パンデミック後に向けバーチャルコンサートのプラットフォームを構築するFlymachineが約23億円調達

コンサートやライブイベントが対面の世界に戻ってきたとき、ハイテク業界の多くの人は、パンデミック時代に存在したイベントのバーチャル化の機会が当面失われてしまうのではないかと考えている。

サンフランシスコを拠点とするFlymachine(フライマシーン)は、デジタル音楽業界の聖杯を求めて、ライブコンサートやパフォーマンスの魔法をライブストリーミングで実現する方法を探している。同社は、ビデオチャットで交流するというパンデミック時代の消費者の習慣と、デジタルの多様化を必要としている業界とを組み合わせることで、自社のバーチャルコンサートを音楽ファンの生活に浸透させたいと考えている。

このスタートアップの野望は安くはない。同社はTechCrunchに、計画を推進するために2100万ドル(約23億円)の資金を投資家から調達したと話した。この資金調達はGreycroft PartnersとSignalFireが主導し、Primary Venture Partners、Contour Venture Partners、Red Sea Ventures、Silicon Valley Bankが参加した。

バーチャルコンサート業界では、一部の人々が期待したほどには、ロックダウン(都市封鎖)から大きな恩恵を受ける瞬間はなかった。Spotifyはバーチャルイベントの実験を行った。一方、Waveのようなスタートアップは、VCから多額の資金を調達し、本物のパフォーマーをデジタルアバターに変えて、よりデジタルネイティブなコンサートを実現しようとしていた。アーティストの中には、Zoomでのライブを受け入れたり、Odaのようなライブコンサートのサブスクリプションを提供するスタートアップと一緒に活動する人もいたが、大物アーティストのメインストリームでのヒット作はほとんどなかった。

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Flymachineブランドのバーチャルコンサートを実現するために、同社は「生」のライブに参加する人々をバーチャルな参加者に変えようとしているのではなく、通常はライブをスキップしなければならない人々に魅力的な体験を提供したいと考えている。そのバーチャル参加者が、会場から遠すぎたり、ベビーシッターを確保できなかったり、(ライブでの盛り上がりでファン同士がぶつかり合う)モッシュピットに興味がなかったりしても、Flymachineは同社が作る「バブル」に参加する人が十分に存在していると期待している。同社は「夜を家で楽しむことと、外で楽しむこと」の境界線を曖昧にしようとしているからだ、とCEOのAndrew Dreskin(アンドリュー・ドレスキン)氏は語った。

Flymachineの戦略は、ニューヨークのBowery Ballroom、サンフランシスコのBimbo’s 365 Club、シアトルのThe Crocodile、ナッシュビルのMarathon Music Works、ロサンゼルスのTeragram Ballroomなど、米国内の有名なコンサート会場とのパートナーシップを構築し、そうした会場で行われるショーの一部を家庭の視聴者向けにライブストリーミングすることを中心に据えている。同社のチームは音楽業界に深く根ざしている。ドレスキン氏はTicketfly(Pandoraが買収)を創業した。共同創業者のRick Farman(リック・ファルマン)氏はBonnarooやOutside Landsなどの音楽フェスティバルを開催するSuperflyの共同創業者でもある。

画像クレジット:Flymachine

実体験に関して言えば、筆者は本稿執筆前にショーの1つ(上の写真)を体験する機会があった。Flymachineは、近くにいる仲間と曲に合わせて大声でシャウトするという体験を非常にうまく再現した。同社の世界では、これは「プライベートルーム」でショーに参加し、他の友人たちが自宅からビデオチャットバブルでライブストリーミングを行う形となる。これがよくできていて、実際のコンサートからあまり気が散らないようになっているが、いざというときには友達や音楽の音量を調整することができる。

多くの米国人がワクチンを接種し、コンサート来場者の多くが通常の生活に戻る準備をしていることを踏まえると、Flymachineのプラットフォームの登場が2021年初めになったことが、時機を逸する結果になったと思われるかもしれない。だが、創業チームは新型コロナによって更に可能性が高まった長期的な機会を見据えている。

「人々が家に閉じこもっている間に、私たちのプロダクトを売り出そうと躍起になっていたわけではありません。私たちのプロダクトが今後の社会の基盤となると知っていたからです」とドレスキン氏はTechCrunchに語った。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:バーチャルイベントFlymachine資金調達音楽ライブストリーミング

画像クレジット:FlyMachine

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi


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