年々大型化するスマホのディスプレイ。動画を見たりSNSのタイムラインをさかのぼってみるにはディスプレサイズが大きいに越したことは無い。しかしSNSで連絡を取る友人も多くなく、動画もたまに見れればいい、なんて人には今のスマホは大きすぎるだろう。そんなユーザーのことを考えたミニサイズスマホが2020年は数を増やしそうなのだ。
楽天モバイルから登場のミニスマホは
フランスのあのメーカー製だった
本格的なサービスがなかなか始まらない日本の楽天モバイルから、突如として出てきたミニサイズのスマホが「Rakuten Mini」だ。ディスプレイは3.6インチで、アイコンを格子状に配置したユーザーインターフェースのおかげで指先での操作もそれなりに行える。カメラも1600万画素であり、メインスマホとしても十分使えそうだ。そしてなによりもモバイルFeliCaに対応しているため、日本でおサイフとしても使えるのだ。ただの格安スマホと思いきや、意外と使い勝手の高い製品なのである。
Rakuten Miniは価格が2万1800円(税込み)。3月末までは楽天モバイルの無料サポータープログラムに加入しなくては購入できないが、それ以降はだれもが自由に買うことができるようになるだろう。ただし一つだけ大きな注意事項がある。Rakuten MiniにはSIMカードスロットが無いのだ。つまり単体で買えたとしても、ドコモやauのSIMカードに入れ替えてそちらで使う、ということができないのだ。「ならば楽天モバイル専用品?」と思われるかもしれない。しかし後述するが、実は先進的な機能を搭載しておりいくつかの通信キャリアでも使うことができるのである。
小さいサイズにFeliCa搭載、しかもSIMカードが入らないだなんてスマホ、いったいどんなメーカーが作ったんだろうかと調べると、中国のTinno mobile製だという。Tino mobileの名前を知っている日本人はあまりいないだろうが、同社は「Wiko」や「Sugar」といったブランドのスマホを製造している。Wikoなら日本にも参入したフランスブランドのスマホで、ここのところ全く新製品を出していないものの、このRakuten Miniの輸入業者として再び名前が表に出てきている。すなわちRakuten Miniはスマホ製造に長けたメーカーが開発したきちんとした製品なのである。
それではRakuten Miniの最大の特徴でもある通信回線周りの説明をしよう。Rakuten Miniは抜き差しできるSIMカードではなく、オンラインで書き込みと消去ができる「eSIM」が使えるのだ。eSIMはまだ日本でもあまりメジャーではなく、MVNOのIIJモバイルが提供している。eSIMは契約するとSIMカードは無くQRコードが発行される。このQRコードをRakuten Miniの設定画面から読み込むと、そのキャリアの電話番号や契約情報が本体に書き込まれるのだ。海外でもeSIMを出しているキャリアは多いので、Rakuten MiniにIIJモバイルや海外キャリアのeSIMを追加し、切り替えて使うということができるのである。低価格で低機能なスマホと思いきや、実は最新サービスに対応しているのがRakuten Miniなのだ。
手のひらを意味する「Palm」のスマホ
簡単操作で軽快に使える
今から1年前、アメリカで発売された「Palm Phone」は3.3インチの小型画面を搭載するミニサイズスマホとして大きな話題となった。その後は日本でも発売となり、本体カラーにゴールドが加わるなどカラバリも増えている。手のひらにすっぽりと収まるサイズは心地よく、むしろカバンの中で本体が行方不明になってしまうかもしれないほどコンパクトだ。そのためPalm Phoneはストラップが付けられるケースが販売されている。
Palmはもともとは1990年代に大ヒットした「PDA」、すなわちスマホから携帯電話機能を取り除いたデジタルオーガナイザーとして世界中のユーザーに愛された製品の名前だ。Palmの意味は「手のひら」。手のひらに乗る小型のデバイスで身の回りのあらゆる情報を管理できるという、当時としては夢のようなデバイスだったのだ。スマホとして復活したPalm Phoneは、そのヒット製品と同様に「手のひらの中に納まる」ことを重視して開発されたのだ。
Palm Phoneの待ち受け画面は片手でも簡単に操作できるように、アプリのアイコンを格子状に配置している。それを指先で滑らせるように動かしてアプリを選択するのだ。この大きさでは文字入力も困難なので、メッセージを打ち込みたいときなどは音声入力を使ったほうが良い。なおアメリカではメインスマホと結び付けて子機のように使える機能も提供されている。アメリカ人にはPalm Phoneは小さすぎるので、メインスマホとの2台持ちをする人も多いのだろう。一方日本人なら十分片手操作できる大きさと言える。バッテリー容量が800mAhしかなく電池の持ちが1日であることがネックだが、小型のバッテリーと組み合わせるなどして活用したいものだ。
まだまだあるぞミニサイズスマホ
2020年のトレンドになるか
海外のメジャーメーカーもすでにミニサイズスマホを販売している。中国シャオミ傘下のQin製のスマホ「Qin 2」は5インチと比較的大型のディスプレイを搭載しながら、縦横比が22.5:9というワイドサイズの細長い形をしている。本体サイズは132.6×55.4×8.6mmと、縦にかなり長いのがわかるだろう。もちろんこの横幅ならば子供の手でも楽に持てるほどスリムだ。
Qin 2は音声入力にも注力しており、本体の操作やスマホに接続したスマート家電なども話しかけるだけでコントロールできる。また音声翻訳サービスにも対応しているので、電子翻訳機として旅行先でも活用できる。ユーザーインターフェースは画面の上下に横長のアプリアイコンが並んでおり片手でも操作しやすい。
大手メーカは争うように最新技術を搭載したスマホを開発している。ディスプレイサイズが小さいミニスマホはそんな大手メーカーにとって開発は容易だろうが、ビジネス上販売しにくい製品だ。おのずとこの手の製品は無名メーカーから出てくることが多くなってしまう。
たとえば中国Uniherzが「Jelly Pro」「Atom」を日本にも投入している。どちらも2.45インチディスプレイを搭載しており、手のひらサイズというよりは指先2本分くらいの大きさであり、そのサイズは驚異的に小さい。Atomはこの大きさでありながらもIP68の防水に対応、一目でわかるタフネス仕上げのボディーという特徴的な製品だ。
しかしここまで小さいと指先での入力はさらに困難になる。Jelly ProもAtomもこれ1台だけで普段使いするのは難しく、結局はマニア層が2台目、3台目として使うニッチな製品に留まっている。この2つの製品を知っている一般人はほとんどいないのが実情だろう。メーカーのUiherzも本気で売ろうとしているのではなく小型化技術をアピールし自社の他の製品を売り込むための、同社の「広告塔」として開発したと思われる。
ミニサイズを目指したわけではないが、Nubiaの「Nubia α」はスマホの小型化技術にも結び付く製品だ。Nubia αは腕時計型の端末で、ディスプレイサイズは4インチ。縦横比は45:9とかなり細長いデザインをしている。スマートウォッチに見えるが、スマホベースのアプリが動くので簡易的なスマホとして使える。
他にもクラウドファンディングから生まれた「Light Phone II」など、小型のスマートフォンが定期的に登場している。市場は大きくないものの、一定の消費者は小さいスマホを今でも求めているのである。毎年のように噂が出てくる「iPhone SE2」の話も、200gを超えた重戦車級の最新iPhoneに対してのアンチテーゼだろう。よくよく考えてみればiPhone SEはディスプレイサイズが4インチ、本体サイズは123.8×58.6×7.6mm。今のスマホ市場の中では「ミニサイズ」と呼べる大きさだ。
2020年はいよいよ7インチクラスのディスプレイを搭載した大型モデルが登場しそうだ。しかし大画面スマホは子供が使うには大きすぎるし、ディスプレイのコストも高い。そろそろ大手メーカーにも4インチクラスの小型スマホを本格的に開発してほしいものである。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000121601/
- Source:デジモノステーション
- Author:山根康宏
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