空気中の水分から飲料水を生成できるAWG(Atmospheric Water Generator)に注目が集まっている。空気から水を生成する技術の歴史は長いが、飛躍的な進化を遂げたのは2015年のこと。AWG Contracting社の設立者Moses West氏が商業レベルでは初となるAWGを開発したのだ。
家庭やオフィスでウォーターサーバーとして利用されるだけでなく、飲料水の供給がままならない国や地域、状況下などで活躍する。日本は安全な飲料水が安定供給されているが、災害も多い国。今年3月、製水機「POTORI」を展開する福岡の企業FREEが石川県能登の被災地に同社製品を寄贈している。
技術の進歩続くAWG市場、成長率は9%
Grand View Researchによると、2023年に24.5億米ドルと推定されたAWGの世界市場規模は、今後VAGR9.4%で成長する見込みだ(アメリカ市場の同時期CAGRは8.5%)。昨今は技術の進歩により性能・価格が改善され、幅広いユーザーにとってより利用しやすくなっているという。
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Image Credits:Grand View Research
商業・工業分野では持続可能な水の供給と災害時の備えになるほか、人道支援団体も清潔な水を利用できない遠隔地や災害被災地への配備を進めている。こうした多様なエンドユーザーが、AWGの汎用性と拡大性を示しているといえるだろう。
クラファンサイトでも複数のAWGプロジェクトが成功
さまざまな分野からニーズがあり、今後も成長が見込まれるAWG。クラウドファンディングサイトでも、複数のAWG製品が高い達成率でプロジェクト成功を果たしている。
AWGの価格は数万円~十数万円と、製品によって開きがある。空気から飲料水を生成するほか、除湿器など複数の機能がある点は共通しているので、いかにそのほかの独自のバリューを追加して競合との差別化をするかがキーになるだろう。以下、クラファンサイトで大きな成功を収めた製品を紹介する。
AI搭載、1台4役の「Nature EP」
「Nature EP」はクラファンサイトIndiegogoにて現時点で585人の支援者から約3800万円の資金を調達している製品。サイズは約37×27×47センチと、今回紹介する中では最もコンパクト。
標準モデルは1日10リットル、Proモデルは13リットルの水を生成できる。高性能な吸湿性ポリマー素材とAIを備えたスマートAWGで、湿度15%でもきれいな飲料水を安定的に供給できるという。
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Image Credits:Indiegogo
「DrinkingWater」
「DrinkingWater」もNature EPとよく似たAWG。現時点で760人超の支援者からおよそ3400万円の資金調達に成功している。サイズは幅約26センチ、奥行きと高さが45センチ、価格は30%オフで1台約5万5000円だ。
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Image Credits:Indiegogo
AquaFetch+と高度なグラフェン技術を搭載していることから、空気が乾燥していても水を生成可能だ。折り畳み式の太陽光パネルで本体を充電できるためオフグリッドで使用可能。
調達資金は2億円以上、「Kara Pure」
やや大きめサイズの「Kara Pure」は2022年に始まったプロジェクトで、現時点で1700人近い支援者から2億円以上の資金を集めている。高さ約1メートル、幅40センチ、奥行き22センチの床置きタイプだ。
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Image Credits:Indiegogo
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/238453
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃
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