通常仕様に加えて、ヤレまくりな『グラン・ブルー』エンゾ仕様も製作!【達人のプラモ術<フィアット500F>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 フィアット500F」
02/04

前回はボディを塗装したチンクエチェント。第2回となる今回は、インテリアを製作していきます。でもその前に今回は…

反響大! ということでチンクエチェント・エンゾ(二度塗り前)仕様も作ります!(全4回の2回目/1回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■エンゾのチンクエチェントの反響大!

前回、ファイアット500が登場する映画ということで『ルパン3世・カリオストロの城』『ローマの休日』そして『グラン・ブルー』を紹介したのですが、中でも『グラン・ブルー』の劇中でジャン・レノが演じたイタリア人のフリーダイバー、エンゾ・モリナーリの愛車として登場するボロボロのチンクエチェント(フィアット500の愛称)のインパクトが強烈だったようで(しかもジャン・レノとの相性が最高!)、多くの方から「エンゾの愛車を見たい!」と言う声を多数頂きまして~。

ならば、ということで、キットをストレートに製作した仕様に加えて、ボロボロにいい感じにヤレたチンクエチェント(『グラン・ブルー』エンゾ仕様)を同時に製作することにしました。

 

■エンゾ仕様・ボロボロボディの製作

劇中のカットを参考にしながら、ドアやボンネット、フェンダー周りのヘコミをモーターツールで削り込んでそれらしく再現。

ボディはグレーサーフェイサーで下地塗装したのち、先に製作中のフィアット500と同様にレーシングホワイトで塗装。劇中では左右のドアのみが、なぜかくすんだ赤色なので、イタリアンレッド7:レッドブラウン3で調色した赤で塗装しています。

ここから、さらにボロボロな雰囲気を再現するため、フラットクリアーでつや消しオーバーコート。乾燥後に上から、タミヤスミ入れ塗料グレーでボディ全体をウォッシング(※1)。さらにブラウンでフェンダー周り等のサビを表現してみました。

今回のようなカーモデルで、スミ入れ塗料によるウォッシングを上手く仕上げるコツは「スミ入れ塗料を攪拌せず上澄みだけを使い、毛質の柔らかい平筆で、汚れの方向を考えながらボディに伸ばしていく」といったところです。やり過ぎたと思ったらエナメル溶剤で拭き取ってやればOKです。

※ウォッシング
模型に、よりリアル感を持たせるためのウエザリング塗装テクニック。AFV模型でよく使われる。スミ入れ塗料(薄めたエナメル塗料)を模型全体に塗布、綿棒等で拭き取ることで、汚れや雨ダレ、サビといった質感を再現できる。下地の塗料はラッカー系塗料が前提となる。

▲モーターツールでボディのダメージを彫りこんでいく。キットはドアとボンネットのモールド(凹ライン)が浅く、ダメージ表現を入れると目立たなってしまうのでラインチゼルを使いを深く彫り直している

▲モーターツールで彫りこんだヘコミやダメージはそのままだとエッジがきつく不自然になりがちだが、1000番=1200番のスポンジヤスリで表面を研磨してサーフェイサーを塗装すると、ヤレたヘコミ感が良い感じに再現できる

▲ボディはレーシングホワイトで塗装。ドアのみ赤なのだが、どう見ても鮮やかな赤というよりも下塗りの錆止めみたいな色なので、イタリアンレッド7:レッドブラウン3でくすんだ赤を調色して塗装

▲フラットクリアーでボディ全体をつや消し仕上げにした後、スミ入れ塗料のグレーでボディ全体をウォッシング

▲さらにブラウンでフェンダーやフロントグリルの錆を再現。スミ入れ塗料はボディのラッカー塗装を侵すことがないので、エナメル溶剤で拭き取れることで、やり直しができる

▲エンゾのチンクエチェント、二度塗り前のボディができました

▲タミヤ「スミ入れ塗料グレイ」(440円)

▲タミヤ「スミ入れ塗料ブラウン」(440円)

 

■インテリアの製作

さて、本来のキットの製作ですが、今回は足回りとインテリアを組んでいきます。とはいっても実にシンプルでサクサクと進めることができます。

サスペンションは4輪独立懸架で、フロントが横置きリーフスプリングをアーム兼用としたシングルウィッシュボーン、リアがダイアゴナルスイングアクスルとコイルスプリングの組み合わせですが、シンプルでサクサクと組み上がります。

インテリアも同様で、初期型では2人乗りでしたが、ボディサイズをほとんど変えないまま後部にベンチシートを押し込んで4人乗りとなっています。当時イタリアで人気かつライバルだったスクーターとの差別化という視点からの4座席化だそうだけれど、どうみても窮屈で大人が乗るにはキビシイ気がします。

ハンドル周りもシンプルそのもの。メーターもスピードメーターのみ、ワイパー以外イグニッションスイッチ等はすべて機械式というところに古さを感じます。

ちなみに実車のボディは全鋼製モノコックですが、エンジンの騒音が屋根板のせいで車内にこもってしまうため、その対策として屋根をオープンにできるキャンバストップを標準装備にして騒音を車外に発散させ居住性を改善、ってその発想が凄いなぁ。

製作はインストの指示に沿って塗装組み立てを進めていけばOK。ボディカラーによって内装の色も変わります。今回はレーシングホワイト(アイボリー)のボディ色をチョイスしているので、インテリはベージュ色となります。

▲塗装して組み上げたフロントサスペンション周り。パーツ数はタイヤを固定するポリキャップを含めて10点とシンプルそのもの

▲組み上げたエンジンをシャシーに搭載。同時にリアサスペンションを組んでいく

▲リアサスペンションのスイングアクスル(パーツA20・A2)は面積が小さいので、取り付け後しっかりと乾燥時間を取ること

▲完成した前後サスペンション周り

▲必要最低限の装備といった感のあるシンプルなハンドル周り。メータ―はデカールで再現される

▲インテリアのフロアはインストの指示に従ってセミグロスブラックで塗装しておく

▲塗装を済ませた前後シート、ドアの内側パネル、そしてダッシュボード。それぞれを組み合せてインテリが完成

▲タイヤにはメッキ仕様のホイールキャップを取り付けるが、メッキパーツは接着剤が効かないので接着面のメッキをデザインナイフ等で削っておくこと。ちなみに白く曇ってしまうので瞬間接着剤の使用も不可だ

▲タイヤを取り付けて今回組み上げたインテリアと足回りを仮り組みした状態

▲エンジンカバーは開閉可能となる

今回はここまで! 次回はお楽しみの大判デカール貼り、そしてボディのクリアー塗装が控えております。そしてもちろんエンゾ仕様と同時製作を進めていきますよ! 乞うご期待!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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