フラウンホーファーがAIで食品ロスを削減する!

ドイツでの食糧廃棄は毎年約1200万トンにのぼり、その約52%が家庭で、約30%が製造/加工で、約18%が卸売り/小売りで発生しているとのこと。食品流通の各段階で発生する食糧廃棄を削減すべく、フラウンホーファー鋳造・混合・加工技術研究所(IGCV)は、AIに重点を置いたプロジェクトに取り組んでいる。

「REIF(Resource-efficient Intelligent Foodchain:資源効率の高いインテリジェント食品チェーン)」プロジェクトでは、AIを使用して食品ロスにつながる多様な課題を解決する。

各アプリケーションに適したAIで食品ロスを図る

チームは食糧廃棄の要因に応じて、これを防ぐ手立てを講じようとしている。農場から工場、スーパーマーケットに至るまで、すべての領域についてAIで予測やコントロールができる要素を検討し、ポテンシャルを最適化するのだという。

品質に関連した食品ロスを削減する取り組みでは、いたむのが早く廃棄につながりやすい乳製品、肉製品、ベーカリー製品に注力。AIを使用して製造段階から改善を図っている。

例えば、肉製品の有効期限に影響を与える混合工程で、AIを使用して投入エネルギー量を抑える(混合の温度および時間の短縮)ことで有効期限の延長に。ひいては食品ロス削減につなげられるとのこと。

ふんだんなデータを活用して動的に価格調整

将来的には、REIFプロジェクトに関与するパートナーのITエコシステムを確立。プラットフォームの参加者は実装したAIアルゴリズムが利用できるほか、すべてのデータをネットワーク化して予測システムの精度向上につなげる。

例えば、顧客の行動、在庫量、有効期限といったさまざまなデータを用いた予測から、動的な価格調整が可能に。毎日行われる継続的な価格調整は食糧廃棄だけでなく、有効期限切れ直前に実施される極端な値下げを回避して、小売業者および顧客の利益を最大化する。また売上予測の精度が向上することで、製造プロセスがより適切にコントロールできて過剰製造が防げる。

REIFプロジェクトは現在、パートナー構想段階にあり、最初の実地試験がまもなく開始される予定だ。

参照元:Artificial intelligence for reducing food waste/ Fraunhofer Institute

(文・山田洋路)


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