ソニーが5月13日にスマートフォンの最新フラッグシップ「Xperia 1 VII(エクスペリア ワン マークセブン)」を発表しました。ソニー直販のSIMフリーモデルは6月上旬以降発売で、12GB/256GBモデルが20万5000円前後、12GB/512GBモデルが21万9000円前後、16GB/512GBモデルが23万5000円前後と予告されています。キャリアではドコモ、au、ソフトバンクが12GB/256GBモデルを取り扱います。価格は、ドコモは未定。auは22万9900円、ソフトバンクは24万7680円とやや高めですが、実質的な端末代金を安く抑えられる購入サポートを利用できます。
▲カラバリはスレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルの3色。ただし、ソフトバンクはオーキッドパープルを扱わない
ソニーは、Xperia 1 VIIの優位性として、ソニーの独自技術を生かしていることを挙げています。具体的には、カメラは「α」、ディスプレイは「ブラビア」、音楽機能は「ウォークマン」のDNAを継承。従来から行われていることですが、Xperia 1 VIIの開発に当たっては、さらに踏み込んで、メインターゲットであるクリエーター層に満足してもらえる品質をめざしたとのこと。5月15日にメディア向けに開催された新商品体験会で、その特徴をいち早く試すことができました。
▲ソニーのデジタル一眼カメラ「α」、テレビ「ブラビア」、音楽プレーヤー「ウォークマン」で培った技術をモバイルに最適化して搭載
■超広角カメラが進化し、AIを用いた新しい撮影モードを追加
背面カメラは超広角(約4800万画素/F値2.0/16mm)+広角(約4800万画素/F値1.9/24mm)+望遠(約1200万画素/F値2.3-3.5/85-170mm)という構成。前モデルのXperia 1 VIと同じ3眼ですが、超広角カメラのイメージセンサーが前モデル比で約2.1倍の1/1.56インチへと大型化。暗い場所でも細かいディテールまでクリアに撮影できるように進化しています。
▲可変式望遠レンズを含むトリプルレンズカメラを搭載
▲体験会で撮影した画像。暗い場所で超広角で撮影したが細かい部分まで明瞭に写った。過度に明るく補正されず、自然な明るさで写ることも特徴
メインで使う広角カメラは48mm(2倍)でも画質が劣化しない光学ズーム相当の画質で撮れることが利点。望遠カメラは85mm(3.5倍)〜170(7.1倍)の範囲で光学ズーム撮影が可能。なお、これらの仕様は前モデルから変わっていません。
今回大きく強化されたのがAIを用いた動画撮影機能。「AIカメラワーク」と「オートフレーミング」という新機能が追加されました。
▲Xperia 1 VIIと前モデルのXperia 1 VIの2台で同時に撮影して比較した
「AIカメラワーク」は、被写体を画面中央に固定して撮影できる機能。αから移植された「姿勢推定技術」と強力な手ブレ補正機能により、撮影者が画面から目を離しても、被写体がフレームからずれる心配がなく、大切な瞬間を自分の目で見られる趣向。例えば、運動会での子どもの様子を、自分の目で見ながら、きれいな映像も残せるわけです。
▲Xperia 1 VIで撮った動画からのスクリーンショット
▲こちらはXperia 1 VIIの「AIカメラワーク」で撮影した場合。被写体が中央に映るように補正される
▲Xperia 1 VIで撮影。動く被写体を追うと、フレームアウトすることがあった
▲Xperia 1 VIIの「AIカメラワーク」では、動きながら撮影しても人物を中心に捉えることができた
「オートフレーミング」は、全体を捉えた映像と、指定した被写体が中心になるように自動で切り出された映像の両方が記録される機能。体験会では、3人のダンサーのパフォーマンスを撮影して、操作感を試すことができました。被写体に寄った映像は縦フレームで記録されるので、「Instagram」のストーリーや「TikTok」などに投稿する際にも重宝しそうです。
▲切り出したい被写体をタップして指定してから撮影を開始する
▲「オートフレーミング」では超広角で撮影した動画が記録される
▲指定した被写体を中心に捉えた縦型動画も同時に記録される
■ウォークマンで実績のある高音質部品を採用
Xperiaの音楽機能は従来から評価が高く、内蔵スピーカーでもイヤホンでも高音質で楽しむことができました。その音質向上を継続しつつ、今回、さらに強化されたのが有線ヘッドホンやイヤホンで聴くときの音質。オーディオジャック部全体に金を加えた高音質はんだを用いることで伝送ロスを抑制し、さらに非磁性銅メッキ加工を施した高音質抵抗によって音の歪みを抑えるなどして、Xperia史上最高の音質を実現したとのこと。
▲上部にヘッドホンジャックを搭載
ソニーの説明員によると「金を加えた高音質はんだ」は、ウォークマンにおける「秘伝のたれ」のようなもので、音質を決める重要な部品だそう。2世代前のXperia 1 Vと聴き比べてみると、音の厚みが増し、広がりが感じられました。比較的、静かなサウンドを聴いた際も、繊細な音色がより明瞭になったように感じられました。
▲同じ楽曲、同じ音量で2世代前のXperia 1 Vと聴き比べてみた。筆者はマイケル・ジャクソンの「スリラー」と藤井風の「まつり」を聴いてみたが、Xperia 1 Vも十分に満足できる音質なのだが、Xperia 1 VIIは、さらに違いがはっきりわかるほどに音質が向上していた
■ブラビア譲りの高画質ディスプレイも正常進化
ディスプレイは前モデルに引き続き、約6.5インチの有機EL。解像度はフルHD+(2340×1080)で、リフレッシュレートは最大120Hz。ソニーのテレビ「ブラビア」の高画質化技術が用いられています。
前モデルからの進化点としては、最大輝度が20%向上。さらに、ディスプレイ上部だけでなく、背面にも照度センサーが搭載され、周囲の明るさを検出する性能が向上したとのこと。これにより、晴れた日の屋外でも暗い室内でも、見やすい明るさに最適化。ただ、明るさが調節されるだけでなく、色味も自動で調整されることがポイントです。
▲左が前モデルのXperia 1 VI、右が背面にも照度センサーを搭載したXperia 1 VII。暗めの場所でもディスプレイが明るく表示されるので、写真や動画が撮りやすくなる
▲左がXperia 1 VI、右がXperia 1 VII。Xperia 1 VIIのほうが明るく、鮮やかな色で表示された
▲左がデフォルトで表示される画面で、ブラビアの高画質化技術によって、明るさや色が最適化される。右は本来の画質のままで表示される「クリエイターモード」をオンにした場合
■長く使い続けたくなる王道ハイエンド
プロセッサーは今季最高峰と言える「Snapdragon 8 Elite」なので、動作性に不安はなし。ゲームも快適に楽しめるはずです。バッテリーは5000mAhで、一般的な使い方であれば1日は余裕で持つでしょう。
▲体験会の会場では、2世代前のXperia 1 Vと電池持ちを比べるデモが展示されていた。朝4時から動画再生を開始し、7時間ほど経過した時点の電池残量はXperia 1 Vは55%、Xperia 1 VIIは78%だった。Xperia 1 VIIの電池持ちは前モデルのXperia 1 VIと同等とのこと
4年使っても80%以上の容量が見込める長寿命バッテリー、最大4回のOSアップデート、6年間のセキュリティアップデート対応など、長く使い続けられる施策も万全です。
▲大き過ぎず、持ちやすいボディサイズと飽きのこないデザインも魅力
▲ボタン配置は従来モデルと同じ。Health」とにカメラボタンも搭載
Xperia 1 VIIは新機能は少ないものの、毎日使う基本性能をしっかりアップデートさせてきたという印象。カメラやディスプレイにはソニー独自のAI機能が導入されていますが、独自の生成AI機能は搭載されていません。しかし、Googleの「Gemini」や「かこって検索」などにはしっかり対応。余計なものがない “生真面目なハイエンド” といった風情。決して安くはありませんが、AV性能を重視する人にとっては、良き相棒になってくれそうですよ。
▲ソニーはXperiaに搭載するAI機能を「Xperia Intelligence」と称している。文章や画像の生成機能はなく、AV機能に特化していることが特徴
▲GoogleのAI機能はしっかり搭載
>> ソニー「Xperia」
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/676954/
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