フリーランスやパラレルワーカーなど個人の柔軟な働き方を支援するプロダクトを手がけるLbose(エルボーズ)は3月24日、ウィルグループHRTech2号投資事業有限責任組合、ANRI、その他複数の企業や個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。具体的な金額は公開されていないが、数千万円規模の調達になるという。
Lboseは2017年10月の創業。フリーランスが一緒にプロジェクトに取り組む仲間を集められるプラットフォーム「TEAMKIT(チームキット)」を2018年10月から運営しているほか、今月からは企業の新サービス開発などを“月額制の外部オンライン開発チーム”の提供によって支援する「ATTEND biz(アテンドビズ)」も始めている。
同社の資金調達は2018年10月以来、約1年半ぶり。主にATTEND bizの強化に向けた人材採用などに投資をしていく計画だ。
単純なマッチングだけではフリーランスと企業のコラボは難しい
Lboseがこれまで展開してきたTEAMKITは個人間のコラボレーションを促進するプラットフォームだ。同サービスにはすでに登録者数ベースで3000名以上のフリーランスやパラレルワーカーが集まっていて、これまでに約250個のプロジェクトがシェアされている。
TEAMKITでは特にマネタイズをしてこなかったため、Lboseではこの事業でいかに収益を上げていくかをずっと模索してきたそう。そんな中で企業や自治体などから、フリーランスの力を借りて「こんな新サービスを作りたい」「この課題を解決するのを手伝って欲しい」といった相談が複数件寄せられたことが1つのきっかけとなり、新サービスのATTEND bizに繋がるアイデアが生まれた。
「話を聞いていく中で、フリーランスのメンバーでフレキシブルなチームを組んで課題解決をサポートすることに対してニーズがあるとわかってきた。実際に昨年から小さく仮説検証をしてみて手応えを感じたので、正式にATTEND bizとしてサービス化することを決めた」(LboseでCOOを務める椿原氏)
「TEAMKITの運営を通じてフリーランスの人たちがプロジェクトを共有し、フレキシブルにチームを作る土壌が確実に生まれてきていることを感じていた。一方でその働き方を社会に実装しようと思った時に、単純に企業とマッチングするだけでは難しいという思いもあった」(Lbose代表取締役社長の小谷草志氏)
小谷氏によると企業側がフリーランスのメンバーを集めてチームを組成するとなった際、「適切な人を集めてチームを作ること」と「外部人材を適切にマネジメントすること」の2点が大きな課題になるという。
特に外部人材と一緒にチームを作るとなると、「フルタイムの正社員と週3稼働や週1稼働のフリーランス」といったように働き方や立場が異なるメンバーが存在することもある。成果を出す上では、多様な働き方のメンバーが力を発揮しやすいような制度や仕組みを作っていくことが必要だ。
「外部の人材に仕事を依頼すること=外注となって、特定の業務だけをやってねというケースも多い。情報開示のやり方や範囲なども含めて、仕組みをうまく設計することに苦戦して悩まれているところも多い」(小谷氏)
月額制でオンライン開発チームを組成
そこでATTEND bizではLboseのメンバーが担当ディレクターとして企業のSlackなどにも参加して、企業とフリーランスを上手くつなぐことで双方の課題を解決するアプローチをとった。
ディレクターはアイデアの壁打ち段階からサポートし、各企業の要件にあった個人を約3000人のネットワークから選出してチームを作る。企業の担当者がやるのはディレクターとコミュニケーションを取ることだけ。要件定義、外部チームの編成やマネジメント、進行管理、毎月の請求管理などをLboseがまるっと引き受けるイメージだ。
このオンライン開発チームの仕組みを月額制で提供していることもATTEND bizの特徴。ディレクターは1名20万円から、エンジニアやデザイナーといった個人メンバーの増員も1名ごとの月額定額料金となるため費用の算出がしやすく、状況に応じてチームを柔軟に設計できるという。
「開発会社に依頼する場合だと受託納品型であることが多く、最初から数百万円のコストがかかる上に、方針が変わった時などは再度見積もりやスケジュール変更が必要になる。自分たち自身も経験したが、Webサービスやメディアの立ち上げ期は開発中に方向性が変わることも珍しくない。月額制ならそういった状況の変化にもフレキシブルに対応できる」(小谷氏)
不確定な要素も多い新サービスや新規事業の立ち上げにおいては、最初からフルタイムのメンバーを何人も抱えることは固定費を上げ、経営を圧迫することにも繋がるだろう。ATTEND bizはフリーランスを集めたスモールチームを提供することで、小さくスタートし、コストを抑えながらプロトタイプの開発や仮説検証を進めることを可能にする。
この仕組みが上手く機能すれば、フリーランス側にもメリットある。特に単発の案件が多かった人にとっては継続的に固定の収入源を確保できるチャンスが広がるからだ。
「フリーランス向けの課題解決をしていきたいという思いは変わらない。納品ベースで案件を受けている方が今でも多く、月額制で継続的に仕事をもらうことに対してイメージがわかないという声も聞いた。月額で安定的に報酬をもらえる案件を少しでも作れると、働き方の選択肢も広がる」(椿原氏)
Lboseでは今後も個人の柔軟な働き方を支援するべく、TEAMKITとATTEND bizを中心に事業を展開していく計画。今回調達した資金については主にATTEND biz側へ投資をしていく予定で、業務効率を上げるための社内ツールの開発やオペレーション体制の強化を進める。その一環として今月にはbosyu代表取締役でキャスター取締役COOの石倉秀明氏がアドバイザーに就任した。
「企業側は主に発注とマネジメントの部分、フリーランスを始めとした個人側は契約周りや請求管理などの部分がもっと簡単でわかりやすくなれば、企業と個人がパートナーのような関係性で仕事ができると考えている。何か新サービスを作るとなると、今は内製するか制作会社などに外注するかのどちらかが主流。ATTEND bizを通じて新たな選択肢を作っていきたい」(小谷氏)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/03/24/lbose-fundraising/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:masumi ohsaki
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