道後温泉“故きを温ね新しきを知る”大人旅!持っていって良かったものは?

気兼ねなく旅行に行けるようになって半年。ようやく旅を再開したいう人も多いのではないでしょうか。悩むのは、どこへ行くか。思い切って海外という人もいれば、国内リゾートでアクティブ体験、いやいや、ひとまず温泉で疲れを癒す…なんて、考え方は人それぞれ。

そんな中、今回選んだのは、日本最古の温泉といわれる道後温泉。

理由は2つ。1つは、愛媛県には何度も訪れているものの、道後温泉には行ったことがないということ。もう1つは、道後温泉本館が保存修理工事期間中というタイミングだったことが挙げられます。

なぜわざわざ工事期間中に? といえば、国の重要文化財の補修風景を見られるのが今しかないのと、その補修の素屋根テント膜を画家・大竹伸朗さんが手掛けていルコと。そして素屋根テント膜が11月1日から撤去されていくと知ったからです。

■旅のテーマは“新しいことに出会う”

“最古の温泉”が新しく生まれ変わるのだからと、旅のテーマも「新しいことに意識して出会う」に決めました。旅は知らないことの連続だから何を今さらなんですが、旅先の出会いを意識して考えることはこれまでありませんでした。

なので今回は、古い街で新しいこと・もの・人に触れ合い、考え方をブラッシュアップする、旅というよりもプチリトリート。心身のリラックスを図ってきました。

■道後温泉で出会った新しいもの1…ホテル

旅の舞台に選んだホテルは、2020年にオープンしたばかりの「道後hakuro」。歴史的な温泉地の中では新しく、ただ建設年が新しいというだけでなく、“温泉ホテルらしさ”の皮を脱しようという新しい思いが込められたホテルです。

コンセプトも“ホッとして、オッ!とくる、次世代型温泉ホテル”。

今回の旅にピッタリの施設といえます。

ちなみに階ごとにテーマが異なり内装はもちろん、外側から見るとカーテンの色が異なります。

新しいスタイルのホテルとはいえ、そこは日本有数の温泉地。内湯のほかに露天風呂もある大浴場には「日本最古の湯」である道後温泉のお湯をたたえています。

そして浴場の扉を開けた瞬間に目に飛び込んでくるのが大きな壁画。墨絵アーティスト・茂本ヒデキチ氏による大胆で迫力のある絵が「オッ!」とさせてくれます。

実は道後温泉はアートの街。2014年から芸術祭「道後オンセナート」が開催され、アートの街としても認知されはじめているのです。それゆえ、修復中の道後温泉本館を覆う素屋根テント膜にアートが描かれているのも必然といえます。

道後温泉には「道後温泉本館」「飛鳥乃湯泉」「椿の湯」と、3つの外湯があり、ここを巡るのも旅の目的のひとつ。

浴衣のまま外湯めぐりを行えるよう、タオルと石けんが入った湯かごも用意。道後温泉めぐりの拠点として、心地よいおもてなしを提供してくれています。

天井が高く、開放感のある大型のガラス扉が設えられているラウンジには、インダストリアルなアイテムや意匠がそこかしこに。緑にも囲まれ、まるで街中にあるおしゃれなカフェのよう。

PC用の電源や無料のWi-Fiを備え、ワーケーションの用途にもぴったり。最古(の温泉地)にして最新(設備を含め考え方)を肌で感じられます。

ロビー横にある、ラウンジと繋がっているウエイティングルームも、インダストリアルな雰囲気。自宅のリビングのような居心地の良い空間で、チェックインまでくつろいだり、出発前に待ち合わせしたりすることができます。

ラウンジの片隅にはレコードプレーヤーが備わり、好きなレコードをかけられるのも、これまでの“温泉ホテル”とはひと味違います。ジャズ、ロック、クラシック、ブルースのほか、最近人気の80〜90年代のジャパニーズポップも揃います。

温泉街をそぞろ歩きするのも楽しいですが、見知らぬ街で地ビールを飲みながら、レコードを嗜む。そんな旅時間があってもいいのかもしれません。

部屋にもレコードプレーヤーが装備され、ラウンジに置いてあるレコードは、スタッフに声をかければ部屋に持っていってもOK。

部屋に戻ってテレビを見るしかなかった時間が、ここでは旅の思いに耽る時間に変わるかもしれません。

住所:愛媛県松山市道後鷺谷町3-1
アクセス:JR「道後温泉」駅より徒歩5分
部屋数:86部屋
部屋タイプ:ダブル(約15m2)、ツイン(約19m2)、スーペリアツイン(22m2)、ユニバーサルデザイン(21m2)
※11月から発売中のANA「お一人様大歓迎!プラン」にも設定があります!

>>道後hakuro

■道後温泉で出会った新しいもの2…食

温泉地に限らず、地方に行くと楽しみなのが現地の食事。道後温泉のある愛媛県・松山市には、名物「鯛めし」がありますが、気になるのは初めましてのローカルな食です。

今回は、地元の人で賑わうカウンターだけの居酒屋「酒処はる」にお邪魔し、地元の食と出会いました。

シンプルながら感動したのが、鮮度が高く、本来の味をしっかりと感じられる野菜の数々。約40cmと長い松山長なすのフリットや、やわらかく辛みのない松山甘長ししとう焼き、これでもかと果汁が溢れてくる松山産のレモンを使った生搾りレモンサワーなど、思い出に残る味でした。

そんな野菜に後ろ髪を引かれつつ、新しい食にチャレンジ。愛媛県といえば、最近、ちょっと話題になったじゃこ天が有名ですが、初めて食べたのがじゃこカツ。

じゃこ天をフライにしたものかと思いきや、全然別物。じゃこのすり身にニンジンや玉ねぎ、ごぼうなどのみじん切りを加えて味付けし、揚げたもの。中がフカフカで外サクサクで、クセになる美味しさです。

お気に入りで、帰り際に空港でも頼んでしましました。

そして締めに食べたのが、松山ミートパスタ。

松山では有名だそうで、茹でた後に炒めたパスタに、ちょっと甘めのミートソースが絡みます。クセになる味で、メニューに加わっているのも納得です。

酒処はるは、カウンター7席と座敷を合わせて12席という、こぢんまりとした居心地のいい空間。店主・谷口靖吾さんは、旅行者にも地元の人同様に接してくれ、ダジャレが冴え渡っていました。

温泉旅館の品数豊富な夕食もいいものですが、1人旅ならフラッと入れる、店主との距離が近いお店の方が思い出に残るのかもしれません。

住所:愛媛県松山市道後湯之町14-27
営業時間:18:00〜24:00
定休日:月曜
>>酒処 はる

■道後温泉で出会った新しいもの3…体験

今回の旅の中でのまったく新しい体験が、宝厳寺(ほうごんじ)の捨莉紙(しゃりがみ)。

自己対話をし、なりたい自分をイメージした願いを「願い紙」に、心に浮かぶ“捨てたいこと”を「捨莉紙」に書きます。捨てたいことを書いた捨莉紙は、手水舎のザルに入れ、水にさらすと消えてなくなります。

宝厳寺は時宗(じしゅう※浄土教系の一宗)の開祖・一遍上人の生誕の地で、「捨聖(すてひじり)」と称される一遍上人の「捨てる思想」をコンセプトにした開運アイテム。道後のまちが主催する「道後温泉開運めぐりプロジェクト」の一環でできたそうですが、自己対話することは日常的にないため、貴重な体験となりました。

蓮の花をデザインした封筒に、願い紙、捨莉紙、お札、クリップペンシルのほか、解説書も同梱されているのでやり方に迷うことはありません。

プロジェクトで作られた開運アイテムとはいえ、モノや情報、しがらみが多すぎる現代において、自分を見つめ自己対話をするという行為自体が価値あるものに思えます。

年に1度までは行かずとも、数年に1度は行いたい体験でした。

“捨てたいこと”ことを記した捨莉紙をザルに入れ、「南無阿弥陀仏」と心の中で唱えながら水にさらすと紙そのものが物理的に消え去ります。

書かれた紙とともに心のモヤモヤも流れた気になりました。

住所:愛媛県松山市道後湯月町5-4
宝厳寺

■旅で活躍したモノ3選

今回旅に行くにあたり、さまざまなモノを持っていきましたが、なかでも活躍したアイテムを3つ紹介します。

1.動画を撮影するためのスマホ用ジンバル

今回新しいものに触れるということで持って行ったのが動画撮影用のジンバル。スマホを取り付ければ、手ぶれ補正をしてくれスムーズな動画を撮れるアイテムです。

DJIのOM5はすでに1世代前ですが、購入してからほぼ使用しておらず、今回旅デビュー。軽量で折りたためるため、街散策にも重宝します。

スマホとBluetooth接続ができるので、手元でスマホを動かしたり、ズームしたり、カメラを切り替えたりできて、とても便利。ただし、撮影技術のなさと、撮った後どういう作品にするかを考えていなかったので、これから精進が必要です!

手のひらにしっかりフィットするハンドルの底部には、三脚の装着も可能。定点観測の時や集合写真を撮る時に便利です。また、ハンドルには、215mmの延長ロッドが内蔵されているため、自撮りするのにも重宝します。

2.空から見える景色を撮るための「忍者レフ」

移動時間も旅行の楽しみ。飛行機好きであれば、窓から見える空からの風景も見逃せません。ただ、機内の明かりや自分が窓ガラスに反射して(映り込んで)きれいに撮れないのが難点です。

そんな時に重宝するのが、片面黒、片面シルバーで、真ん中に穴が空いているレフ板、よしみカメラの「忍者レフスマート(スマホ用忍者レフ)」(4400円)。今回のために購入しました。

折りたためば手のひらに収まるほどのコンパクトサイズで、広げれば飛行機の窓の目隠しをすることができます。

光が漏れてガラスに反射しないようにする必要はありますが、うまく装着できれば効果は抜群です。

左がスマホ単体で夜景を撮ろうとした場合で、右が忍者レフを装着して撮った場合。窓ガラスへの写り込みがなくなり、明瞭に夜景が撮れています。

3.荷物の出し入れがしやすい「3Wayボストンキャリー」

普段の旅ではリュックが多いものの、今回は新しい出会いがキーワードだっただけに、初めてソフトキャリーを使ってみました。MILESTOの3Wayボストンキャリーは、軽く、引っ張るだけでなく、肩掛けにしたり、手持ちにしたり、移動する場所によって持ち方を変えられるから本当に便利でした。

1泊2日には、ちょっと大きめながら、これからの季節にかさばる上着を入れられるし、買ったお土産もそのまま放り込めるのもメリットです。

そしてなんといっても、ファスナーがY字型に開くから、一般的なキャリーケースのように荷物を取り出すのにストレスがかかるなんてことがないのが最大のメリット。

立てた状態でも上からサッと荷物にアクセスできる利便性は、リュックよりも簡単でした。

■旅マエから旅アトまで活躍するスマホアプリ

新しきを知る旅ということで、今回初めましてのアプリも使ってみました。

それが、移動するだけでポイントが貯まるという『ANA Pocket』。ANAのマイレージ会員だし、これからますます飛行機に乗る機会が多いからポイントも貯まるのではと期待して導入してみました。

■旅を楽しく街歩きができる「ANA Pocket」

今回導入した『ANA Pocket』は、歩いて乗って、日常生活で移動するだけで特典をゲットできるというもの。ANAのアプリながら、飛行機だけでなくクルマや電車にも対応し、移動距離や移動手段に応じてポイントが貯まります。貯めたポイントは、ギフト券や商品が当たる抽選券はもちろん、マイルにも交換できるというから旅好きにはたまりません。

使える機能は多彩で、遊びながらポイントを貯められます。

アプリをダウンロードしたら、プロフィールを設定し使用開始です。プロフィール設定のカラムと同じところに、「MYスポット」の登録が可能。行く場所をあらかじめ調べて登録しておけば、現地でのマップとしても使えます。

今回の旅でも事前に行きたいところを登録しておきました。

メインとなるのは、「ホーム」「つかう」「チャレンジ」「あつめる」「ログ」の5つの項目。

ホームではその日に何歩歩いたか、取得ポイント、キャンペーンなどが表示されますが、どこかに出かけるときにまず見たいのが「チャレンジ」です。

 

「チャレンジ」とは、その名の通り、挑戦する項目です。デイリーや週末、月ごとにさまざまなチャレンジが用意され、達成するとポイントがもらえる仕組み。

自分ができそうだなと思ったチャレンジを選び、「はじめる」をクリックすれば挑戦開始。移動手段や移動距離を指定されチャレンジが多く、ゲーム感覚で遊びながら、健康やエコな生活を意識できるというわけです。

飛行機に乗る、クルマに乗る、電車に乗るなど、交通機関を使うチャレンジも多いので、お出かけ前には要チェックです!

おすすめのスポットに立ち寄ればポイントをゲットできる「チェックインスポット」もゲーム感覚で楽しめる機能。出発空港または到着空港にチェックインすれば、ANA FESTAでのお買い物が割引になるお得なクーポンをもらえます。

そのほか、全国のお城、全国のフードミュージアム、全国の道の駅、全国のゴルフ場…など、「チェックインスポット」は多彩なので、各ジャンルをコンプリートするのも面白いかもしれません。

「ログ」は、その名の通り、自分の移動を記録できるログ機能です。マップ表示とグラフ表示があり、なんの移動手段で、どういうルートをたどったかが一目瞭然。

もちろん距離やポイントも確認できますが、帰宅後に見て、旅を反すうするのにも重宝します。旅先での動きや距離感など、散策している時は分からなかった俯瞰した情報を見られるのです。

ちなみに、ログに表示されるマップはピンチアウトすれば普段使うマップアプリ同様の精緻さ表示。日常使いはもちろん、旅行に行く前、旅行先で、旅行から帰ってきてからも楽しめるアプリでした。

※  ※  ※

ということで今回、初めての人に出会い、知らなかったことを体験し、新しいモノを使って旅をしましたが、やはり新しいことを知ることは刺激的だし、自分に気づきを与えてくれます。「やっぱり旅はいいな!」と実感した旅でした。

ちなみに「道後温泉本館保存修理工事 特設ページ」には、

「工事か」と言ってうつむいてしまうのではなく
「次代に宝を受け継ぐ為に頑張ろう力を合わせよう」と
私達は松山市民とともに
乗り越える前向きな気持ちをもって
今後 全国初となる国の重要文化財の公衆浴場を
営業しながらの保存修理工事に挑みます。

と記載されています。

補修工事が終わったら、もう一度、自己対話を兼ねて行こうと思います。

(取材・文/澤村尚徳 写真/恩田拓治 取材協力/ANA、道後hakuro、酒処はる)

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