【Apple Watch Hacks_07】
Apple製品のOSは、毎年秋に新しいバージョンがリリースされるのが慣例。Apple WatchのwatchOSも例に漏れず、23年秋に最新の「watchOS 10」が提供される予定です。
6月上旬に開催されたディベロッパー向けのカンファレンス「WWDC23」では、この新しいwatchOS 10について概要が発表されました。また例年、夏には、先駆けて新OSの機能を試すことができるパプリックベータ版が提供されますので、そろそろ新OSの使い勝手についても、あらためて注目され出すタイミングだと言えます。
そこで、本稿ではあらためてwatchOS 10の概要についておさらいしましょう。特に注目したい10個のポイントをチェックしていきます。
1. コントロールセンターの開き方が変わる
watchOS 10では、コントロールセンターの開き方が変わります。
これまでは画面の下端から上へスワイプアップすることで、コントロールセンターが開き、例えばシアターモードのオン・オフなどの切り替えが行えました。
これが、watchOS 10では、サイドボタンの1度押しでコントロールセンターが開くようになります。基本操作における大きな変化なので、戸惑わないように、あらかじめ知っておきたいポイントです。
▲写真はwatchOS 9のもの。サイドボタンを押す操作に割り当てられる操作は、ドックの表示などだったが、watchOS 10ではコントロールセンターの表示になるという
2. ウィジェットの導入
watchOS 10では、どの文字盤が表示されているときでも、Digital Crownを回すことで「スマートスタック」のウィジェットを表示できるようになります。
例えば、タイマーの一時停止などが行えるなど、こうしたウィジェットはインタラクティブな操作に対応しています。
▲watchOS 10のスマートスタック
3. スヌーピーの文字盤が登場
新たにスヌーピーの文字盤が追加されます。文字盤上のスヌーピーとウッドストックは、その時の天候などに合わせて、アニメーションが変化するそうですよ。
なお、その他には3つのカラーレイヤーで背景色をダイナミックに変化させ、時刻を表現する「パレット」文字盤なども追加されます。
▲スヌーピー文字盤とパレット文字盤
4. 子どもの近視予防に貢献
子どもの近視予防機能が追加されることも新OSの特徴です。具体的には、watchOS 10に更新したApple Watchと、新OSに更新したiPhoneなどのヘルスケアアプリを使うことで、子どもが装着しているApple Watchの環境光センサーを利用し、子どもが日光の下にいた時間を測定・記録できるようになります。
これは、Appleの発表によれば、「屋外にいた時間が長くなることで、近視のリスクが軽減されると明らかになってきているから」とのこと。プレスリリースに記載された情報によると、International Myopia Institute(国際近視機関)が、「近視のリスクを低減するために、子どもは1日に80〜120分以上は屋外で過ごすこと」を推奨していることが挙げられています。
なお、ファミリー共有設定を使えば、子どもがiPhoneを持っていなくても保護者のiPhoneからチェックが可能です。
5. サイクリング測定の強化
ワークアウト関連では、ここ数年ランニング測定の強化が目立ちましたが、今回はサイクリングの測定が強化されます。
例えば、自転車のペダルを漕ぐ力を測定する機器を「パワーメーター」と呼びます。watchOS 10に更新したApple Watchは、こうしたパワーメーターなどをBluetoothで自動接続して、ワークアウトアプリの数値に反映できるようになります。
パワーメーターと接続してデータを取得すると、「機能的作業しきい値パワー(FTP)」 (理論上1時間キープできる最大の強度レベル)が自動的に算出されます。これを元に「パワーゾーン」が判断され、その時どのくらいのパワーでペダルを漕いでいるのかを、ゾーンの区分としてリアルタイムに判断できるようになります。
また、Apple Watch上でサイクリングのワークアウトを開始すると、iPhone上の「ライブアクティビティ」(リアルタイムに進行度などが反映される通知のようなUI)として表示されるようになります。
▲サイクリングの測定ではパワーゾーンが表示できるように
6. コンパス機能のパワーアップ
「コンパス」アプリでは、歩いてきた経路を立体的に確認できるようになり、ポイントごとの高度も視覚的に把握できるようになります。
また、最後に電波をキャッチした地点を「モバイル通信接続ウェイポイント」として記録できるようになり、緊急連絡を発信できる地点を確認しやすくなります。
そのほか、設定した高度を超えると通知される機能なども追加されます。
▲コンパスアプリでは、経路だけでなく高度も表示される
7. 「気分」を記録できるように
「マインドフルネス」アプリのなかで、そのときの心の状態を、一時的な“感情”やそれよりも少し長い期間で継続して続く“気分”として記録できるようになります。
具体的には、Digital Crownを回して、Appleが“多次元な形状”と表現するビジュアルを選択し、そのときの感情・気分にあったものを選ぶだけです。記録した心の状態は、iOSの「ヘルスケア」アプリからも確認可能です。
▲「マインドフルネス」アプリ内にある「State of Mind」から、そのときの感情や気分を記録できるように
8. NameDrop
iOS 17の新機能として紹介された「NameDrop(ネームドロップ)」は、watchOS 10でもサポートされます。同機能は、iPhone同士やiPhoneとApple Watchを近づけることで、「連絡先ポスター」としてカスタマイズした情報をシェアできるというもの。
watchOS 10の説明では、「マイカード」のコンプリケーションをタップしてから、Apple Watchの文字盤を、交換相手のApple Watchに近づけることで、連絡先情報を素早く交換できるとされています。
▲「NameDrop」はApple Watchも対応
9. オフラインマップの利用
iOS 17のマップアプリでは、データをダウンロードしてオフライン使用が可能になります。
watchOS 10をインストールしたApple Watchでは、こうしたiPhoneにペアリングされている状態ならば、通信環境がない状態でも、マップのナビゲーション機能などを利用できるようになります。
10. エンタープライズでの利用促進
多くの利用者にはあまり関係ないことかもしれませんが、watchOS 10では、モバイルデバイス管理(MDM)がサポートされることもトピックです。
これによって、エンタープライズ(企業)が、社員に配布するApple Watchを管理しやすい環境が整います。徐々に企業・組織でのApple Watch活用が促進されていくかもしれません。
▲watchOS 10のアップデートは盛りだくさんだ
* * *
なお、watchOS 10に互換性がある端末は以下の通りです。ただし、対応する機能は、機種ごとに差がありますので、ご留意ください。
・Apple Watch Series 4
・Apple Watch Series 5
・Apple Watch SE
・Apple Watch Series 6
・Apple Watch Series 7
・Apple Watch Series 8
・Apple Watch Ultra
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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