AI(人工知能)は、様々な産業分野で実力を発揮し始めている。それは農業でも例外ではない。例えば(株)トーヨーホールディングスのプロジェクトチームが昨年開発した、AI生育状況管理システムだ。
栽培中のレタスから育成不良の苗を見つけ出すのが、このAIシステム。当初はどの程度使い物になるか疑問だったが、実際に水耕栽培農園で2ヶ月試用したところ、なんと不良苗の検出精度97%、ほぼ完璧と言える仕事をこなすことがわかった。
学習したAIがレタスの外見から判断
レタスの水耕栽培は比較的管理が楽と言われているが、それでも、水の供給量やそこに混ぜる肥料の量などを、適切に調整しないとうまく育たない。
発育不良の苗があった場合、通常は経験を積んだ人がレタス棚の間を歩き回り、目視で見つけ出し、育成条件を変えて育つようにしてやっている。
AI生育状況管理システムは、この人の目と脳の代わりになるものだ。歩き回る人の代わりに、カメラ(を搭載したユニット)が自動で巡回する。ずらりと並んだレタスの映像が撮影され、クラウド上のAIに送られる。
このAIはすでに、良苗・不良苗の見た目の違いを学習済み。送られた多くのレタスの画像を瞬時にチェックして、不良苗を発見し、使用者のコンピューターに通知を出す。
発見の精度は97%と発表されている。熟練者でさえ見落としがあることを考えると、このAIの仕事ぶりは素晴らしいと言っていいだろう。
農業の少子高齢化に対応
少子高齢化が顕著な農業の現場では、人手不足が深刻化している。また、レタス水耕栽培をはじめとした施設園芸(ハウス栽培)では、熟練者の持つノウハウが若手に継承されていかないことが発展を阻害しているとも言われる。
AI生育状況管理システムは、こうした問題を解決するために開発された。現在は発育不良の苗を見つけるだけだが、近い将来、病害を検知したり、収穫に最適な時期を予測したりする機能が追加される予定だ。
- Original:https://techable.jp/archives/147436
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:信人安谷
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