Twitchが自社の不品行を指摘されたことを受け、ヘイトコンテンツとハラスメントを規制するポリシーを改定

今年、有害な職場や嫌がらせが多数報告されたことを受けて、Twitch(ツイッチ)は、ストリーマーコミュニティに対しヘイトコンテンツやハラスメントを規制する新しいポリシーを導入すると発表した。このポリシーは2021年1月22日から施行される。ツイッチのセーフティーチームは、この新しいガイドラインに基づき、ポリシーに違反している可能性のあるコンテンツの評価方法を変更する。同社によると、今後は、ストリーマーの文言や行為の意図よりも、コンテンツ自体とコンテンツが及ぼす影響のほうをより重視していくという。また、ヘイト行為やハラスメント(セクシャルハラスメントを含む)に関するガイドラインを拡張、明確化、強化するという(セクシャルハラスメントについては今回から独自のセクションが設けられた)。

新しいポリシーについて詳細に説明したブログ記事でも触れられているとおり、「言葉や行為は、人を傷つけたり害を及ぼしたりする意図がなくても、意味を持ち影響を及ばす」。

ツイッチは、ストリーマーとハラスメントのターゲットになっている人が起こったことを苦にしていない場合でも、ツイッチコミュニティ内の他の誰かが苦にしているかもしれない、と説明する。つまり今後は、ストリーマーの行為を、その意図のみに基づいて評価するのではなく、その行為が他者を虐待するものでガイドラインに違反しているかどうかという観点から評価することになる。

また、罰則措置を取るかどうかを決定する際には、他の要因も考慮するという。たとえば、ターゲットとなったユーザーまたはモデレーションチームからの報告、チャンネルタイムアウトや発言禁止など、その行為が嫌がられていることを示す指標などが考慮される。

また、新しいポリシーでは、特定の行為がハラスメントとみなされ禁止されることがより明確に記載されている。たとえば、十分に裏付けのある暴力的悲劇の餌食となるのは、クライシスアクターだと主張している。つまり、嘘をつく行為のほか、別の人にDDoS攻撃、ハック、ドキシング(他人の個人情報をインターネット上にさらすこと)、スワッティングを行うよう他者を仕向ける、別の人のソーシャルメディアアカウントを悪意をもって急襲するようあおるといった行為だ。つまりプラットフォーム外の行為であっても新しいガイドラインの適用範囲に含められることになる。

また、「カースト」、「肌の色」、「移民ステータス」が、ヘイトコンテンツかどうか判断するために使用するアイデンティティー特徴リストに追加される。このリストには、保護対象となる特徴として、人種、民族、国籍、宗教、性別、ジェンダー、ジェンダー・アイデンティティー、性的指向、身体障害、重度の病状、退役軍人ステータスなどがすでに含まれている。

ツイッチではヘイトスピーチとヘイトシンボルはすでに禁止されているが、今回のガイドラインでは、ヘイトグループ、ヘイトグループのメンバーであること、ヘイトグループのプロパガンダを共有することも明示的に禁止されている。また、「明示的に教育的なコンテキスト」で使う場合を除き、黒人/褐色人/黄色人/赤ら顔などの表現も禁止されている(これは新たに変更されたものではなく、文言がより明確になったという意味だという)。

別の注目すべき変更点として、歴史的かつ象徴的に奴隷制と米国の白人至上主義グループを連想させるという理由で、南部連合国旗が禁止されることになった点が挙げられる。

ハラスメントははっきり分からないことがあるため、新しいポリシーでは、テキストではなくエモートを使って不正行為と判定されるのを免れようとするさまざまな方法についても目を光らせている。改定されたポリシーでは、セーフティーチームが悪意のあるコンテンツをレビューしているときに、エモートの組み合わせ方も(たとえテキストが含まれていない場合でも)チェック対象となる。

また、セクシャルハラスメントに対する規制が手ぬるいというコミュニティからの批判を受けて、新しいポリシーでは、セクシャルハラスメントを独立したセクションに移し、女性を性的対象とみなす行為や嫌がらせ行為であると判断する基準を下げ、より厳しくしている。

セクシャルハラスメントに関する注目すべき変更点として、女性の魅力について繰り返し言及することも、たとえ褒め言葉であったとしても、相手から不快であると示唆された場合(発言者がすでに発言停止、タイムアウト、チャンネル入室禁止などの措置を受けている場合)には、セクハラ行為とみなされるようになった点が挙げられる。また、誰か(著名人も含む)の性的特徴や容貌についてわいせつな発言や明示的な発言をすることも禁止される。相手が要求していないヌード画像やビデオのリンクを送信することも禁止される。

ツイッチによると、新しいポリシーを施行する前に、近々3回のライブセッションを別々の日に開催して、クリエーターたちにさまざまな変更点を案内し、質問する機会も与えるという。セッションの内容は後でオンデマンドで観ることもできる。1回目は12月11日午前10時からCreatorCampで、2回目は12月16日午前10時から/twitch上セッションで、最後は2021年1月1日正午から/CreatorCamp上セッションで開催する。

ツイッチはさまざまな禁止行為に課せられる罰則規定については必ずしも変更するつもりはないようだ。ただし、新しいポリシーはより詳細に記述されているため、違反の重大度に合わせて罰則措置を適切なレベルに調整できると考えているという。たとえば、軽度の違反であれば警告か短期の利用停止、重度の違反行為であれば初犯であっても無期限利用停止にするといった具合だ。

ブロクの記事ではポリシーの実施に関する質問にも回答している。たとえば、古いコンテンツの扱いはどうなるのか、報告が提出されていないのハラスメントの処理はどうするのか、といったことだ(新しいポリシーは、1月22日以降に作成された新しいコンテンツにのみ適用される。ツイッチが措置を講じるには誰かからの報告が必要だ。というのは、冗談を言い合ったり相手をからかったりすることが許される状況でユーザーを罰するのを避けたいからだ)。

もちろん、ツイッチがこの新しいガイドラインをどの程度適切に実施できるのかについては多くの人が疑問に思うかもしれない。ツイッチという会社自体、その企業文化が、有害で虐待的であるとして最近指摘されたからだ。

ツイッチの現社員や前社員からの報告には、ツイッチの幹部やスタッフが、職場と広範なツイッチコミュニティの両方で、性差別、人種差別、ハラスメント、その他の不正行為を実際に行っていたか無視していたと書かれている。こうした話を聞くと、男性が女性ストリーマーを「おっぱいストリーマー」と呼んだり、同僚の女性社員を暴行したりすると言われているような会社が、果たしてセクシャルハラスメントポリシーを適切に実施できるだろうかという疑問が湧いてくる。ツイッチでは、男性社員が女性の同僚にCワードを発したりツバを吐いたりすると、女性社員はマネージャーに「一体君は何をやったのかね」と聞かれる、とある報告には書かれている。また、多くの女性が、痴漢行為、強制的なキス、不快なマッサージなど、職場で受けた性的暴力について説明している

ツイッチには、他の領域でも選択を誤った前歴がある。Gamesindustry.bizの報告によると、Black Lives Matterを支持するビデオを特集しておきながら黒人ストリーマーには1行しかしゃべらせないとか、プライド・セレブレーション(サンフランシスコで毎年ゲイやAIDS患者の人権を訴えて開催される祭)ビデオで”G”は”gamer”(ゲーマー)の略語でもあると言ってみたり、ヒスパニック文化遺産月間でユーザーがソンブレロやマラカスをエモートに追加できるようにするなど、いろいろと物議を醸している。

同社によると、ポリシーの改定は今年始めから行われていたものだが、性的不品行に関する疑惑も含め最近のコミュニティとの対話は、変化の証だ。

今年始め、ツイッチのCEO Emmett Shear(エミット・シアー)氏は、この件については広く人々の声を聞いてきたし、会社は変わることを目指しているとする社員へのメモを公開した。このポリシーはその第一歩だが、ツイッチには証明すべきことがまだたくさん残されている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Twitch 

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(翻訳:Dragonfly)


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