私たちは、自分の家が完全に直角で、他の部分も非常に規則的な寸法で建てられていると思いがちだが、実際にそうであることはめったにない。このことが原因でリフォームは複雑で面倒な作業になる。ShapeMeasureは、空間を自動的に測定するデバイスと、必要な木材を正確なサイズに切断するロボットを使用して、この困難を軽減し、プロセスを大幅に短縮および簡単なものにしたいと考えている。
創業者のBen Blumer(ベン・ブルマー)氏は、総合建築請負業者だった父親の影響で、早くから建築技術と修繕技術に触れていたが、自身のリフォームを行っている最中に、この会社を生み出す天啓を受けた。
「フローリング作業者を見てショックを受けたのです。その人物には10年の経験があり、仕事の結果は素晴らしいものでしたが、1段分の階段を設置するのに1時間以上かかっていたのです」とブルマー氏は言う。「そこで私は『少しの技術を使えば、ここで大いに役立つ可能性がある』と考え始めました」。
当時そのようなプロジェクトに取り組む時間があった彼は、元総合建築請負業者だった友人を誘い、中国のハードウェアアクセラレータであるHAXに応募した。その結果彼らはほどなく自身のアイデアを追求するために深圳に向かうことになったのだ。
彼らの取り組む主な課題は階段だ。それらは注意が必要で、特に古い家では相当に狂いが生じている可能性がある。たとえば、各階段の幅がおよそ35インチ(約89cm)であることがわかっていたとしても、ある段は実際には35.05インチ(約89.03cm)である一方で、次の段は34.95インチ(約88.77cm)かもしれない。同様に、角度が90度もしくは図面上想定されているものから、わずかにずれている場合もあるだろう。すべての階段を丹念に測定して、わずかに異なる寸法へと木材を手作業で切断することには、非常に時間がかかる。開発されたツールShapeMeasureは、そうした作業を文字どおりボタンひと押しの作業に変える。
彼らが作り出したデバイスは、本質的には自身の周囲を広く測定できる超精密なライダー(Lidar)であり、その詳細部分こそが同社の秘密のノウハウの一部を構成しているのだ。これにより、当初の利用目的である階段の場合には、デバイスの回りの正確な寸法と取り付け角度が測定できる。HAXのNoel Joyce(ノエル・ジョイス)氏の助けを借りて生み出されたこのデザインは、当初の「エイリアン」のようなものからハンディ掃除機のようにも見えるものへと落ち着いた。
「私たちは、HAXのリードインダストリアルデザイナーであるノエル・ジョイス氏と協力していました。私たちは、工具のように見えて、そのようにも感じられる製品を狙っていました。建築請負業者に何か新しいことを試してもらうよう説得しようとするなら、その方が親しみを感じてくれるはずだと思っていたのです」とブルマー氏は語る。「ノエルの美しいフォームファクターに収まるように、部品集めに多大な時間を費やし、スキャニング機構の再設計を行いました。結局のところ、建築請負業者たちは外観を気にしないことがわかりました。彼らはデザインを気に入ってくれましたが、その機能性にもっと興奮してくれたのです」。
対象の形状がスキャンされてチェックも終わったら、その情報をShapeMeasureの他のデバイスに送信できる。それは、木材を階段として組合わせるのに必要な正確なサイズと形状にカットする、木材切断ロボットシステムだ。もちろん、建築請負業者はそれらを適切な場所に持って行って、適切と思われる方法で取り付ける必要があるが、これまでは大変だった手順が大幅に簡素化されたのだ。
この機械は他の木材切断装置に似ているが、操作がより単純で簡単だ。「世の中にはたくさんの自動切断システムがありますが、多くの場合、それは大きく、重く、高価で、プロのCNC技術者が操作します。通常そのような機械で床材を切断するには、治具のセットアップ、各ボードのクランプと再クランプ、切断する各階段のカスタムgcodeの生成が必要です」とブルマー氏は言う。それらは、数倍コストがかかり、採用が難しい場合がある。「私たちが開発している切断ソリューションは、コンパクトでクランプを必要とせず、わずか数時間のトレーニングで操作できるようになります」。
単に長さや幅を切り揃えることだけが問題なのではない。階段に対する造形やその他の装飾しようとすると、そもそも現実的ではないか、少なくとも人手でやるには時間がかかりすぎるような複雑なカットが必要になる場合がある。
結果として、施工プロセスの開始から終了までの時間をおよそ4分の1にできると彼らは判断した。もしこれが少し楽観的な数字だと思うなら、これは単なる机上の空論ではないことを知ってほしい。彼らは最初の段階からこれらの数値を裏付けられるように注意を払ってきた。
「スピードアップデータを非常に真剣に捉えています」とブルマー氏は語る。「それが私たちの最高の指標だからです!会社のために最初に購入したものの1つは、ストップウォッチ1ダースでした。私たちはShapeMeasureのラボや、とり散らかった実際の建築現場での利用を行っています。すべての瞬間を撮影・計時し、そして記録しています」。
興味深いことに、事前切断された木材を使うことでまた別の改善につながった。チームは、利用者が接着剤やその他の部品を使用する率の向上に対応するためのバケツをデザインしたのだ。これは、塗装速度を大幅に改善してしまうと、塗料をローラートレイに十分な速度で混ぜて注ぐ部分が新しいボトルネックになってしまうことに似ている。
現在同社は、ShapeMeasureの「マイクロファクトリー」を短期間で国内のどこででも簡単にセットアップできるように、標準的な手順とパッケージの確立に取り組んでいる。そして、彼らはその後のプロセスを加速するために、資金を調達することを「検討」している最中だ。ブルマー氏はまずは彼自身の資金でプロトタイプを開発し、HAXから少し資金を引き出した後、事業を始めるやめに小規模なプレシードラウンドを実施した。
幸運とちょっとした努力で、ShapeMeasureは建築請負業者で差別化を打ち出すことができた。見積もりの中の1ドルが大切なように、1時間の作業がとても大切なのだ。
[原文へ]
(翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/02/28/2020-02-26-shapemeasures-smart-tool-and-robotic-cutter-let-contractors-measure-once-and-cut-never/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Devin Coldewey
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