eBayやVisa、Stripe、その他の有名企業などはFacebook(フェイスブック)が主導するデジタル通貨Libra(リブラ)を見捨てたが、Libra運用団体は米国時間2月21日、Shopify(ショッピファイ)という新たな加盟社を得た。eコマースプラットフォームのShopifyはLibra Associationの会員になる。少なくとも1000万ドル(約11億円)を拠出し、Libra取引の結節点となる。
現在は国際規制当局の懸念がLibra展開を阻んでいるが、もしその懸念をLibraが和らげることができたら、Shopifyはクレジットカードの手数料を払うことなく決済を処理する手段を得ることになる。Libraでは手数料ゼロ、もしくはほぼゼロとなる見込みだ。Shopify、そしてShopifyのプラットフォームでオンラインショップを運営する100万もの業者は節約できることになるかもしれない。
ShopifyはLibra Associationへの加盟の理由として、業者の手数料抑制のサポートと発展途上国への商業機会の提供を挙げた。「世界の金融インフラの大半はインターネットコマースのスケールやニーズに対応するようにつくられていない」とShopifyはいう。以下に、発表の最も重要な箇所を掲載する。
我々のミッションはすべての人にとってコマースをより良いものにすることであり、そのためにお金や銀行業務がさらに良いものになる世界の一部として、コマースをいかに改善していくか考えることに多くの時間を費やしている。Libra Associationのメンバーとして、業者やあらゆる消費者にお金が回り、またサポートできるようにする決済ネットワークを構築するために社を挙げて取り組んでいる。我々のミッションはプラットフォームで100万を超える業者の起業家としての旅をサポートするというものだった。これは、透明性のある手数料や資本へのアクセス、業者の顧客データのセキュリティとプライバシーを確かなものにすることを意味する。世界中のさらに多くの起業家を力づけるインフラを構築したい。
Libra AssociationのメンバーとしてShopifyはバリデーションを行うオペレーターになり、Libra Association評議会の投票権を得る。そして少なくとも1000万ドル(約11億1600万円)の投資をするLibraが稼ぐ利子の配当金をもらうことができる。
Libra Associationは当局の調査を受けている最中の10月に、一連のメンバーがプロジェクトを見捨て、多くのeコマース専門の会社を失った。そこにはVisaやMastercardといった従来型の決済企業や、 StripeやPayPalなどのオンライン決済企業、eBayのようなマーケットプレイスが含まれる。こうした動きは、人々がデジタル通貨を使うのに十分な場所を確保するために、果たしてLibraが適したパートナーを得られるかという疑念を引き起こした。
Libraが安全であると当局に納得させようと、FacebookはFacebook PayやWhatsApp Payといった従来の銀行送金やクレジットカードに頼ってきた決済手段に取り組んできた。
ShopifyのCEO、Tobi Lutke(トビ・リュトケ)氏は「お金や銀行業務がさらに良いものになる世界の一部としてコマースをいかに改善していくか考えることに、Shopifyは多くの時間を費やしてきた。だからこそ我々はLibra Associationのメンバーになることを決めた」とツイートした。
「Shopify(ショップ含む)をLibra Associationに迎えられることを誇りに思う。おおよそ175カ国にまたがる100万超の事業者を抱える多国籍コマースプラットフォームとして、Shopifyは Libraプロジェクトに多大なる知見や専門性をもたらす」とLibra Associationの政策・広報責任者のDante Disparte(ダンテ・ディスパート)氏は書いている。「Shopifyは、安全で透明性のある、そして消費者フレンドリーなグローバル決済の実行に向けて取り組んでいるLibra Associationの積極的なグループに加わった」
直近の雇用もまた、2者をさらに結びつけた。Facebookの決済プラットフォームと宣伝チームを率いた前プロダクトマネジャーKaz Nejatian(カズ・ネジャティアン)氏は2019年9月にShopifyの副社長兼マネー担当GMになった。
発展途上国では時として確保するのが難しい従来型の銀行口座がなければ、eコマースショップの運営はかなり難しく、不可能かもしれない。Libraではそうした業者がかなりのクレジットカード手数料なしにすぐに決済できるLibra Walletを確保できる。理論的にはローカルの実在店舗やATMで、その地で流通している貨幣で現金を引き出すことができる。
それらの一部が実現するにしても、Libra Associationはテロリストが資金を洗浄したり、人々のプライバシーを損なったり、グローバル金融システムにおいて国のパワーを弱めたりすることはない、と米政府やEUを納得させる必要がある。フランスのBruno Le Maire(ブリュノ・ル・メール)財務相は「国々の金融自主権は金の民営化という危機に直面している。我々は欧州でのLibraの開発を認めることはできない」と述べた。
Libraは当初、2020年の開始が予定されていた。
Libra Associationのメンバーは以下の通りだ。
現在:FacebookのCalibra、Shopify、PayU、Farfetch、Lyft、Spotify、Uber、Illiad SA、Anchorage、Bison Trails、Coinbase、Xapo、Andreessen Horowitz、Union Square Ventures、Breakthrough Initiatives、Ribbit Capital、Thrive Capital、Creative Destruction Lab、Kiva、Mercy Corps、Women’s World Banking
前メンバー:Vodafone、Visa、Mastercard、Stripe、PayPal、Mercado Pago、Bookings Holdings、eBay
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/02/22/2020-02-21-shopify-libra/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Josh Constine
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