経験。現在のメインの釣りモノは、タイラバで釣るマダイ。
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