【特集】この冬買いたいMade in JAPANウォッチ
日本は世界の腕時計の半分を生産する時計大国。しかし、200を超える時計ブランドが存在し新ブランドが続々と生まれるスイスとは対照的に、その数はごくわずか。とはいえ2000年以降は、世界に飛躍した新時計ブランドも少ないが登場している。それが「 MINASE(ミナセ)」と「Knot(ノット)」。世界が認めるその魅力、そして最新モデルをご紹介しよう。
■工具メーカーから、理想の腕時計作りへ
腕時計を製造するための工具作りから、腕時計ケースの製造。さらに腕時計のOEM生産。そして自社ブランドでのオリジナルウォッチ作りへ。
▲秋田県湯沢市皆瀬ファクトリー
秋田県湯沢市の皆瀬(みなせ)にファクトリーがある「MINASE(ミナセ)」は、切削工具メーカーである協和精工が、1963年の創業から40年を超える歴史を経て、2005年に創立した新しい時計ブランド。
ステップ・バイ・ステップで時計作りの実力を蓄えた後に、満を持して開発・製造されているオリジナルウォッチだけに、その製品の品質は、スイスも認める高いレベルにある。
印象的なケースに始まり、文字盤のインデックスなど、金属のシャープなエッジとクリアにキラリと輝く鏡面の美しさ。これは同社が、高級ブランドの最高峰モデルに使われる「ザラツ研磨」という鏡面仕上げの特殊な下地処理技術をどこよりも得意としているから。そして、通常はケースにのみ使われる、広い面積にのみ使われるこの下地仕上げを、ミナセでは何と文字盤やそのインデックスにも施しているからだ。
また時計本体の構造も「ケースインケース構造」と呼ばれる独自のもの。これは、独立したムーブメント・文字盤・インデックスを、寸分の狂いもなく重ねるもの。これにより、比類のない立体感、存在感を実現している。
▲文字盤のピンデックスのザラツ研磨工程
そして同社のブレスレットには、組木細工にヒントを得て開発した、構成するパーツをひとつひとつ完全に分解して交換できる「MORE構造」が採用されている。これは100年後も語り継がれる、つまり100年後も使えることを目指しているから。さらにクロコダイルストラップも自社内で製造して発売するなど「作り手として納得できるモノ作り」を貫いている。
▲本ワニ革すストラップも社内で手縫いで製作されてる
驚くべきことにムーブメントの自社開発製造にも挑戦。2018年4月には、初の自社製手巻きムーブメント“キャリバー KT5001”を搭載した「セブンウィンドウズ」を、スイス・ジュネーブにある時計専門店「ラ・メゾン・ド・オルロジュリー」で、世界限定40本で発売した(その後、国内販売でも発売を開始し完売)。アラブ首長国連邦のアブダビでも販売を開始するなど、世界展開も積極的に行っている。
これだけのクオリティ、独自性を備えながら、製品の価格はラバーストラップのモデルで37万4000円から。ありきたりではない、日本製の特別な腕時計が欲しい。そんな人にはぜひ一見を薦めたい。
Hiz(秀ず)シリーズ
「DIVIDE(ディヴァイド) VM04-R08SD」(37万4000円)
ケースインケース構造でラウンド型腕時計としては掟破りの立体感、存在感を実現した定番モデル。ケースや、分割構造のラグはもちろん、文字盤のバーインデックスまでザラツ研磨を施し、シャープなエッジと美しい煌めきを実現した。ムーブメントはスイス・ETA社製の定番「キャリバー2824」をベースにカスタマイズ。自動巻き。SSケース。ケース径40.5mm。ラバーストラップ。5気圧防水
Hizシリーズ
「FIVE WINDOWS 18K(ファイブウィンドウズ 18K)」(151万8000円 受注生産)
ケースにはサイドを含めて5つの窓があり、“ケースインケース構造” の立体的な構造や、ミナセが徹底的にカスタマイズしたETA社製キャリバー2824の姿を目で楽しめる。自動巻き。18Kイエローゴールドケース。ケースサイズ38×46.5mm。本ワニ革ストラップ。5気圧防水
■ジャパン・クオリティを日本、そして世界へ
knot(ノット)は、2014年3月にスタートした日本発のウォッチブランド。「メイド・イン・ジャパンの、そして高品質なジャパン・クオリティの腕時計を、誰にでも手が届くリーズナブルな価格で」がコンセプト。
▲Makerʼs Watch Knot ギャラリーショップ吉祥寺。Tシャツやスニーカーを選ぶようにケースやストラップの実物に触れて選べる、フラッグシップショップ。吉祥寺を含め全国に10店舗。さらに海外にも5店舗ある
複雑だった時計流通をゼロから見直し、ケースやストラップなどを製造工場とダイレクトに交渉して発注。これにより、作り手の情熱とこだわりが反映されたストーリーのあるメイド・イン・ジャパン腕時計を、1万円台からという時計界の常識を破る魅力的な価格で実現。
最低でも30万円以上の価格が当たり前。そんなスイス製高級時計を中心にした時計ブームとは無縁だが「無理しないでも楽しめる良い腕時計が欲しい」と思っていた人々の心を捉えて、圧倒的な支持を得ている。
オンラインショップや全国11カ所にあるギャラリーショップでは、時計本体は1万5400円から、さまざまなケースやデザインのストラップも3300円から選び、2万通り以上の組み合わせの中から自分の好みに合わせてカスタムオーダーが可能。
搭載される時を刻むムーブメントもクォーツからソーラー駆動クォーツ、こだわりの機械式、機械式クロノグラフまで多彩。もちろんすべて高精度で高品質のメイド・イン・ジャパンだ。ストラップもすべて日本製。自分の手で簡単に交換できるので、購入後もストラップだけ追加で購入すれば気分に合わせて付け替えられ、1本の時計をさまざまなスタイルで楽しめる。
オンラインショップにはそんなスタイリング例も豊富に掲載。代表の遠藤弘満さんは、それまで北欧の時計ブランドの輸入販売を手がけ、シンプルでクールなデザインの時計を日本で大ヒットさせた人。しかし、そのブランドが大手時計ブランドに買収され、失意の中でこのコンセプトを発案、自ら時計作りに乗り出した。
▲「時計をもっと楽しんでほしい」と、代表の遠藤弘満さん
「今の消費者は賢くて、騙すことなどできません。SNSなどを使って情報を収集して、まじめなモノ作りが改めて再評価される時代が来ている。だから、これからもグッドプライスにこだわりたい」と遠藤さん。
■AUTOMATIC 2020 LIMITED EDITION(オートマチック 2020 リミテッドエディション)
どちらも、日本が誇るムーブメントメーカーの28800振動/時のハイビート(高振動)ムーブメントを、福島の林精器が製造するザラツ研磨を施したケースに搭載。文字盤までオールシルバー。好きなストラップとの組み合わせで購入できる。
▼「クロノグラフ ATC-40SVSV」(11万円 初回生産200本)
SII製の機械式クロノグラフムーブメント「キャリバー NE88」を搭載。通常モデルでは省かれていた、時速算出用のタキメーター目盛をケースのベゼルに刻印。またケース下側、ラグの間にはシリアルナンバーも刻印される。自動巻き+手巻き。SSケース。ケース径40mm。10気圧防水。※ストラップは別売
▼「オートマチック AT-38SVSV」(5万5000円 初回生産300本)
MIYOTA製の機械式ムーブメント「キャリバー9015」を搭載する3針カレンダー付きモデル。クロノグラフモデルと同様のオールシルバー仕上げで、ケース下側、ラグの間にはシリアルナンバーも刻印。自動巻き+手巻き。SSケース。 ケース径38mm。 5気圧防水。※ストラップは別売
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本記事の内容はGoodsPress1.2月合併号102-103ページに掲載されています
(取材・文/渋谷ヤスヒト 写真/江藤義典)
- Original:https://www.goodspress.jp/features/274579/
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- Author:&GP
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