ボディのイエローはボックスアートのイメージで!【達人のプラモ術<ルノー5ターボ ラリー仕様>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 ルノー5ターボ ラリー仕様」
02/04

ルノー5(サンク)製作の第2回です。やっぱりラリーカーはいいですね。いつの時代のマシンも最高にカッコ良いです。この原稿を書きながらネットでルノー5の動画を探して観ていたんですが、ついつい原稿そっちのけで見入っちゃいました。

というワケで今回は、前回下地処理を済ませたボディの塗装のハウツーを紹介していきます…。ってなんでボディが2個あるんしょうねぇ?(全4回の2回目/1回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■ボディの塗装

前回、グレーサフで下地処理を済ませたボディを塗装していきます。

ルノーのワークスカラーのボディはイエローとホワイト、そしてブラックで塗り分ける必要があります。メインとなるイエローはタミヤ缶スプレーTS-16イエロー(もしくはタミヤラッカーLP-8イエロー)が指定されています。イメージ的には明るいレモンイエローといった感じです。

塗装は明るい色から暗い色の順番で塗装していくのがお約束なので、まずホワイト(タミヤラッカーLP-2)から塗っていきます。

塗装は口径0.3mmのエアブラシを使用。塗料は溶剤(ラッカー薄め液)で基本1:1に希釈し、塗装は3回重ねていきます。さらに仕上げの2回のみ、溶剤6:塗料4で希釈することで平滑な塗装面に仕上げます。

▲ホワイトの塗装1回目は、光沢出すことを考えず全体に均一に白を塗ることを意識して塗装(荒吹き・砂吹きとも言う)。これにより2回目以降の塗装で塗料が垂れにくく、しっかりと食いついてくれる。砂吹きを30分ほど乾燥させたのちに、さらに白を2回+仕上げの2回と重ねていく

▲色が白なのでちょっと分かりにくいが、荒吹きを2回終わらせた状態。塗装面の凹凸が3回目以降の塗料をしっかりと受け止めて、希釈した塗料でも垂れにくくなる

▲溶剤6:塗料4まで希釈した仕上げの白を2回重ねたボディ。綺麗に光沢が出ている。この状態で最低でも24時間乾燥(乾燥機使用なら2時間)させる

▲塗装を乾燥させたのち、ボディの白となる部分(ルーフ、前後バンパー、ボディのサイドシル)をマスキングテープでしっかりカバー

 

■黄色塗装は下地塗装が大事!

ボディのメイン色となるイエローは隠ぺい力(下地を隠す力)が弱いため、下地の仕上げに気を使います。先に塗装した白の塗装面にムラやシミなどがあると、イエローを塗り重ねても出てきてしまうので要注意です。

塗装はタミヤラッカーLP-8イエローを使用。白と同じく基本1:1で希釈。4回塗り重ねて、さらに仕上げの2回は溶剤6:塗料4で希釈して塗装することで、平滑な仕上げを得ています。

また塗料は乾燥の際にわずかですが縮む性質があるため、隠ぺい力のない色だと乾燥後に凸部分の塗膜が薄くなり、下地の色がうっすらと浮き出てムラの原因になることがあります。そこで砂吹きの際にボディの凸部分を先に塗装しておきます。

▲テストペイントしたサンプルを見てもわかるようにグレーサーフェイサーの下地だと何度塗り重ねても仕上がりが暗くなってしまう。下地をしっかりと白で塗装しておくことで、鮮やかな発色が得られる

▲イエローは隠ぺい力が弱いので、下地塗装で色味が変わってしまう

▲乾燥時の塗料ヒケによる塗りムラを防ぐため、砂吹き塗装の際にボディのエッジ部分やドアやエンジンフードのモールド部分を線吹きで色を入れておく

▲6:4で希釈したイエローで仕上げ吹きをしているところ。エアブラシのクラウン(ニードルカバー)を外しているのは、カバーに付着した塗料の粒が塗装面に飛ぶのを防ぐため。ただしニードルがむき出しになり、ニードルを曲げてしまうといったトラブルの原因にもなるるので、お勧めはしない。ニードルカバーを外した塗装はあくまでも自己責任で

▲イエローの塗装が完了。仕上げを含めて6回塗り重ねているが、必ず6回塗らなくてはいけないということではなく、ムラなく綺麗に仕上がっているのならば3回でも4回でも問題はない。白塗装と同じく最低でも24時間乾燥させる

▲イエローを1時間ほど乾燥させてマスキングテープを剥がす。完全乾燥させてしまうと塗膜が硬くなるので、マスキングテープを剥がす際に塗装がエッジ欠けを起こすことがある。これを防ぐために塗膜がある程度柔らかい状態の時に剥がしている

 

■黒での塗装

イエローの塗装が乾燥したら、ボディを再びマスキング。

ボディ両サイドとエンジンフード、リアオーバーフェンダーのインテーク部分を黒(タミヤラッカーLP-3ブラック)で塗装(2回吹き)していきます。ボディの両サイドの黒ラインは、基本デカールで再現されていますが、ウインドフレーム部分などは塗装しておく必要があります。

先に塗装した白とイエローの部分に黒がはみ出してしまうと修正に手間がかかるので、マスキングは丁重に、しっかりボディ全体をカバーしておくことをお勧めします。

▲黒での塗装が完了した状態。1時間ほど乾燥させてマスキングテープを剥がし、さらに24時間乾燥させる

▲黒塗装を乾燥させて、全てのマスキングテープを剥がし、ボディの基本塗装が完了した状態

 

■さて、なぜボディが2個あるのかと言うと…

先にも書きましたが、ボディカラーのイエローは、インストの指示では缶スプレーTS-16イエロー、もしくはタミヤラッカーLP-8イエローが指定されています。ボディの基本塗装を完了させてから当時の資料写真などを見ても、色調も実車のイメージをよく再現した色であることが分かります。

しかしこれはあくまでも個人的なイメージなんですが、キットのボックスアートで描かれているややオレンジみの強いイエローのボディカラーがカッコ良いなぁ~と思っていたんですね。

指定色で仕上げたボディはこれはこれでアリでカッコ良いのだけれど、自分の思っているルノー5ターボ ラリー仕様のイエローはタミヤのボックスアートなんだよ! というワケでキットをもう1点購入(こういう時、3520円というリーズナブルな価格がありがたい)、自身が思う色で塗装したというワケです。

使用したカラーは、ガイアカラー005 サンシャインイエロー。やや赤みのあるイエローです。塗装工程は純正色と変わりませんが、タミヤラッカーよりもさらに10パーセントほど薄めて使用しています。赤みのあるイエローのボディはリアル派のモデラー諸氏には、こんな色ではないと怒られてしまいそうですが、そこはそれ、プラモデルなので自分の思うイメージでの塗装は大事。ボックスアートのイメージに仕上がったことで満足しています。

▲ボックスアートの赤みのあるイエローがカッコ良い、ルノー5ターボ ラリー仕様。追加塗装したボディはこのイメージで仕上げている

▲指定色で仕上げたボディ(写真手前)にデカールを貼ったあと、個人的な好みからあらたにガイアカラー005 サンシャインイエローで塗装したボディ(写真奥)を追加で製作。キットの指定色となっているタミヤラッカーLP-8イエローに比べてかなり赤みが強いのが分かる

▲ガイアノーツ「ガイアカラー005 サンシャインイエロー」(275円)ガイアノーツの基本カラーのひとつ。発色がよくキャラクターモデルでもによく使われるラッカー系塗料の黄色

 

■お楽しみのデカール貼り!

塗装を乾燥させたらデカールを貼っていきます。

GTカーやラリーカーは今も昔も派手なグラフィックが大き魅力ですよね。今回製作のルノー5ターボ ラリー仕様は、近年のラリーカーほどの派手さはありませんが、1981年のWRC開幕戦でJ.ラニョッティのドライビングで勝利を収めたワークスマシン仕様となっています。

キット付属のデカールも大判ではなく、曲面に貼る部分も少ないので、デカール貼りの練習には最適だと思います。

▲基本塗装が完了したボディとキット付属のデカール。シルク印刷ではないが、質もボディへの馴染みも良く、貼りやすい。貼るに際して難易度が高いのは、ボディ両サイドの黒ラインとフロントボンネットのルーバーの白ラインといったところ

▲ボディサイドの黒ラインは前後2分割されている。まずは前部分を貼っていく。デカールの貼る位置に沿わせた台紙を引き抜いた後、慎重に位置修正をしていく。無理に引っ張ると破けやすいので要注意。位置修正は水を含ませて行うこと

▲綿棒でデカ―ル内側の水分と気泡を外に押し出す。先端の曲線部分はマークフィッター(デカール軟化剤)を使ってボディの曲線に馴染ませていく

▲後ろ部分の黒ラインはオーバーフェンダー上にかかる。オーバーフェンダー上で前部分のデカールを繋ぐのだが、凹凸があり、ここもマークフィッターを使いたい。前後の繋ぎ目がずれてしまうとカッコ悪いので、位置合わせは慎重に

▲黒ラインの先端部分は、ボディの曲面に馴染ませるため、デザインナイフで指定の位置(矢印の部分)に切れ込みを入れおく必要がある

▲続けてルーフのルノーマークを貼っていく。台紙からデカールをスライドさせて、位置を決めたら水分を拭き取り、綿棒で内側から外側に気泡を追い出していく。位置がずれてしまったらたっぷりの水を漬けて修正する

▲大判のelfマークも同様に貼っていく

▲ボディサイドのスポンサーデカールは、ゼッケンとの位置関係が微妙なので、ゼッケンデカールの前に貼った方が良い

▲ちょっと難易度が高いボンネットのルーバーの白ライン。ラインが細くねじれやすいので、デカールを持ち上げるのは禁物。台紙からボディ上にスライドさせて、ピンセットで正しい位置に持っていく

 

■デカール貼りが完了!

この状態で最低24時間は乾燥させます。

 

■慌てず騒がず、ゆとりをもってが塗装とデカール貼りを失敗しないコツ

以上、今回はボディの塗装とデカールを貼りついて解説させていただきました。

このあとデカールの保護とボディの光沢を出すために、クリアーでのオーバーコート塗装を行いますが、デカールの水分を抜くために最低でも24時間以上乾燥時間が必要です。塗装でも各色ごとに乾燥時間をしっかりと取っているので、今回の作業には4日を要しています。

プラの塗装、特にカーモデルのツヤあり塗装、そしてデカール貼りで焦りは禁物。慌てて作業を進めるとトラブルの原因になりますので注意してください。

さて次回はクリアー塗装、塗装面の研ぎ出し、そしてインテリアの製作を進めます。お楽しみに!

▲純正色で塗装したボディ(手前)と個人的な好みでボックアートのイメージで塗装したボディ(奥)、さてあなたはどちらがお好みですか?

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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