&GPでApple Watchの連載(「Apple Watch Hacks」)を受け持つITライターの井上 晃さん。仕事ではもちろんですが、プライベートでも長年Apple Watchを愛用しているヘビーユーザーです。そんな井上さん、当然ながら発売されたばかりの「Apple Watch Series 10」も購入したとのこと。そもそもApple Watch本体のアップデートは、何が変わったのかわからないことも多かったりします。そこで、ヘビーユーザーならではの視点で、魅力や従来モデルとの差分をレポートしてもらうことに。はたして「Series 10」は現Apple Watchユーザーにとって買い替えるべきモデルなのでしょうか。
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2024年9月20日、新モデルの「Apple Watch Series 10」が発売されました。Apple Watchシリーズを初代から使ってきたスマートウォッチのヘビーユーザーである筆者も、今年は久しぶりに私用モデルを買い替えました。
今回、購入したのは、バリエーションのなかでも一番安いアルミニウムケースの42mmモデル。本稿では、購入から数日間ではありますが、実機を使ってみたインプレッションについてお届けします。
■新デザインの見た目はいい感じ
今年のSeries 10では、ケースサイズが前世代と比べて1mm大きくなり、ケースの厚みが1mm薄くなったのがトピック。42mmケースを腕に装着してじっくり眺めてみると「ふむふむ、確かに少し大きくなったかな」「うん、少しスリムになってるかも」とわかります。微妙な差ですが、外観には新モデルらしいスマートさがあります。
▲なんとなくスリムな気はするけれど、このくらいの角度ならそんなに分からない。Series 4〜5あたりからの乗り換えならば、結構ディスプレイが大きくなっているのを実感するはず。ちなみに、新しい「リフレクション」文字版は格好良いけれど、角度を買えたときの変化の仕方が少しイメージと違った。金属表面というより、万華鏡みたいなイメージに近いだろうか
ただし、意識して凝視しなければ、ほぼ気づきませんので、ユーザーではない第三者視点だと差はわからないかも。正直、直近の世代をお使いの方ならば、「ケースが1mm大きくなったから買い換えよう!」と走る必要はないでしょう。
おそらくAppleもその点は重々承知しているようで、製品サイトでの表記は、“Series 3と比べて最大75%、Series 4、5、6、SEと比べて最大30%も広くなりました。”となっています。新製品の紹介文としては、なんだかちょっとダサい気もしますが、この一文からも、本製品で買い替えを訴求するメインターゲットが、少し前の世代のモデルを長く愛用している方だというのが想像できます。
特に、今秋から提供されている「watchOS 11」では、「Series 4」と「Series 5」が一気にメジャーアップデートの対象外になってしまったことが重要。長年これらの世代を愛用してきたという方は、この気に買い替えをするのがベターかもしれません。
■1Hzの常時表示はめっちゃ良いんだけど…
買い替え時に、新モデルの新機能として期待していたことのひとつが、ディスプレイの常時表示が1Hzでの書き換えに対応したこと。つまり、常時表示中にも秒針が確認できる!
▲新しい「フラックス」文字版の常時表示中のデザイン。横線が秒針としてジワジワ上に上がっていく
…と、思っていたのですが、なんと常時表示中の秒針やアニメーションに対応している文字版がまだほとんどありません。筆者が確認できたのは、新規で追加された「リフレクション」文字版と「フラックス」文字版でのみ。従来からある他の文字版だと、結局、常時表示中に秒針が消えちゃうんですよね。
今後のアップデートでの追加には期待してはいるのですが、これまでの傾向を振り返ると、基本的に文字版の追加は年単位での大型アップデートだったような気が…。となると、気長に待つしかありませんね。せっかくの魅力的な新機能なのですが、いまのところは不完全燃焼といったところ。
そのうち、もしスヌーピーのアニメーションとかがコマ送り的にじわじわ動いたりしたら、テンション上がるんですけれどね。
■屋外で画面が見やすい
Series 10のディスプレイは、最大輝度が2000ニトで外でも見やすい。この輝度自体はSeries 9と一緒なのですが、Series 8以前のモデルだと1000ニトしかなかったので、ユーザー視点での体験としては買い替えで輝度が2倍にアップします。
しかも、Series 9と比べても「角度をつけても明るいまま」というメリットまでついてくるのがSeries 10の良いところ。
とにかく屋外で見やすい。BBQとかキャンプとか、チェアリングとか、最近アウトドアシーンでホッとする時間が増えた筆者としては、この変化が一番嬉しかったポイントです。
▲直射日光下で、この角度でも、スヌーピーがちょっと見える…だと(驚)
■内蔵スピーカーでのメディア再生は用途が悩ましい
Series 10では、ケースの設計を薄くするために、チップセットもスピーカーもよりコンパクトにリデザインされているとのこと。こうした再設計にともなって、さらに楽曲やポッドキャストなど、音楽メディアの再生もできるようになりました。
いままでも通話の音声は内蔵スピーカーから再生できたのですが、メディア再生はなぜかできなかったんですよね。スピーカーのクオリティの問題だったのか、使用電力の問題だったのかは分かりませんが…。
とにかく、Series 10では内蔵スピーカーから再生できるようになりました! 音質もさほど悪くなく、ウォッチから楽曲を流した状態である程度楽しめます。
▲ウォッチだけで音楽流すのは、できそうでできなかったやつ
ただし、個人的には結局何に使えば良いのかが悩やましい。屋内だと、HomePod miniやiPhoneで済むことが多いですし、屋外ワークアウトならAirPodsをつけた方が良いですし….。
もし使うとしたら、ホウキを掃いたり、洗濯機から衣類を取り出して他の部屋にもっていったり、と動き回る家事をしながらBGMを再生するような用途が良いかもしれません。部屋着だとポケットがないこともあるので、手元のApple Watchで楽曲を流しながらだと、部屋を移動しやすい。AirPodsがあれば済むことですが、イヤホンをつけなければ耳は痛くならないので、そのあたりがメリットになるかも。ただ、画面が小さいので、楽曲のコントロールはしづらいんですよね。
あとは、マナーには気をつけなくてはいけませんが、家族や友人とジョギングやウォーキングで並走しながら同じBGMを聴くとかも、ひょっとしたらアリかもしれません。周りにダダ漏れなので、勇気は要りますが…。
■水温センサーと水深計はそのうち使えば良いかな
シュノーケリングやサーフィンなど、マリンスポーツや海のレジャーの経験も多少はあるものの、ここ数年はめっきり縁のない筆者。
Series 10には、水温センサーと水深計が備わりましたが、今後5年で1回使う機会があれば良い方かなと思っています。もしあるとしても、カヌーかカヤックで水面に手を突っ込んで水温を調べるくらいでしょうか。しかし、それが分かっても、何に活かせるかは謎です。
▲「水深」アプリを起動して、Digital Crownを回すとデモ画面が表示されるようになっている。陸で試せる親切設計は嬉しい
また、水泳系のワークアウトでも水温を表示・記録できるのですが、日本国内だと、スポーツクラブやジム系のプールで、シリコン性の保護バンドで覆う等の措置をしたうえで許可される場所で使うか、オープンウォーター(川や海)で使うかの2択が主な選択肢になります。基本的には装着が禁止されていることが多いですね、筆者の生活圏では。こちらも活躍の見込みはありません。
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Series 10自体のハードウエア的なアップデートは、このようにインパクトがあるような、そんなにパッともしないような…。ひとまず、スリムになったケースのリデザインと、屋外でも見やすいディスプレイになったことには、新モデルに買い替えたと実感しました。
一方で、watchOS 11のアップデートで追加される機能は、理にかなっていて歓迎したいものが多い印象。特に(1)アクティビティアプリのために無理な運動をしなくて良くなること、(2)睡眠中に測定できるさまざまな指標を意味のある形に集約できること、などについてはこれまでApple Watchで痒かったところにようやく手が届くとも言える改良。
本稿ではwatchOS 11の詳細については割愛しますが、少なくともSeries 4/5のユーザーならば、新モデルに買い替えて新OSのメリットを受けられるよう検討してみる価値は大いにあると思いますよ。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/629293/
- Source:&GP
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