即完売の防犯カメラ、パナソニック「VL-CV100K」の実力を試してみた

昨年来、社会情勢の変化もあって注目度急上昇の家庭用防犯カメラ。僕自身も一戸建て住まいなので、昨年10月ごろから自宅の防犯が気になり始めて、Wi-Fi対応カメラをレビューしながら自宅に合計12台ものカメラを設置して運用。これまでのレビューによる研究成果は選び方として記事にまとめています。

>> 2025年最新「防犯カメラ」の選び方と、購入前に知っておきたい5つのポイント

でも、防犯カメラのレビューをまとめた2025年正月時点で心残りだったのが「防犯カメラを設置するなら、国内メーカー製が欲しい」という声に応えられなかったこと。

そんな中、パナソニックが2025年1月10日に発売したのが、モニター付き屋外カメラ「VL-CV100K」。待望の日本メーカー製で、スマホ不要で使えるモニター付きの防犯カメラです。

▲パナソニックが1月に発売したばかりの「VL-CV100K」

最近の防犯カメラのトレンドは、Wi-Fi対応でスマホアプリで操作するタイプ。TP-Link、Anker、Ringなどが発売しています。そんな中、専用モニター付属とはいかにも日本の家電メーカーらしいアプローチです。

価格は5万4780円とやや高めではありますが、なんと1月10日に出荷開始した瞬間に即完売で入荷待ち状態。やはり皆求めているのは安心の国内ブランドだったのでしょうか。今回はそんな貴重な防犯カメラ新機種を実機レビューしてみます。

▲カメラ部もモニター部もACアダプタ接続

パッケージ内容は、見た目にも丈夫そうなABS樹脂&ガラス製のカメラ本体と、約8型のモニター部。カメラは屋外設置向けで防水性能IP55相当と十分ですが、電源供給はソーラーパネルではなくACアダプター駆動。基本的には屋外コンセントのある家庭への設置か、屋内への引き込み工事が必須です。

▲玄関ポーチ脇の高所に仮固定

カメラの設置は、4本の木ネジによる壁への取り付けが正規の方法。今回はテスト目的なので、結束バンドを用いて玄関ポーチ横にある雨樋に固定しています。

▲本機の最大の特徴でもある8インチモニター

そして最大の個性はモニターが付属すること。操作はタッチパネル対応で、壁固定も、写真立てのように設置もできます。そして、Wi-Fiカメラと大きく違うのは、モニターとカメラはペアリング済みなので、電源を入れるだけですぐに使い始められること。あと、実はスマホアプリにも対応しています。

 

■タッチ操作対応のモニターが予想外に扱いやすい

▲日付などの初期設定を終えると、すぐに利用可能に

カメラ部とモニター部の接続はWi-Fi(2.4GHz)を利用していますが、家庭内のルータ経由ではなくアクセスポイントモードで直接通信する仕様。使用可能距離は、障害物無しでスペック上は約100m。テストした際にも木造戸建ての外壁越し、かつ約12mの距離でもつながりました。なお、万が一Wi-Fiの電波が届かない場合は純正オプションの中継機を最大2台追加可能です。

防犯カメラなので、当然ですが録画対応。モニター部に最大128GBのmicroSDカード(別売)をセットする仕様で、カメラを盗まれても録画データは残ります。ちなみにモニター部に有線LAN端子があり、ルーターに接続すればスマホアプリからもアクセス可能になります。

▲モニター部にmicroSDカードをセット

パナソニック「VL-CV100K」で個人的に最も気になっていたのが「8型の専用モニターってどうなの!?」という点です。

操作はタッチパネルで、UIはタッチ前提で作られていて、フリック対応。カメラのライブ映像表示までのレスポンスは約10秒とまずまず。操作感はほとんどスマホアプリのよう。画面上の“動作検知”をタップして有効にすると人物検出が常時行われるという操作感は、直感的で扱いやすく操作レスポンスも良好です。

▲モニター部はタッチパネル操作。よく出来たUI

ちなみにモニター部は450gと見た目より軽く、普段は写真立て風に置いておき、操作する時は手に取る、といった使い方をすると、ほとんどタブレット感覚です(ただし、バッテリー内蔵ではないのでコンセントは繋いだまま)。

 

■画質は普通、でも検知精度はバツグン

では気になる防犯カメラとしての画質をチェックしてみましょう。

カメラのスペックは最大でフルHD(1920×1080)で、レンズの視野角は水平約100°と一般的な水準。以下の画像は実際の録画データからの切り出したものです。

▲日中の録画画質。人検知オンの状態で録画

画質でまず言えるとするなら、フルHDとしてもさほど高画質ではない、ということです。電波状態が良くても接続時のビットレートが100kbpsを切るほどしかなく、静止画として見ても破綻するかどうかのギリギリ。ただし、防犯カメラとしては十分機能します。

▲夜間のナイトモード録画画質。人検知オンの状態で録画

▲夜間でカラー録画された場合の画質

夜間撮影時は、カラー撮影と赤外線ナイトビジョンに対応し、照度による自動切り替えに対応。僕の自宅では庭に向けたセンサーライトがある関係で夜間も照度が変化しますが、録画状態のままでも切り替わりました。

カメラ画質としては特段褒めるところはないのですが、感心したのはむしろ録画の元になる検出精度や録画データを再生する操作性です。

録画の仕様は動作検知による録画のみ(初期設定では録画はオフ)ですが、この動作検知の反応が非常に良く、録画漏れの心配はなさそうです。むしろ検出頻度が高すぎて庭木が風で揺れても録画してしまいますが、これは不審者対策としては許容すべきところ。ちなみに、検出エリアを狭めたり、感度を下げたりといったカスタマイズは可能です。さらに、その上で人検知も働くため、検知の精度は優秀でした。

▲動作検知が多すぎる場合には検知エリアをカスタマイズ

▲カメラの範囲内に人が入るとマークが付く

カメラが動作検知した際の録画データは、日付での選択も可能なシンプルなタイムラインで表示されます。タブレット風のタッチ操作を最大限活かしたUIで操作感が良く、検出履歴からジャンプすれば人検知データのみへのアクセスも簡単。

▲直感的に操作できるタイムライン風の録画ビデオ

▲検知によるイベントから再生も可能

録画時間に関わるストレージの使用量は検出頻度次第ですが、1日あたり120~200件ほどの動作検知録画で1~1.5GB程度。今回は64GBのmicroSDカードで検証したので1ヶ月以上は録画データが残る計算になります。

また、モニター部を家庭内に置いておけば、人検知をした時のみビープ音を鳴らす設定も可能。普段過ごす部屋に置いておけば、来客がインターホンを鳴らす前に気付けるというメリットもあります。ちなみに防犯観点では、カメラ側で音を鳴らす設定も可能です。

そして、モニター部を有線LANでルーター等に接続すれば、“いえモニ”アプリからもアクセス可能になります。

▲スマホアプリ“いえモニ”からもカメラにアクセス可能

録画リストのタイムライン表示や検知履歴機能があるなど、機能は揃っています。ただし、ライブビューのUIがシンプル過ぎて直感的ではない点は残念。家の外からでも自宅の防犯カメラにアクセスできるのはスマホアプリならではなので、必要に応じて活用してほしいポイントです。

*  *  *

パナソニック「VL-CV100K」を使って感じたのは、やはり「国内メーカーならではの安心感と完成度の高さ」です。

価格は5万円台と、Wi-Fi防犯カメラと比べると高めではありますが、検知精度の高さと人物認識の精度、モニターに操作による録画リストの見やすさはパーフェクト。

▲夜間の赤外線センサーは防犯効果もありそう

最初は「スマホアプリの方が便利なのでは?」と思っていましたが、使っていくうちに「むしろモニターがあるからこそ便利」と思い始めたほどです。家の中ではモニターですぐに確認し、外出先ではスマホアプリでアクセス。この組み合わせができるところが「VL-CV100K」の強み。

この出来の良さなら発売直後に即完売したのも納得です。現状、数ヶ月待ちになっているのは残念ではありますが、国産メーカーの防犯カメラを待っていた人には、安心してオススメできる一台ですね。

>> パナソニック「モニター付き屋外カメラ VL-CV100K」

<取材・文/折原一也 撮影協力/パナソニック>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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