ARCHが新型コロナ治療を研究する企業向けのファンドを設立

世界が新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンや治療法の開発を競い、バイオテクノロジーのイノベーションが死活を分けることが明らかになりつつある中で、ライフサイエンス投資家のARCH Venture Partnersが新技術開発に出資するために14億6000万ドル(約1580億円)を調達した。

同社は、アーリーステージのバイオテクノロジー企業だけに投資する多くのビークルを抱えるが、この長いリストにARCH Venture Fund XとARCH Venture Fund X Overageが新たに加わった。

「ARCHは人類の健康に影響をもたらす素晴らしいサイエンスに常に投資してきた。総力を挙げてCOVID-19と戦うことほど我々の理念を示すものはない」と共同創業者でマネージングディレクターのRobert Nelsen(ロバート・ネルセン)氏は声明で述べた。「ヘルスケア革命は現在起こっている変化によって今後加速し、真に転換を図るサイエンスに取り組んでいる挑戦者たちに引き続き積極的に投資することを嬉しく思う」

ARCHのポートフォリオに名を連ねるVir Biotechnology、Alnylam Pharmaceuticals、VBI Vaccines、Brii Biosciences、そしてSana Biotechnologyは全てCOVID-19の治療法に取り組んでいる。Quanterixは臨床試験と臨床試験開発を支える技術を開発している。またARCHがサポートする別の会社Twist Biosciencesは、治療やワクチン開発に貢献すると考えている遺伝子編集ツールを持っている。吸入された一酸化炭素を放出するテクノロジーの開発を手掛けたBellerophonはCOVID-19による呼吸困難を軽減させる治療としてFDA(米食品医薬品局)から緊急使用許可を得た。

ARCHのOverageファンドはより多額の資金を必要としているレイターステージ企業の大量の株を取得するのに使われる、と同社は説明した。

「当社は、何百万という人が直面するさまざまな病気や症状のための薬を開発できる最先端のサイエンス、ツール、人材をもたらす。2つの新たなファンドで当社は急を要する、そして意義のある仕事に引き続き取り組む」とマネージングディレクターのKristina Burow(クリスティーナ・ブロウ)氏は声明で述べた。「我々は5万ドル(約540万円)から数億ドル(数百億円)まで、あらゆる額の投資に対応する。各企業やそれぞれのテクノロジーは状況を改善して変えるという最高の機会を持っている」

2つのファンドは、2016年に11億ドル(約1190億円)でクローズしたARCHの直近の投資ファンドとおおよそ同じ規模だ。しかし総額で5億6000万ドル(約600億円)調達した2014年のARCHファンドからは大幅な増加だ。

ARCHファンドの規模拡大は、資金を確保してきた幅広い産業が運用資本を拡大する傾向にあることを表しているが、しかしまたスタートアップ業界におけるバイオテック投資の認知度が高まっていることも暗示している。

このところ、世界を飲み込んでいるのはソフトウェアではなく、プログラム可能なバイオロジーだ。

「ARCHは、健康福祉に関する重要な問題を解決することで、生命科学や自然科学研究のリードから、世界のコミュニティへの貢献まで、最も約束されたイノベーションを前進させるというミッションに35年間取り組んできた」とKeith Crandell (キース・クランデル)氏は声明で述べた。「ARCHは、感染病やメンタルヘルス、免疫学、ゲノムと生物学のツール、データサイエンス、新発想の診断や治療などで進歩を追求する草分け的な会社の発掘、サポート、投資を優先する」

新ファンドのマネージングディレクターにはRobert Nelsen氏、Keith Crandell氏、Kristina Burow氏、Mark McDonnell(マーク・マクドネル)氏、Steve Gillis(スティーブ・ギルス)氏、そしてPaul Thurk(ポール・サーク)氏が含まれる。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi


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