20種類のアミノ酸を組み合わせて、ウイルスの棘を覆ってしまうタンパク質を作る——専門家もプレイするこんな3Dパズルゲームへの参加を、米ワシントン大学が呼びかけている。
目的は、新型コロナウイルスの治療薬を実際に作るためだ。
・コロナウイルスの棘を覆ってしまう
科学者が抗ウイルス薬を開発するときに使っているその3Dパズル「Foldit」は、ワシントン大学ゲームサイエンスセンターが運営するオンラインゲーム。誰でも無料でアプリをダウンロードできる。ゲームのゴールは、新型コロナウイルスの治療薬完成だ。
新型コロナウイルスには、「コロナ」と呼ばれる棘がたくさん付いている。同センターによれば、ウイルスはこの棘を使って人間の細胞に感染していくとのこと。棘はタンパク質でできており、それにピタリとまとわりついて離れない別のタンパク質があれば、棘を無効化できる……つまりそれが薬になるという。ゲーム「Foldit」では、プレーヤは20種類のアミノ酸を組み合わせて、棘のタンパク質と形が嵌り合うタンパク質を作る。
・完成したパズルは実用実験へ
タンパク質は膨大な数のアミノ酸が結合したもの。小さなタンパク質でも100以上のアミノ酸から出来ている。アミノ酸は20種類あり、その組み合わせを考えると、作ることができるタンパク質の種類は無限にあるといっていい。
それらを全て試すことはできないので、薬を開発する科学者は勘に頼って「Foldit」をプレイし、薬となるタンパク質を探している。だが新型コロナウイルス蔓延の現状を見ると、今は急を要する事態だ。そこで大学は、世界のパズルゲームファンの手を借りることにした。
大学のニュースリリースによれば、ゲーム(インストラクションも含めて英語)には練習モードがあり、一般の人にも始めやすくなっている。
ゲームの中で完成させたタンパク質(=薬の候補)のうち有望なものは、ワシントン大学タンパク質設計研究所(Institute for Protein Design)でサンプルが作られ、実用実験が行われる。
- Original:https://techable.jp/archives/120715
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:信人安谷
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