以前にはなかったのに、いまのカメラに求められることといえば、やはりシェア機能かもしれません。だからこそデジカメはスマホ連携機能が重要になってきます。さらに色や味といったデジカメならではの“写真づくり”に関する機能も欲しいところです。
LUMIXの最新コンデジ「DC-L10」(実勢価格:20万9880円)は、もしかするとそんな写真づくりの部分まで考えて作られたカメラなのかもしれません。撮ったときの感覚を忘れないうちに仕上げられる。これってかなり大きなことです。
そういった写真体験まで含めた使い勝手をフォトグラファーの田中利幸さんが詳細にレビュー。「DC-L10」の魅力を深堀りします。
監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。
【趣味カメラの世界 #38】
ここまで2回にわたって、LUMIX L10のデザインや操作感、そして街に持ち出したときの軽快さについて見てきました。
使ってみて改めて感じたのは、このカメラの魅力は“撮る瞬間”だけで終わらないことです。LUMIX L10は、日常に持ち出しやすいコンパクトカメラでありながら、撮ったあとに写真をどう仕上げるか、どう楽しむかまで含めて、かなり現代的なカメラだと感じました。
■LUMIXといえば、やっぱりリアルタイムLUTが面白い

パナソニックのカメラといえば、やはりリアルタイムLUT(Look up table)を思い浮かべる人も多いはず。最近のLUMIXではおなじみの機能ですが、LUMIX L10でもその楽しさは健在です。

同じシーンで撮影しても、LUTの違いで仕上がりイメージにかなり変化があります。
設定できる項目は多岐にわたり、使ってみると奥が深く、撮影前から仕上がりの雰囲気をイメージしながらクリエイティブな色選びを楽しめます。
▲LUMIX L10、75mm(35mm換算)、フォトスタイル:STD、LUT1:Teal Flat-S、LUT2:Firebird、シャッタースピード1/400秒、F2.5、ISO100
▲LUMIX L10、55mm(35mm換算)、フォトスタイル:STD、LUT1:Eternal、LUT2:なし、シャッタースピード1/500秒、F2.8、ISO160
単に派手なフィルターをかけるというよりも、自分の撮りたい空気感に寄せていけることがLUTの魅力です。街並みを少しノスタルジックに寄せたり、人物を柔らかく見せたり、少しフィルムライクで懐かしさを感じるようなLUTが個人的なお気に入りです。
LUTは2種類を重ねがけしたり、濃度を調整したり、基準となるフォトスタイルの違いでも仕上がりに変化がでるので、調整の幅は無限大。撮影するときに“今日はどんな写真にしたいか”を考えるのが楽しくなります。
▲LUMIX L10、46mm(35mm換算)、フォトスタイル:CINE2、LUT1:Clear-S、LUT2:Filmlike-V2、シャッタースピード1/500秒、F6.3、ISO160
こうしたこだわりのある色作りは、RAW撮影をしてパソコンでじっくり仕上げるもの、という感覚もあったかと思います。けれどLUMIX L10では、カメラ側で仕上がりを確認しながら気軽に試して、自分の好みに近づけていける。こういう体験は、趣味カメラとしてかなり魅力的でした。
■撮って終わりじゃない。アプリ連携がこのカメラの楽しさを広げてくれる
LUMIX L10の魅力を語るうえで、LUMIX Labアプリの使い勝手の良さは外せません。

最近はカメラとスマホを連携できること自体は珍しくなくなりましたが、実際に使ってみると、このアプリの体験はかなりよく考えられていると感じました。カメラとの接続もスムーズで、画像の取り込みや確認も分かりやすい。アプリの使い勝手が良いだけで、カメラを使うハードルはかなり下がります。
特に便利だと感じたのは、アプリ上でRAW現像までできること。

JPEGをそのままスマホへ送って終わりではなく、RAW+JPEGで撮っておいて、あとからスマホ上で仕上がりを少し追い込める。これはかなり現代的な使い方だと思います。カメラ内の設定を詰めて撮影しつつ、RAWでも撮影しておけば、後からLUTの雰囲気を変えたり、露出を整えたりだけではなく、スマホ上でかなり細かいカラー調整まですることが可能になります。
■帰りの電車でRAW現像、そのままSNSへ。いまどきの使い方と相性がいい
実際に使っていて印象的だったのは、撮影後のスピード感でした。撮影を終えて、帰りの電車の中でスマホに写真を送り、そのままRAW現像してSNSにアップする。こういう流れが、無理なく成立します。これまでのPCの前に座ってじっくり仕上げる楽しさとはまた違う、スピード感とカメラマンのこだわりを両立できる新しい写真の楽しみ方なのではないかと思いました。
▲LUMIX L10、51mm(35mm換算)、フォトスタイル:VIVD、LUT1:1992、LUT2:なし、シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO200
自宅に戻ってPCに取り込んで、という作業ではなく、さっきまでの撮影していた感覚そのままにスマホでサクッと現像することで、その日の空気感まで写真に込められる気がします。
もちろん、じっくり時間をかけて仕上げたい写真もあります。ただ、日常のスナップやちょっとしたポートレートでは、撮った熱量が冷めないうちにそのまま形にできるのは大きな魅力です。LUMIX L10とLUMIX Labは、そういう“撮ったあと”の気持ちよさまで含めて写真体験として設計されているカメラでした。
■LEICA DCレンズと4/3型センサーが、スマホとは違う“カメラらしい描写”を見せてくれる
色の話やアプリの便利さが印象的な一方で、やはり土台にある写りの良さも大事です。LUMIX L10は、光の表情を繊細に捉えるLEICA DCレンズと、4/3型センサーの組み合わせによって、スマホとはひと味違う“カメラらしい描写”をしっかり見せてくれました。
▲LUMIX L10、70mm(35mm換算)、フォトスタイル:L.モノクロームS、LUT1:1992、LUT2:Clear-S、シャッタースピード1/640秒、F2.8、ISO800
望遠側でもF2.8と比較的明るく、少し引きの撮影でも自然な背景のボケ感で人物が引き立ちます。絞り開放から描写は安定していて、特に不満は感じませんでした。
▲LUMIX L10、62mm(35mm換算)、フォトスタイル:VIVID、LUT1:Firebird、LUT2:なし、シャッタースピード1/500秒、F6.3、ISO125
絞ったときのピントのキレや解像感も好印象。スマホで撮る写真が悪いという話ではもちろんありませんが、やはりセンサーサイズとレンズの余裕が生み出す描写には、カメラならではの気持ちよさがあります。
▲LUMIX L10、68mm(35mm換算)、フォトスタイル:STD、LUT1:Fresh Bright、LUT2:なし、シャッタースピード1/800秒、F10、ISO2000
逆光耐性もしっかりしている印象でした。コントラストの低下も少なく、葉のディテールもしっかりと出ています。ただ、ISO2000を超えたあたりからの高感度ではノイズが気になるシーンもありました。個人的には高感度ノイズも味として、表現次第ではありだと思っていますが、クリアな描写を得たいときには感度は上げすぎないほうが良いかもしれません。
■日常をちょっとクリエイティブに切り取る。LUMIX L10は撮るときも撮ったあとも楽しい
価格を考えると、細かい部分で気になるところがまったくないわけではありません。AFは十分実用的ですが、ハイエンドミラーレスのような絶対的な安心感とは少し違いますし、すべてが完璧な万能機というわけでもありません。

それでも、日常で軽やかに高画質なカメラを持ち歩くというコンセプトを考えれば、LUMIX L10はかなりその狙いに合ったカメラだと思います。軽くて、撮りやすくて、色でも遊べる。さらにアプリ連携によって、撮って終わりではなく、その場で仕上げて楽しむところまで自然につながっている。LUMIX L10は、いまの時代の趣味カメラとして、かなり完成度の高い一台でした。
▲LUMIX L10、45mm(35mm換算)、フォトスタイル:ポートレイト、LUT1:1992、LUT2:なし、シャッタースピード1/1600秒、F3.2、ISO400
デザインや操作感に惹かれ、街へ持ち出して使ってみると軽快さに納得し、最後には色やアプリ連携まで含めて楽しくなる。LUMIX L10は、使うほど印象が良くなっていくカメラでした。スマホで写真を撮るのが当たり前になった今だからこそ、こういう“カメラならではの楽しさ”を、改めて思い出させてくれる存在なのかもしれません。
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism)、深井モエカ(@shinnimoeka)>
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- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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