スティーブ・ジョブズ氏とともにAppleの創業者として知られるスティーブ・ウォズニアック氏が、エンジニア技術を教える専門学校設立のアイデアを盗んだとして、100万ドル(約1億1,000万円)の訴訟を起こされていることが分かりました。
学校のアイデアが盗まれた?
スティーブ・ウォズニアック氏を訴えたのは、米コネチカット州のハートフォード大学で教鞭を執るラルフ・ライリー教授です。2010年にライリー教授はウォズニアック氏と“テック大学”を創設することに合意、2011年には写真撮影会で契約を取り交わしたにもかかわらず、その後ウォズニアック氏が同じアイデアで別事業を立ち上げてしまったそうです。
ウォズニアック氏が広告塔となり、大人にエンジニアとしての技術的スキルを教えるというアイデアは珍しくもなさそうですが、ともかく彼がコード学習企業のCoder Campsと連携し「Woz U」という教育プラットフォームを立ち上げたことに不信感をいだいたライリー教授は、ウォズニアック氏に「私が思い描いていたWoz Institute of Technologyそのものだ」「自分もこのベンチャー事業に参加したい」と連絡を取りました。
これに対し、ウォズニアック氏は「全くそのとおりだ」と答え、「君のアイデアは正しかった。このアイデアなければ、今回のプロジェクトは実現しなかっただろう!」と返信してきたそうです。しかし、ライリー教授がプロジェクトの所有権は自分にも一部あるのではないかと迫ると、ウォズニアック氏からの返事は途絶えました。
ライリー教授の計画は頓挫
この騒動を詳しく追ったレポートによれば、ライリー教授がウォズニアック氏から、四半期ごとの引き換えに名前と画像を使用する権利を取得したことは事実のようです。裁判所に提出された契約書の画像には、ウォズニアック氏本人の署名がはっきりと記載されていました(ウォズニアック氏本人は署名について覚えていないと主張したが、自分の署名であることは認めました)。
しかしその後、Woz Institute of Technologyは立ち上げに失敗し、最終的に計画は頓挫します。ウォズニアック氏側はライリー教授と距離を置くようになり、2013年に教授がWebサイトを立ち上げると、ウォズニアック氏のマネージャーからサイトの削除と、彼と直接連絡を取らないよう通告が来たそうです。
「金銭とは距離を置きたい」
ライリー教授はこのWebサイトの著作権保護を取得していたため、最終的に知的財産権の盗用と著作権侵害の疑いでウォズニアック氏に対して100万ドルの訴訟を起こしました。
一方でウォズニアック氏側はライリー教授と最終的な合意に至っておらず、写真撮影会での握手もファンとの交流の範疇に過ぎないと否定、契約交渉もウォズニアック氏本人の独断で決められるものではないと反論しています。裁判所もこの点ではウォズニアック氏の言い分を認め、契約違反だとするライリー教授の訴えを棄却しています。
ウォズニアック氏は裁判所に提出した書類の中で「私が人生で避けていることの一つは、金銭に関することだ。銀行にいくら入っているのかも分からない」と述べていますが、この発言ひとつとっても、彼が根っからのエンジニアであり、ビジネスを立ち上げて大儲けするのに強い関心がないことが分かるでしょう。こうした彼の人の良さが、今回は悪い方向に転がってしまったのだと思わずにはいられません。
Source:Business Insider,Gizmodo
Photo:Flickr-Gage Skidmore
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-371463/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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