箱絵とは異なるオリジナルカラーに塗装して船体の完成!【達人のプラモ術<ハーバータグボート>】

【達人のプラモ術】
ドイツレベル
「1/108 ハーバータグボート」

04/06

10月13日~14日ビックサイトでに開催され第62回全日本模型ホビーショーで話題の新製品が発表され、模型製作のモチベーションMAXのテンションでお送りする達人のプラモ術。第4回となる今回はビンテージボックスジオラマの主役となるハーバータグボートを完成させます!(全6回の4回目/1回目2回目3回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■古き良き時代のプラモデルは手間がかかるもの

キットは現行発売モデルとはいえ、初出は1979年だけに、パーツの痛み(金型の痛み)もかなりのもので、組み立て前の下地処理にかなりの手間がかかります。近年のプラモデルであれば、ランナーから切り出したゲートを軽く研磨して、そのまま組み立てOK!が当たり前ですが、45年前のキットともなれば、そうはいきません。

パーツの切り出し→ゲートの研磨処理→パーティングラインの研磨処理→歪みの修正→パーツ表面の研磨→接着後の合わせ目の処理といった作業が通常の倍以上はかかります。

昭和世代のモデラー的には、ヤスリ掛けなどをしつつ「昔のプラモは手間がかかったんだよなぁ」などと感慨にふけっちゃうワケですが、近年の精度の高いプラモデルに慣れているモデラーには、ナニこれ?感があると思います。

とは言うものの、古いRevell社のキットを作っていて毎回思うのは、今のプラモデルにはない個性…いや味があります。今回のハーバータグボートも、最新の技術でキット化したら素晴らしいものになるでしょう。

でもそうじゃないんですね。Revell社がいちばん輝いていた時代のプラモデルが面白い。完成した際のらしさ、雰囲気は現在のプラモデルにはないものがあるんだなぁと改めて痛感させられました。

それはおじさんモデラーのノスタルジーなのかもしれません。でも、古き良き時代のプラモデルが今でも作れるというのは素晴らしいことなんじゃないかと思います。機会があれば是非こうしたプラモデルも作ってみてください。面白いですよ。

▲パーツの半数はバリが発生しており、切り出した後に成型処理が必要。またパーツとランナーを繋ぐゲート部分も太く、プラスチック自体が硬く脆いので、切り出しの際に注意しないとパーツ側が欠けてしまうので要注意

▲特に気を付けたいのは手すり等の細いパーツだ。バリまみれだし、切り出しやパーティングラインの研磨処理の際に折損しやすい。スキルがあるならば金属線で自作してしまうのもアリだが、今回はキットのパーツを使用している。ちなみに画像の3本の手すりを切り出して研磨処理するだけで約1時間かかった

 

■船体の塗装

箱絵ではキャビンや操舵室も赤で塗装されている今回のハーバータグボートですが、作例ではシンプルに白で塗装してみました。

煙突はキットの指示どおり黒に。そして赤と白のラインを塗装で入れています。イメージソースは横須賀で観たタグボートです。あるいは子供が絵にかく船…といったところでしょうか。また海をいくジオラマとなるので、ベースとなる海の青とのコントラストも考量しつつ、赤い船体に白いキャビンのタグボートになりました。

船名のマーキング(デカール)はキット付属のLUCKY XIをそのまま使用しています。船体の張り出しや手すりなど艤装パーツは、本来ならパーツ単位で塗装して後着けしていくのですが、隙間や段差が盛大にできるので、大半のパーツは接着後にマスキング→塗装という手間のかかる方法で仕上げています。

またリアルさに欠けるということで、削り落とした甲板のロープ類は配線用のリード線をより合わせて自作したものを塗装し、甲板に接着。かなりリアルな仕上がりになりました。

▲手すりやサーチラインとなど艤装パーツを取り付けた船体。キャビンと操舵室の塗装は白だったが、使い込まれた船体の古さを演出するために、やや黄色がかったMr.カラー 「C311グレー」(本来は米軍機のベトナム迷彩色)で塗り直した

▲GSIクレオス「C311 グレーFS36622(半光沢 ベトナム迷彩色)」(220円)

▲箱絵では赤いキャビンで描かれているが作例は白で塗装した。船体はキット指定の赤と黒で塗分けている

▲煙突は黒で塗装後にマスキングして赤ラインを塗装している。白のラインは細くカットしたフィニッシュシートを使用した。煙突の牛のマークは、手元にある1979年当時のハーバータグボートのデカールから流用したもの。現行モデルには付属していない。デカールはさすがに黄ばんでいるが、これも味ということでそのまま使用

▲キャビン上部に救命ボートや手すりを取り付け塗装した状態。船体全体にスミ入れ塗料のブラウンを筆で塗布して使い込まれた雰囲気を再現している

▲リード線をより合わせて自作したロープ。柔らかい金属線なので丸めたり束ねるといった形が作りやすい

▲自作したロープを塗装

▲前部甲板と甲板後部のデッキ上に自作したロープをおいて接着

▲ロープは立体感もあり使い込まれた感も塗装で再現。甲板を引きたてる良い小道具となった

▲2本のマストと船首のネット?を取り付けて、船体全体にウエザリング。錆や油汚れといった使い込まれたタグボート感を再現した。船体両側の船に自分の船体を押し付けて誘導する際に、船にダメージを与えないための緩衝材(キットでは縄を束ねた緩衝材を再現)は思うところがあり取り付けていない。詳細は次回

 

■ハーバータグボードの完成

マストをはじめ、前部甲板のラッタルなど艤装パーツを取り付け、ほぼ完成したハーバータグボート。雰囲気の良さは当時のRevell社のキットならでは。古さは感じるもののそれがまた良い味になっている。

 

■塗装後のテストでLEDライトの光漏れが発覚!

船体にキャビンと操舵室などを接着した後に光漏れ等がないかをチェックしたところ、操舵室とキャビンの屋根の合わせ目から光が漏れることが発覚。光漏れを防ぐ塗装など気を使っていたつもりですが、キャビンを組む際に天井パーツの歪みを修正しないまま接着してしまったのが原因のようです(隙間が生じていた)。対策として、最近話題の光硬化タイプの瞬間接着剤でパーツの接着面に生じた隙間を埋め、艶消しの黒で下地を塗装やり直して光漏れを防ぎました。

▲海面ベース上に仮置きしてテスト

▲上がライトオン、こちらがライトオフの状態

▲船体の塗装後、内蔵したLEDライトを通電テストし、問題がないかを確認。オレンジ色の光りが良い感じ

▲LEDライトの発光テストで、操舵室とキャビンの天井の接着面(矢印の部分)の光漏れが発覚

▲光漏れの修正工作で光硬化型のアロンアルファ光を使用してみた。パーツの歪みから生じた隙間を同製品で修正(適度な粘度があるので隙間埋めに使用できる)。付属のライトを照射することで、より短い時間で硬化させられ、一般的なホビー用光硬化樹脂より硬化後の強度も高い。また白濁化もしないのでクリアパーツの接着にも使用できる

▲コニシボンド「アロンアルファ光」(1740円)

▲光漏れの修正完了。このあとマストの張り線も取り付ける必要があるのだが、破損しやすいため、海面ベースに取り付け後の作業とした

 

■次回、タグボートを乗せた海面の製作に入ります

LEDの光漏れの修正やパーツの擦り合わせといった作業に思っていた以上に時間がかかってしまった船体の製作も、なんとか完了しました。次回はいよいよハーバータグボートをベースに組み込んで、リアルな洋上ジオラマの製作を進めていきます。お楽しみに!

▲船体の電源をボックス側の電源と繋いで、船体をベースのスタイロフォームに接着固定したのち、モデリングペーストで船体の周囲の隙間埋めた状態

▲ボックスのふたは作業しやすいように外してある

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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