本稿は、森 和吉氏(株式会社吉和の森・代表取締役)による寄稿記事です。高い広告効果を求めて、Twitterなど企業アカウントを運用する際に重要となるデジタルマーケティングの基本について、ご寄稿いただきました。
炎上は怖くない!“荒らし”投稿者の割合は「1.1%」の事実
Twitterを運用する上で悩みのタネとなる“炎上”。Twitterにはリツイートというツイートをシェアできる機能があるため、他のSNSに比べても“炎上”しやすいことは事実です。“炎上”を恐れてTwitterアカウントの開設をためらうクライアントもいます。
でも、待ってください。「だからTwitterをやらない」のは大きな機会損失です。Twitterはやるべきだと私が考える理由をふたつご説明します。
ひとつは、“炎上”や“荒らし”を企てるユーザーはごくごく少数だということ。経済学者で、ネットメディア論者としても高名な山口真一氏による『統計分析が明らかにする炎上の実態/対策と ネットメディア活用方法』という農林水産省HPで公開されている資料によると、炎上に関する投稿を行ったことがある人の割合はわずか1.1%だといいます。炎上投稿は目立つために多く見えますが、発生確率としては非常に低いので過度に恐れる必要はないということです。
もうひとつの理由は、自社のTwitterアカウントがないと“炎上”を抑える手段がないこと。他者発信によって自社に関する“炎上”が発生した場合、こちらの言い分を発信する場がない。つまりケンカにたとえれば“殴られっぱなし”という状態で、ますます自社の評判を落とすことになってしまいます。
“炎上”が発生したときは、当事者の速やかな情報発信による“消火活動”がとても重要です。“炎上”案件へのお詫びや状況説明などの対応、さらに企業としての方針説明や、調査結果などを閲覧者の理解や納得を得られるようにしっかりと謝罪や説明をする必要があります。
しっかりとした対応を取ることができれば、“炎上”で落ちた評判を取り戻すだけでなく、逆に好印象を与えることも可能です。初動が大事な“炎上”対応、そのためにも自社のアカウントは持っておくべきです。
それでも“炎上”は怖いですよね。できれば避けたいし、万が一起きてしまったら最小限の被害・損害に留めたいところ。そのためには4点の“炎上防衛策”を意識してみてください。
1)「センシティブな話題」には触れない
企業アカウントでのツイートでは、センシティブな話題には極力触れないようにしましょう。政治や時事問題、宗教やセクシャリティに関する投稿は炎上しやすいので注意してください。
2)炎上が起きても「消さない」
自社が投稿したツイートから炎上が起きた場合、つい担当者だけの判断で当該ツイートを消してしまうことがあります。しかし、それは逆効果。さらなる“炎上”に繋がります。
まず混乱を招いたことを謝罪し、速やかに対応することで、誤解を解いていきましょう。
3)「アクティブサポート」を行う
ユーザー発信による“炎上”を避ける方法として、商品・サービスについて投稿されている内容を、企業自らが探して個別に対応する「アクティブサポート」と呼ばれる対応があります。ユーザーのクレームをいち早く発見し、先手を打って不満やクレームを解消するリプライを書き込みます。
4)「コンテンツモデレーション」を実施する
コンテンツモデレーションとは、ユーザーなど他者が書き込んだコンテンツをモニタリングする業務のこと。“炎上”の火種となりうる書き込みを早期に発見して、収束を図ります。AIやツール、有人による監視を外部のサービスを用いて行うことが一般的です。
これらを頭に入れて、ぜひTwitterの運用にトライしてください。
心がポキっと折れてしまう前に!投稿を継続させる秘訣とは?
Twitter含め、SNSは投稿の継続が命。書き込みを続けていても、なかなかフォロワーが増えない、成果が出ないことが続くとアカウント運用を続けるモチベーションは低下してしまいます。私の周囲でも、途中で運用を断念してしまう方が多く見受けられます。SNSを継続することは難しい。もし、あなたに投げ出した経験があっても、恥ずかしがる必要はありません。
だからこそ、やるならば継続は必須。投稿を続けていくための工夫をふたつご紹介します。
ひとつは、さまざまなSNSに投稿して“箸休め”をすること。Twitterのみに毎日書き込んでいるとどうしても飽きてしまいます。合間にInstagramやTikTokなど他のSNSへの投稿をすることが気分転換になり、飽きを防げます。
文章、写真、動画など、投稿先によってやるべきことが変わるので毎日の投稿を続けやすくなります。さらに複数のSNSの活用することで顧客接点が広がり、集客効果が高まります。
もうひとつは、デジタルマーケティングの専門家とタッグを組むこと。SNS運用について具体的なアドバイス、たとえばSNSのトレンドに基づいて投稿するべき内容を教えてくれます。トレーニングジムのパーソナルトレーナーをイメージしてもらうといいかもしれません。SNSの運営は、上司をはじめ社内の人たちにその大変さが伝わりづらいもの。専門家はアドバイスだけでなく、あなたの苦労を理解して「頑張っている」「もう少し頑張ろう」といった応援をし、伴走してくれるので、継続の力になります。必要があれば、第三者の視点で上司らにあなたの重要性を説明してもらうことも一案です。周りの理解が深まれば仕事自体がスムーズになり、続けやすくなるはずです。
デジタルマーケティングの真実 「魔法の杖=×」「魔法の薬=◎」
デジタルマーケティングは、ほぼ無料で誰にでも対応できて、成果を出すことができます。しかし、多くの人が「これは魔法の杖」と誤解しているのではないでしょうか。デジタルマーケティングを始めれば、すぐに集客できて、売上が上がり、ブランド力が高まり、いい人材が集まってくる……そんなに都合がいいわけがありませんね。
デジタルマーケティングに成功している会社は確かにありますが、氷山の一角です。成功事例ばかりが目に付きますが、実際は遥かに失敗している会社の方が多いのです。失敗した会社は声高に「失敗した!」なんて叫びません。
デジタルマーケティングは、魔法の「杖」というより魔法の「薬」というべきでしょう。用法・容量を守って正しく使うことで、初めて成果が得られる手法なのです。
一昔前は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌という、いわゆる四大メディアに莫大な費用を投じるしか方法がありませんでした。今ではスマホで撮影した画像や動画を使って、誰でもSNSへ投稿して魅力を発信することができる時代になりました。かつてのように莫大なコストをかけなくても、大きな広告効果が得られるチャンスはいろいろなところに転がっています。
本記事でご紹介したTwitter“炎上防衛策”やSNS運用を継続するノウハウなどを用いて、必要以上にSNSを恐れることなく企業アカウントを活用してみてはいかがでしょうか。
<著者プロフィール>
森 和吉(もり・かずよし)
株式会社吉和の森 代表取締役
ウェブ解析士マスター、チーフSNSマネージャー青森県八戸市出身。1970年生まれ。
2019年11月に、デジタルマーケティング、Webサイト制作、ITコンサルティングを行う株式会社吉和の森を起業。Webを使った集客、アライアンス提案、サービスの立ち上げ・運用、業務改善を得意とするデジタルマーケター。さまざまな業態・業種の事業案件を手掛けている。
2022年12月に『日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」』を出版。
- Original:https://techable.jp/archives/205013
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:山田真由子
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