ハサミとプライヤーのW主演!? 革新的なマルチツール、NEXTOOL「KT5022」

【男前マルチツールの世界】

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。

そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第15回は「NEXTOOL MINI FLAGSHIP KT5022」(4180円)です。

*  *  *

NEXTOOL(ネックスツール)は精緻でアイディアに溢れるマルチツールを作る気鋭のブランドです。また、姉妹ブランドのNEXTORCHには「GLOTOOB」(グローチューブ)という傑作パーソナルマーカーががあります。いずれの製品も、シンプルですが実用性の高さに定評があり、ギアマニアであればご存知かもしれません。

今回ご紹介するマルチツールはフラッグシップシリーズのコンパクトモデル「KT5022」になります。10種のツールを全長62mmのキーホルダーサイズに収めたモデルです。単に小さなマルチツールであればさほど興味を引かれませんでした。しかし、折りたたみ式ハンドルの内部に仕込まれたふたつのツールの存在に心が動かされました。

▲メインツールがふたつ!

通常、このタイプの小型マルチツールの場合、ハンドル内部に仕込まれたメインツールはプライヤーかハサミのどちらかです。

しかし! NEXTOOLは欲張りなことにその両方を搭載しました。これは画期的です。その手があったか〜と、初見で感嘆の声を上げたくなりました。

マルチツールのハンドルは2本であることが当たり前、という固定概念を吹き飛ばし、3本つけてしまった発想力! まさにイノベーションです。

▲ハンドルの太さに多少の違和感はありますが使用上全く問題なし

プライヤーとハサミを両方搭載したマルチツールはいくらでもあります。しかし、両ツールが同じサイズで、しかもスプリングを内蔵したリバウンド機能があるコンパクトサイズのアイテムは見たことがありません。

一般的にはプライヤーがメイン。ハサミはそれよりも小さく、他のツールと同じ「その他大勢」的なポジションです。頻繁に使うであろう「切る仕事担当」のハサミは、プライヤーに次ぐ準主役ナイフにその座を奪われ、おおよそ使いにくい場所に追いやられています。

しかし、このモデルでは輝く主役級のポジションにその姿を見ることができます。しかも、切れ味抜群! コンパクトサイズのハサミに関してはお世辞にも切れ味抜群なんて表現できるモデルは多くはありません。だからこそ、実際に使った時の切れ味に感動してしまったのかもしれません。フルサイズの普通のハサミと比べれば同程度ですが、十分実用に耐える切れ味と使い勝手があります。

▲内蔵スプリングのおかげで軽い力でサクサク切れる

板バネを使った小さなハサミは数多存在すれど、支点の内部にスプリングが仕込まれたこのサイズのハサミは珍しいと思います。バネが戻る力でサクサク切り進められるのが最大のメリットです。

また、ハンドル部分は数カ所肉抜きされています。軽量化の他、ハンドルを展開してツールを取り出す際、指先を引っ掛けやすくすることにも貢献しています。

▲シンプルなプライヤー部。先端部には縦溝はない

プライヤーも支点部分にスプリングを内蔵しています。プライヤーであれば、掴んだり放したりを頻繁に行うような作業に適しています。またスプリングの戻ろうとするテンションが何かを掴んで保持する時に役立ちます。

また、小さく脆いパーツを掴んでどこかに嵌める、そんなピンセットのような作業にも適しています。ただ、先端部に縦溝が設けられていないので若干滑りやすいように感じました。

そして針金を曲げたりねじったりを繰り返す作業には特に威力を発揮します。プライヤーはフルサイズと比べると小さいので、あまり太い針金や鋼線を曲げることには適していません。その代わり、細かな作業がしやすいというメリットはあると思います。

▲ちゃんと切れるワイヤーカッター

4000円ちょっとで買えるマルチツールのワイヤーカッターとしてはクオリティは高いですね。細いワイヤーや針金を切るには十分なものです。

▲刃渡り約44mmのナイフ

こちらはハンドルの外側に収納された小ぶりなナイフ。切れ味は良い。樹脂で覆われたブリスターパックのようなパッケージも簡単に切れました。

ロック機能は付いていませんが、使用上問題ありません。ただ、ハサミ側のハンドルを畳んだ状態だと展開し難いので、ハサミのハンドルを開いてから展開するのがベストかと思います。

ナイフを含むメインツール以外のツールはハンドルの外側にあるので、ハンドルを展開する必要がなく使いやすくなっています。

▲ヤスリ

ヤスリは爪とぎ用くらいの簡易なものですが、ちょっとしたものを削るには充分。先端部は比較的幅広のマイナスドライバーになっています。

▲プラスドライバー

各サブツールは折り畳んだ全長のわりに長め。プラスドライバーであれば、少し深いところにあるネジにも届きます。

▲缶切りとボトルオープナー

前が缶切りで後ろが栓抜き。缶切りはわりと使いやすいですね。ツールからハンドルに至るまでそのほとんどがステンレス製。丈夫で腐食しにくいので、日頃から鍵束などに付けておけば、必要な時に役立つツールとなる機能が充分に備わっています。

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実用的なツールを使いやすい位置に配置したコンパクトモデル「NEXTOOL MINI FLAGSHIP KT5022」。ユニークな形状以上に、使いやすさと価格のわりにしっかりと作られた各所の仕上がりに驚きました。ステンレスシルバーのシンプルな見た目ですが、傷も目立ちにくいので、キーホルダーとして鍵束に付けたくなります。

コンパクトなサイズを活かして趣味や生活に役立てて見てはいかがでしょうか。

 

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL>

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

 

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