地理情報システム(GIS)、マッピング、空間分析最大手のEsriは、米国時間4月6日に(バーチャル)デベロッパーサミットを開催した。予想どおり、イベントでは新たなデザインシステムとJavaScript APIの改訂からArcGIS EnterpriseをKubernetes(クバネティス)のコンテナで動作させるサポートまでさまざまな発表が行われた。
Kubernetesプロジェクトは同社にとって大きな事業だったと、とプロジェクトマネジャーのTrevor Seaton(トレバー・シートン)氏とPhilip Heede(フィリップ・ヒーデ)氏が私に話した。多くの類似製品と同じく、ArcGISは伝統的に物理的なコンピューターかバーチャルマシン、あるいはクラウドでホストされたVM上にインストールするように作られていた。そしてエンドユーザーにとってはソフトウェアがどこで動いているかは関係ないが、アプリケーションのコンテナ化は企業がシステム規模を必要に応じて拡大縮小するのがはるかに簡単になることを意味している。
「私たちの顧客の多く、特に大規模な顧客の中には、非常に複雑な問題を処理しているところがたくさんあります」とシートン氏は説明する。「そして、それが予測不可能なこともあります。季節性のイベントやビジネスイベントや経済イベントに対応することもあり、そのためには世界で何が起きているかを理解する必要があるだけではなく、ArcGISを設置したシステムに関する質問をする多くのユーザーに対応しなくてはなりません。そしてその予測不可能な需要は、Kubernetesの重要な利点の1つです」。
開発チームは楽な道を選んで既存ツールをラッパーに入れてコンテナ化することもできたが、Esriはこの機会にツールを再構築してマイクロサービスに分解した、とシートン氏は説明した。
「しばらく時間がかかりました、なぜならArcGIS Enterprizeを構成している3つか4つの大規模アプリケーションを扱うからです」と彼は言った。「これらを数多くのマイクロサービスに分解します。そうすることで特定のサービスをコンテナ化することが可能になり、管理者にとって複雑にすることなくシステムの供給力と回復力を高めることができるようになりました。実際、複雑さを取り除いた結果、インストールは1つのデプロイスクリプトでできます」。
Kubernetesは多くの管理業務を簡易化するが、ArcGISを使っている多くの企業はまだKubernetesをよく知らない。そしてシートン氏とヒーデ氏が指摘するように、同社はこのプラットフォームの利用を誰にも強制していない。今後もWindowsとLinuxを今までどおりサポートする。またヒーデ氏は、ArcGISのように複雑な統合システムを、顧客が自社インフラで実行できるマイクロサービスと複数コンテナの形で提供していることは今も珍しいことであり、この業界では特にそうだと強調した。
Kubernetesサポートに加えて、この日Esriは新しいJavaScript APIを発表した。デベロッパーはEsriのサーバーサイドテクノロジーとクライアントサイドで分析の大部分を行うスケーラビリティを組み合わせたアプリケーションを作れるようになる。かつてEsriは、Microsoft(マイクロソフト)のSilverlight(シルバーライト)やAdobe / Apache Flexなどのツールをサポートして、高度なウェブベースアプリケーションを作れるようにしていた。「今私たちは、単一のウェブ開発技術とその周辺のツール群に専念しています」とEsriのプロダクトマネージャーであるJulie Powell(ジュリー・パウエル)氏が私に言った。
2021年4月、Esriはデベロッパーが簡潔で一貫性のあるユーザーインターフェースを簡単迅速に作ることのできる新しいデザインシステムの公開を計画している。そのデザインシステムは4月22日に公開予定だが、同社は今日すでに部分的に紹介している。パウエル氏によると、Esriにとって困難だったのは、このデザインシステムは同社パートナーが、ArcGISエコシステムから作ったマップとデータの上に独自のスタイルとブランディングを載せられるようにする必要があることだった。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Esri、Kubernetes
画像クレジット:Esri
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook )
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/04/07/2021-04-06-esri-brings-its-flagship-arcgis-platform-to-kubernetes/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Frederic Lardinois,Nobuo Takahashi
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