複数の事業体を運営する中堅企業向け財務管理ソフトウェアのAccountsIQが約7.4億円を調達

公認会計士のチームによって設立された財務管理ソフトウェア(FMS)のスタートアップであるAccountsIQは、580万ユーロ(約7億4000万円)の資金調達を行った(会計士が起業家になりたいと思った時には、スタートアップとはどんなものであるかを知っていたに違いない)。

ダブリンを拠点に、複数の事業体を運営する中堅企業を対象とするこの会社を支援しているのは、最近3番目のファンドを発表したばかりのフィンテックに特化したVC、Finch Capital(フィンチ・キャピタル)だ。AccountsIQによると、今回の資金注入は、成長の加速と、製品強化を継続するための営業・マーケティング、カスタマーサクセス、エンジニアリング全般にわたる雇用に充てられるという。

2008年にダブリンで創業したAccountsIQが手がけるクラウドベースのFMSは、複数の事業で「決算の把握、処理、報告」を簡素化することを目的としている。これには子会社、支店、SPV、フランチャイズモデルなどを介して拡大している企業が含まれるが、中でも異なる場所、通貨、管轄区域で取引を行っている企業が主な顧客だ。このアイデアはXero(ゼロ)、QuickBooks(クイックブックス)、Sage(セージ)のようなローエンド製品と、NetSuite(ネットスイート)、Intacct(インタクト)、SAPのようなハイエンドで高価な製品との間に存在する市場のギャップを埋めるものだと、AccountsIQは述べている。

「クラウド以前は、マルチエンティティビジネスの財務管理は困難であり、各事業体がアカウントを作成し、レビューや分析のために一元的に送らなければなりませんでした」と、AccountsIQ共同設立者のTony Connolly(トニー・コノリー)氏は説明する。「当社のクラウドソリューションは、すべての事業体が同時にアクセスし、本社や経理担当者と協力して、それぞれの取引を処理することができます。同時にグループの基準通貨で決算を完全に統合することによって、グループ全体の決算をボタン1つで簡単に中央に報告し、ベンチマーキングできるようになります」。

この「真実の一本化」を可能にするために、AccountsIQは、サブグループ、複数通貨の再評価、企業間取引など、さまざまな複雑な報告に対応できるように設計されている。

このソフトウェアはまた、「人工知能」とオープンAPI戦略を採用し、銀行口座の自動同期、電子決済の生成、電子請求書の自動投稿、フロントエンドシステムとスマートフォンを介した経費の取り込みや簡単な承認ワークフローの統合を実現していると主張する。現在統合されているのは、TransferMate Global Payments(トランスファーメイト・グローバル・ペイメンツ)、TINK(ティンク)、BrightPay(ブライトペイ)、Kefron AP、Chaser(チェイサー)、Concur(コンカー)、Salesforce(セールスフォース)、各種ISAM(アイサム)などだ。

現在までにAccountsIQのソフトウェアは、非営利団体から銀行まで、さまざまな業界の4000社で使用されており、顧客にはPwC(プライス・ウォーターハウス・クーパース)、Linesight Global Construction Group(ラインサイト・グローバル・コンストラクション・グループ)、Asavie Technologies(アサヴィ・テクノロジーズ)、Throgmorton(スログモートン)などの企業がいる。コノリー氏によると、このスタートアップがターゲットとする顧客は、複数の事業体が関与しており、各事業体を個別に会計処理する必要があるが、一元的に管理したい企業だという。国境を越えた電子商取引の加速と、英国のEU離脱のようなマクロな出来事により、その顧客プロファイルは明らかに拡大している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AccountsIQ資金調達人工知能

画像クレジット:Khali Ackford / AccountsIQ

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)


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