2020年、「超高速大容量通信」「超信頼・低遅延通信」「多数同時接続」をビジョンとして掲げる次世代高速通信規格5Gの商用サービスが開始される。
そんな5G時代の到来を見据え、動画市場の変革に向け事業を展開しているのが、触れる動画テクノロジー「TIG(ティグ)」を開発するパロニム株式会社だ。
今回は同社代表の小林道生氏に、5G時代における動画の可能性について話を聞いてきた。
次世代動画テクノロジー「TIG」とは
ーーまずは御社が提供する「TIG」というサービスがどういうものなのか、教えていただけますか?
小林氏:「TIG」は、動画視聴中に気になるものがあったとき、画面上のその部分を「触る」だけで(弊社では「TIGる」と言ってるんですが)、瞬間的に情報をストックし、検索することができるサービスです。
小林氏:もう少し具体的にいうと……例えば、スマホで動画を見ているとき、映っている人が誰なのか気になったり、その人が着ている服に興味を持ったりしたら、どうしますか?
ーーそうですね……一旦動画を閉じて、ブラウザを開いて、検索します。
小林氏:そうですよね、それに加えて求めている情報を“探す”という工程も必要になるかもしれません。さらに、もしそれが海外の映像だったとしたら、言語の違いもあるので知りたい情報に辿り着くのがさらに難しくなります。
途中で動画を止めて検索するのは面倒だし、動画を見終わった頃には忘れてしまっているかもしれない。また、検索リテラシーや言語の違いによって、調べようと思ってもうまく調べられないかもしれない……。そういった「動画」と「検索」の微妙な関係性を、スムーズでインタラクティブなものにするためのサービスが「TIG」なんです。
TIGを使えば、動画に写っている服をTIGるだけでその洋服のブランドサイトに飛ぶことができますし、ストックした情報の詳細ページへは視聴中であっても好きなタイミングでアクセスすることができます。
ーー直感的に気になった部分に触れるだけで、その部分の情報にアクセスできる、と。動画配信側が「TIG」を利用するメリットは何なんでしょうか?
小林氏:特に広告領域の文脈において配信側が抱えている課題は、動画視聴中に視聴者が直接的なアクションを起こせず購入機会や理解促進の損失が起きているということです。
TIGを使うことで、ダイレクトに情報誘導できるようになるため、CVRの向上などが期待できます。
また、0.1秒ごとにユーザが動画中のどの部分に興味を持ったか、何を触れてストックしたか、そこからどのくらいリンク先の情報ページに遷移したか等のデータを収集しているため、その他の解析データとも組み合わせ、幅広い動画マーケティングにも活用できるんです。
5Gによって動画に与える付加価値はここまで高まる
ーー今年から5Gが導入されていきますが、それによって動画の価値はどのように変わっていくとお考えですか?
小林氏:今、世の中では人の可処分時間の奪い合いが熾烈に行われています。スマホを見る数時間も、ゲームやSNSなど……さまざまなもので奪い合っています。
そんな中で動画の何が強いかというと、短時間で多くの情報量を正確に伝えることができるという点です。それも、世界観とか雰囲気とか熱量みたいなものも一緒に!
なので、言ってみればすでに動画の価値はかなり高くなっていると思います。そして、これが5Gになることで、より高画質で低遅延になるので、さらに価値は高まっていく。
ーーでは今後、より動画コンテンツは増えてきますよね。
小林氏:そうですね。だからこそ、その動画コンテンツに何か付加価値を与える必要が出てくると思うんです。その付加価値としてインタラクティブ性を持った動画テクノロジー「TIG」は有効だと思いますし、将来的には「これがないと困る」と思われるようなサービスにしたいですね。
ーー5Gになることで、「TIG」のサービス自体も進化させる予定ですか?
小林氏:もちろんです。5Gになるといろんなことができるようになると考えています。
例えば、今はタッチパネルを指でTIGることで情報にアクセスしていますが、将来的にはテレビやスクリーンを見ているときに気になるものがあれば、スマートスピーカーに話しかけたり、オンボードカメラに対してジェスチャーを送ったりすることで情報をストックすることができて、その情報が手元のスマホに反映される、みたいなこともできるようになります。
これまで実現できていなかったのは、その処理速度の問題があったからなんですよね。
他にも、手動でタグ付けをしなくてもAIによる画像分析で自動的に情報と紐付けられたり、視聴者の属性に対して紐付ける情報の種類を出し分けたり……。5Gが導入されることで、できるようになることはかなり多いと思います。
ーーそこまでくると本当に「ないと不便」なサービスになりますね。では最後に、今後の展望について伺えますか?
小林氏:今後は、ECや音楽、観光などエンターテイメントの分野だけでなく、教育やシニアマーケットなど、社会課題の解決に貢献できる技術として幅広い分野での普及を目指していきたいですね。また、世界中のあらゆる動画が「TIG化」される社会をつくるため、海外展開も積極的に進めていきます。
これまでにない「五感」と「直感」をつなぐ技術・サービスとして、誰もが平等に便利に楽しめる未来を創造できるよう、「TIG」をどんどん進化させていきたいと思っています。
小林道生(こばやし・みちお)
2003年から2011年 ソフトバンク(株)(前身日本テレコム(株))の国際映像通信事業部門に従事。2012年5月 WEB広告事業やEC事業を行う会社、(株)インタープレイトを設立。2016年11月 インタラクティブ動画事業を行う会社、パロニム株式会社を設立。
- Original:https://techable.jp/archives/116332
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:Techable編集部
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