エンジンと銃座を製作後、収まるようにフィギュアを改造【達人のプラモ術<米海軍PACV後期型>】

【達人のプラモ術】
ゲッコーモデル
「1/35 米海軍 パトロール エアクッション ビークル(PACV)後期型」
05/08

第5回となるPACVの製作も佳境に突入! 今回はキャビン上部に設けられ旋回銃座、搭載されたエンジン等、艇体の艤装を進めつつ、お待たせしました、雰囲気ありありのフィギュアも組み合わせてみました。それと同時にメコン河をイメージしたジオラマベースも製作も進めなきゃけない等々…まだまだやることテンコ盛りであります。(全8回の5回目/1回目2回目3回目4回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■艇体の塗装 その2

前回、悪戦苦闘して組んだ艇体の艤装ではありますが、まだまだやることはたくさんあります。まずは艇体下部となるスカート部分を塗装。インストではツヤ消し黒が指定されていますが、よりゴムらしさを出すため、グレーを下地塗装したのち、タミヤラッカー塗料「LP-65ラバーブラック」で塗装しています。同時に艇体上部と下部の修正を加えた部分のオリーブグリーンも塗装しておきます。

前回、ウインドウパーツを取り付けたキャビントップは、窓部分をマスキングして同じくオリーブグリーンで塗装します。

▲PACVのスカートは、ゴムらしさを出すために一工夫している。エアブラシを使い、まずはダークグレーをあえて縦方向にムラ吹きする

▲本塗装はタミヤラッカー塗料「LP-65ラバーブラック」を使用。スカートのつなぎ目には黒でシェードを入れることで立体感を強調している

▲スカート部分を塗装後、艇体の合わせ目部分もオリーブグリーンを塗装。艇体全体にも黒でシェード塗装を施すことで陰影を強調した

▲窓パーツは縁周りが艇体色となるので、マスキングを施して塗装する必要がある

▲塗装が完了したしたキャビントップ

 

■銃座の製作

キャビン上に設けられた2連装の銃座を製作します。PACVには、戦闘機などにも搭載されていた12.7mmブローニングM2重機関銃を2連装で装備した回転銃座が搭載されています。キットは弾薬箱を含めてよく再現されていて、組んでみるとできが良いので、ガンナーのフィギュアが欲しくなります。

銃座に合わせてキャビン内部にガンナーの足場を組むのですが、これが難物で、細いステーを組み合わせつつキャビン床と天井の取り付け位置に合わせるという難易度の高い工作が要求されます。

全てパーツが点着けということもあり、とても組みにくく、また接着強度が出せずに苦労させられました。

実物がこうなっているのだから再現しました、というパーツ構成は分かるのですが、模型としての組みやすさとか強度といったものは一切考慮されていないのが辛いです。ある意味これも最近の海外製キットあるあるなんですけどね。

▲インストの工程19で製作するガンナーの足場だが、パーツがほとんど点着けで、接着の角度指定がなく、キャビン床の取り付け位置に合わつつ天井側とも位置合わせが必要、と組み立ての難易度が異様に高い。まずプラ用接着剤でステーを組んでおき、ある程度固まった時点でステーのキャビン床と天井への取り付け位置を調整して、瞬間接着剤で固定する

▲組み上げた旋回銃座。2連装のM2機銃は上下に稼働させられる。

▲足元に弾薬箱も再現されているが、作例ではガンナーのフィギュアを乗せる関係で取り付けていない

 

■エンジンの製作

インストでは、旋回銃座の足場を組んだ時点でキャビントップを接着固定となっいるのですが、作例ではフィギュアを乗せるため、この時点ではキャビントップを接着していません。この状態でキャビン上にかかるエンジンやレーダマストを製作していきます。

PACVはゼネラルエレクトリックの7LM100-PJ102ガスタービンエンジンを搭載しており、最大1100hpの出力。プロペラ推進ですが最大60ノット(約110km/h)を出せて、航続性能は1150リットルの燃料タンク満タンで約300kmだったそうです。

性能は文句なしですが、整備性は最悪だったそうで、それがベトナム戦争でのPACVの大きな弱点になってしまいました。

キットでは、ガスタービンエンジン自体はパーツ化されていませんが、特徴的なフェアリングと搭載された船舶用レーダーが再現されています。推進用のプロペラはピッチ角が決めにくいので要注意です。

エンジンフェアリングは内部に何もないので、モーターを仕込めばプロペラの回転ギミックも難しくなさそうです。

▲キャビントップからホバー用インテークにかぶさるように取り付けるエンジンフェアリング。細かく打たれたリベットなどディテールは良い感じだ

▲エンジンフェアリングも艇体と同様に黒下地→オリーブグリーンで塗装

▲キャビントップに取り付けたエンジンフェアリング。大きく上に張り出しているのがレーダーアンテナ。最長39km離れた距離からターゲットを検出でき、PACVの得意とする夜間戦闘で大きな威力を発揮した

▲エンジントレーダーを取り付けたキャビントップを艇体に取り付ける。キャビン内部にフィギュアを乗せるので、この時点では接着していない

▲エンジンと旋回銃座を取り付けたことで、オリーブグリーンの塗装と相まっていかにも軍用のPACVの雰囲気が出てきた

▲キャビン窓のマスキングはまだ剥がしていない

▲推進用のプロペラはインストの指定で白で塗装しているが、なんとなく違和感があるので調べてみたところ、黒で塗られたものもあるようだ。プロペラの周りにカバーがないので、危険な回転エリアを視認しやすくするための白塗装と思われる

 

■お待たせしました!ネットで注文したフィギュアが到着

ネットで注文後、到着予定日に届かずヤキモキしていたGoodmoe「1/35 ベトナム戦争アメリカ戦車用ソルジャー」のフィギュアが一週間遅れでようやく届きました。表情やディテールは申し分なく、あとは塗装次第といったとことです。

しかしこの2体のみだと寂しいので、フィギュアを追加します。タミヤ「1/35 アメリカ海軍 PBR31 Mk.IIピバー」を購入。付属している4体のフィギュアとジェリ缶やラジカセといったアクセサリー類を流用することにしました。

タミヤ「PBRピバー」に付属しているフィギュアも古いキットながら、良い味が出ているのですが、PACVに乗せるとなると改造が必要です。

総舵手は腰と腕、脚を一度切り離して、座席に座れるようにポーズを変更。ガンナーも腕の取り付け角度を変更しています。またどちらもひざ下をカットすることで座席に収まるようにしています。完成後は見えなくなるのでカットしても問題はありません。

総舵手はキャビン内部に収めるため、先行で塗装を進めます。

レジン製フィギュアとピバーに付属していた残りの2体は、PACVを完成させたのち、甲板上に配位する予定です。総舵手とガンナーは先行で塗装して、キャビン内と銃座に収めて固定します。フィギュアの塗装は次回詳しく解説します

タミヤ
「ミリタリーミニチュアシリーズ No.150 1/35アメリカ海軍 PBR31 Mk.II ピバー」(4510円)
ベトナム戦争のメコン河流域で、高速性能と重武装を活かして活躍したアメリカのパトロールボート。兵士のフィギュア4体と12.7mm機銃や7.62mm機銃、40mmグレネードランチャーなどの兵装類や、ジェリカン、ラジカセなどアクセサリーが付属する。

▲今回追加としてタミヤ「1/35 アメリカ海軍 PBR31 Mk.II ピバー」のフィギュアを流用

▲タミヤ「PBRピバー」に付属する立ちポーズのフィギュアを使用。腰と腕の角度変更、PACVの操縦席に自然なポーズで収まるように膝から下をカット。また尻部分も薄く削る

▲立ちポーズのフィギュアを改造。操縦席に仮り組みした総舵手

▲旋回銃座のガンナーは、腕の取り付け位置を変更し、脚を膝下でカットすることで銃座に収められる

▲手元に到着したGoodmoeのレジン製「1/35 ベトナム戦争アメリカ戦車用ソルジャー2体セット」(3687円)

 

■ジオラマベースの製作 その2

前回、スタイロフォームでベースを製作したその上に、モデリングペーストを盛り付けて河の質感を作っていきます。いつも製作している海のようにモデリングペーストで波のエッジを立てるのではなく、ベースに盛り付けたモデリングペーストの表面を水を含ませた筆でなだらかに整えて、メコン河のウネリを表現。艇体後部は水が波だっている感じで製作しています。

▲スタイロフォームのベースにモデリングペーストを使い河の質感を再現

▲モデリングペーストを盛り付けた後、水を含ませた平筆で表面を均して河の水面らしく仕上げているところ

▲モデリングペーストが乾燥した後、PACVの艇体を乗せてチェック。箱絵に見られるような艇体後部で派手に巻き上がる水煙をどう表現するか…現在悩み中

 

■次回はフィギュア塗装に注目!

というわけで今回はここまで。いやー、艇体の製作やフィギュアの改造、ベースの製作等々やることが多くて…これが面白いんですけどね。次回はフィギュアの塗装と、さらにPACV本体の完成を目指します。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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