【達人のプラモ術】
Special Hobby
1/48 ブガッティ 100Pエアレーサー
03/04
今回改めて改めてブガッティ100Pを調べてみると、単に奇をてらったデザインではなく、当時としては革新的な技術を盛り込んだエアレーサーだったことが分かりました。もしレースに間に合っていたら…、もしレシプロ機の速度記録に挑戦していたら…、プラモデルにはそんな想像を広げてくれる楽しさがありますね。(全4回の3回目/1回目、2回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。
■悩ましきは機体のブルー
今回は組み上げた機体をいよいよ塗装です。インスト(説明書)にはブルーに塗れと指示されているのですが、どんなブルーやねん!と思わず突っ込みを入れた次第であります。新造された機体をみるとかなり濃いブルーなのが分かります。まぁ言うところの青です。
ブガッティはフランスの車メーカーだし、フランスのナショナルカラーはブルーなので、ブガッティ100Pも言うところの明るめのフレンチブルーに塗られていたんじゃないかと思うワケです。
模型用塗料としてはタミヤから缶スプレー「TS-10 フレンチブルー」が出ています。明るい水色で誰もが思うフレンチブルーだと思います。が、うーん、100Pのブルーとはちょっと違う気がする…。と悩んだ挙句、調色することにしました…(おい!)。
自作したブルーは、復元機のカラーを参考に、タミヤラッカー塗料のレーシングブルー9にホワイト1で調色。やや明るめに、フレンチブルーよりは青が強く出るように調色しています。ただしあまり鮮やかに発色させてしまうとオモチャのようになってしまうで、あえて下地塗装に白を塗装せず、サーフェイサーのグレーにブルーを重ね彩度をわずかに下げています。
個人的な意見ですが、塗装は自分のイメージを優先して色を選ぶようにしています。もちろん実機に忠実な塗装も大事ですが、作っている模型のカッコ良さを最大限に演出する(見せる)のが塗装の役割だと考えているからです。
▲新造中の100P。機体は鮮やかなブルーで塗られており、フレンチブルーという印象はない
▲博物館の機体も濃いめのブルーだ。個人的にはもう少し明るいターコイズブルーのような色だと思っていたのだが…
▲インストではMr.カラー65番インディブルーが指定されている。新造された機体ならばベストの青であるとは思う。でもやっぱりイメージと違う気がする(個人的見解)
■自作(調色)したブルーで機体を塗装
▲指定色ではなく、タミヤラッカー塗料のレーシングブルー9にホワイト1混ぜて調色したものをエアブラシで塗装。指定のインディブルーと比べてかなり明るい印象になった
▲濃いままだと光沢が出ないため塗料3に対して溶剤7まで希釈した塗料を3回塗り重ねている
■デスクトップモデル風に仕上げる
実機は復元機を見ても美しい光沢仕上げになっていますよね。エアレーサーですから、空気抵抗を少しでも減らすために機体はピカピカに磨き上げられていたことが分かります。
模型的には光沢を抑えめに仕上げた方がリアルなイメージを出せるのですが、今回は調色したブルーの上からクリアーを重ねてピカピカのデスクトップモデル風に仕上げることにしました。
塗装後に乾燥時間をしっかりと取り、この後さらにコンパウンド(研磨剤)を使いさらに鏡面仕上げを目指します。
▲ブルー塗装の乾燥後、クリアーをオーバーコート塗装することで、より光沢仕上げにしている。クリアー塗装を充分に乾燥(最低でも2日間)させたのちにコンパウンドを使い機体を研ぎだして、さらなる光沢仕上げを目指す
▲クリアー乾燥中の機体
■フライトスーツの色にも悩む
今回は飛行状態でのジオラマにするために、パイロットを乗せています(前回参照)。無人機ではおかしいですからね。ところが、ここでまた色で悩むことになりました。
いろいろと調べたのですが、1930年代当時のエアレーサーパイロットのフライトスーツの色が分かりません。当時のフランス空軍のパイロットだと明るいカーキ色のツナギを着用していたようですが…。結果としては、機体の青、コクピットの赤とのコントラストで見栄えがいいこともあって、ボックスアートを参考に、フライトスーツと飛行帽は白で塗装しています。1/48スケールとはいえ、キャノピー越しにパイロットはよく見えるので、こだわった次第です。
▲前回、コクピット収めるために削り込んだパイロットは、見栄え優先という事で白の飛行服ということで塗装している
▲青い機体と赤で塗装されたコクピットによく映える。計器盤を取り付けると足先は見えない。
▲これはブラックドッグ製の1/32WW-Ⅰドイツパイロットフィギュアだが、当時のフランスでもこうした上下ワンピースの飛行服が使われていたはず。100Pのようなエアレーサーは高高度飛行しないので防寒用の革コートなどは着用していない
▲機体サイズに比べて大きく空気抵抗の少なそうなキャノピーは、マスキングをして塗装の準備
▲ちなみにフレームはシルバー
▲特徴的な二重反転プロペラは艶消し黒で塗装
▲組み上げた二重反転プロペラ、そのままだと残念ながら隙間とガタが出てしまうので前後のプロペラは接着固定している
■エアレースのヴィネット
エアレーサーの雰囲気を再現するために、100Pは飛行状態で制作しているワケですが、コンパクトなヴィネットとして仕上げようと思います。ヴィネットとは、テーマを絞り込んだ小型のジオラマ、もしくはミニチュアを意味する言葉で、 近年はAFVモデルでもフィギュア単体等のコンパクトなヴィネット作品が人気を集めています。
イメージソースはズバリ、ボックスアート。パイロンを高速でターンしていく100Pはカッコいいですよね(絵は残念だけど)。
話はズレますが、エアレースではターンポイントとなるパイロンをいかに速く旋回するかがポイントになるので、低い高度でパイロンギリギリに飛びぬけていきます。パイロンの内側に入り込んでしまうパイロンカットは減点、あるいは失格とみなされてしまいます。
アメリカのネバタ州リノで毎年開催されているリノ・エアレースでは、高度15メートル前後で、オーバー500km/hでパイロンをターンしていくエア・レーサーを間近で見られます。リノ・エアレースは何度か観に行きましたが、えっマジですか的な衝撃を受けること間違いなしです。
▲木製のベースにボックスアートを参考してプラ板でターンパイロンを自作、機体を仮で取り付けてレイアウトを決めていく
▲パイロンは赤と白のチェッカー柄で塗装する予定だ
■次回完成!
機体はほぼ仕上がりました。あとはベースにパイロン等を自作。機体と組み合わせてして完成を目指します! 乞うご期待!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/513039/
- Source:&GP
- Author:&GP
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