Sauna Taxonomy ~サウナ分類学~


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ひとくちに「サウナ」といえども、実態はさまざま! わかっているようでわからない——サウナという存在を、ds独自の視点で徹底追究しました! サウナのあれこれを識って、アナタのサウナライフはもっと楽しく!

  • アブラトシオ

    朝に、夜に、徹夜に、コワーキングスペースに……サウナを全方面で活用するサラリーマン。サウナの造詣レベルとしてはそこまで高くなく、その道の先達には遠く及ばないが「できる限り安く、日常的に活用するには?」という観点でサウナを追究する愛好家。「交通費をかけず無料送迎バスを活用したい」「通勤経路上で立ち寄りたい」「空いている狙い目時間は」など独自の視点でサウナを評価し続けている。ブームになってサウナ施設が増えるのはうれしい反面、愛用施設が混雑するのが悩ましい40代。


サウナの誤解

サウナとは———【サウナ室】なのか? 
それとも【サウナ施設】を指すのか?
いえ、一連の行為こそがサウナなのです

サウナにあまり詳しくない人に、「昨日、サウナですごく集中しまして。できた企画がこれです!」と資料を差し出すと、「サウナにパソコン持って入れるんですか?」と驚かれたり、はたまた、「昨日は終電逃しちゃって、サウナで熟睡したよ」と話すと、「それって危なくないんですか?」と聞かれることがしばしばある。

このズレは、双方の“サウナという言語”の認識の違いにあり。サウナ好きが発した「サウナ」は【サウナ施設における一連の行為】を指し、そうでない人(会話の受け手側)は、【熱気のこもったスペース】そのものを「サウナ」と捉えたのである。そう! それほどまでに、サウナ好きとそうでない者の間では“サウナの認識”は乖離しているのである。

われわれサウナ好きが口にする「サウナ」とは、【熱気浴/蒸気浴→冷水浴→外気浴という温冷浴の一連の行為】と、それができる【施設】のことを意味するのだ。つまり、水風呂や外気浴まで含め、さらには施設内での飲食やリラクゼーションまでを総括して、「サウナ」と称している。対して、【熱気のこもったスペース】のことを【サウナ室】と呼ぶのである。

むろん、本特集での「サウナ」も【サウナ室を含め、サウナ全体=サウナ施設&一連の行為】のこと。この用語の使い分け————ココに“サウナ通”への第一歩があるかもしれない。

 

サウナの分類 | Classification 01
サウナ室=サウナを享受するスペースを分類!

  • ドライサウナ

    階段状の木製ベンチで構成され、上段に行くほど熱くなる———いわゆる一般的なサウナ室。ヒーター(熱源)が遠赤外線やガス、電気など種類によって細かく分類もされる。湿度もそれなりに高い場合も多く、一概に「ドライ」とまでは言えないケースもあり。だが、ここでは便宜的に「ドライサウナ」としておこう。熱源の違い、壁面の素材(岩、黄土、タイルなど)、サウナ室の大きさ……など、施設ごとによる細かい違いが楽しめる。

  • ミストサウナ
    スチームサウナ

    ドライサウナとは対照的に、スチームをむんむんにした、いわゆる「蒸し風呂」スタイルのサウナ室。タイル貼りのベンチ一段タイプがよく見られ、こちらも上部に蒸気が溜るので、あえて座ることなく、立ったまま、熱気を浴びる猛者もいる。ヨモギのスチームなどを取り入れる施設も多い。トルコ由来の「ハマーム」や韓国の「汗蒸幕」もこのスタイルに近く、じんわりと温かい大理石の上や、薬草成分を感じる蒸気に晒されながら、「彼の地ではこれが愛されたのだな……」と思いを馳せるのもオツ。

  • ロウリュと
    アウフグース

    サウナの熱源には多種あるなか、「熱源にサウナストーンを用いたサウナ」で、それらサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることを「ロウリュ」と呼ぶ。さらに、ここで熱気・蒸気を仰いでくれるサービスを「アウフグース」という。とかく両者は混同されがちだが、もともとロウリュはフィンランド語、アウフグースはドイツ語と語源が異なるように発祥も違う。だが、現在、アウフグースのことをロウリュと称している施設も結構ある。また、ロウリュの際にサウナストーンに掛ける水にアロマオイルを混ぜたり、自動タイマーで水をかけるオートロウリュなど、独自のスタイルも派生している。

  • 塩サウナ

    ミストやスチームサウナ室で、カラダに塩を塗るサウナ浴のこと。蒸気を受け、じんわりと汗をかいたカラダに塩を塗ると、浸透圧でどんどん水分・汗が出て、お肌がつるつるに! お肌が強い人なら、さらにゴシゴシと擦れと……塩のスクラブ効果でさらにつるつるになるであろう。大半のサウナ室内には、“塩の入ったバケツや壺”などがあるが、塩は別途有料の施設もあり。注意すべき点は「塩まみれになったカラダのまま」でほかの浴槽に行かないこと。出口近くにシャワーなどが用意されているので、そこで落とすように。塩まみれのカラダを真水で洗い流すと、「海水浴の後の真水のシャワー」を思い起こさせる。

  • 水風呂

    一般に15℃前後の水を擁した風呂を指す。温浴と水風呂(冷浴)を交互に行うことでさまざまなメリットがあるとされている。嗜好性が強く、冷たさ・深さ・攪拌の有無・塩素臭の多寡などでいろいろ好みが分かれるところだ。「冷たさ」について、愛好家たちは“シングル”と称される10℃以下を好むが、あまり冷たすぎると、【熱気浴/蒸気浴→冷水浴→外気浴】のセッションを上手につくりにくいと感じる人も。浅いよりも深いほうが温くなりににく、さらにジャグジーなどで攪拌されれば体感温度が低くなる。消毒のために塩素が投与されることが多々ある。が、塩素臭の有無は……

  • 外気浴

    外気浴とは<戸外の空気に触れ、カラダを鍛えること>と、辞書『大辞林』にある。が、サウナでは、【熱気浴/蒸気浴→冷水浴→外気浴】のように一連のサイクルの最後に当たり、また【熱気浴/蒸気浴→冷水浴】という“血圧の乱高下後の休息として”という側面も持つ。スタイルは人それぞれで、「水風呂にじっくり入り、外気浴は短く」という場合もあれば、「水風呂を短く、外気浴長め」、いっそ「水風呂を挟まずに外気浴」なども。雪の降った日などは、外気浴をガッツリできる施設が心なしか混んでいる気もして、冷たい外気にさらされることを好む人も多い。楽しみ方もいろいろだ。

 

サウナの分類 | Classification 02
サウナ施設=サウナ&リラックスタイムを堪能するスポットを分類!

現代の日本のサウナというと、1964年(昭和39年)の東京オリンピックに前後して取り入れられたフィンランド式サウナが起こりのようで、“男性専用でオッサンの憩いの場”というイメージを持つ人も多いだろう。本稿ではそれを【①男性専用サウナ施設】と分類する。ただ、そのころ流行したサウナには、日本式銭湯にある「洗い場」「温浴槽」なども付帯しており、日本に「サウナ」として取り入れられた時点ですでに“かなり日本式のアレンジがなされた”模様である。

そんなフィンランド式サウナ(アレンジ済み)を、ある種、逆輸入のごとく銭湯に取り入れたのが【②サウナ付き銭湯】である。こちらは公衆浴場として行政や協会の定める料金に「サウナ利用料」を追加で支払うもの(無料の場合もある)。銭湯に付加価値を持たせたことで、銭湯側の経営上の利点が高まった。ユーザーとしても、より安くサウナを利用できたため浸透したと思われる。とはいえ、そもそも「銭湯自体」のシステムは地域差が激しい。掘れば温泉が出て、わざわざ沸かす必要のない鹿児島では、銭湯料金のみでサウナも利用できる。また、草津のように、当たり前のように銭湯に「蒸し風呂」があるエリアもあり、地域性が色濃く出ている。

都市型【サウナ付き銭湯】のサービスをさらに拡張したのが【③スーパー銭湯】で、この手の施設は、公衆浴場としての利用料の制約がなく、独自のサービスと経営の工夫で各種サウナが充実した温浴施設となっている。

少々、横道にそれるが、かつて……1955年(昭和30年)~1975年(昭和50年)代、「ヘルスセンター」という名の巨大なレジャー施設が隆盛した。銭湯でも温泉旅館でもないが、大浴場とサウナを備え、そこに娯楽施設(遊園地的なものや演芸舞台etc)を合体させた、ファミリーや団体客向けのスポットがあったのだった。

そのヘルスセンターを変化させた形態が、1980年(昭和55年)ごろ、ポツポツと誕生した。それが【④健康ランド】である。入館者は、みな、おそろいの館内着をまとい、温浴のみならず飲食やカラオケ・ビンゴなどのレジャー要素も付加していた。その後、廃れたところも数多し。だが、今なお、地元の年配の方々を中心に愛されている【健康ランド系】に注目したい。レジャー要素以外の「温浴施設の基本スペック」が高いところも多く、サウナ愛好家にも高評価を得ている。

【男性専用サウナ施設】が、宿泊ニーズにもきちんと答えられるように、と発展したのが【⑤カプセルサウナ系】である。リクライニングチェアなどでの雑魚寝ではなく、きちんと仕切られた睡眠スペースが設けられたのがこの手の施設の特徴である。

さらにまた、女性も通いやすいように、清潔感を重視し、岩盤浴・エステなどの施設やアメニティの充実を図ったのが【⑥スパ・サウナ系】となる。

このように分類したものの、【スーパー銭湯並みのサービスをプラスした銭湯・公衆浴場】や、【男性専用サウナ施設のスタイル】ながら、女性も利用でき、かつ【スパ・サウナ系】に近いしいタイプも混在しており……明確な区分けをしにくいのが、現在の“日本のサウナ事情”なのである。

 

男性専用サウナ施設
楽天地スパ

城東地区きっての歓楽街・錦糸町。「楽天地」といえば、戦前は映画館と劇場、食堂など娯楽スポットとして隆盛し、昭和31年(1956年)には天然温泉施設をオープン。ビルの建て替え、幾度かのリニューアルを経た老舗男性専用サウナの代表格だ。一時間に1回(一日15回)&ふたりがかりで行われる「ロウリュ」が人気でその回数はなんと日本トップクラス! クイック入館者でも利用できるよう、頻繁に行うという心遣いが心憎い。褐色の天然温泉もリラックスにはもってこい。高濃度炭酸水の湯もあり、まさに楽天=オプティズム。東京スカイツリーを一望できる展望休憩室、フルフラットのカウチソファの読書室、焼酎ボトルキープ可のレストラン、マッサージも充実している。

アブラトシオ氏・評
「ロウリュが頻繁にある」「水風呂が深い」ことに定評が高いのですが、上半身のみのアカスリや、よもぎスチームスパも地味にポイント高し!

Information
エリア 東京・錦糸町
住所 東京都墨田区江東橋4-27-14 楽天地ビル9F
電話番号 03-3631-4126
営業時間 24時間営業
但し、日曜=23:00閉店(22:30最終受付)
翌月曜=10:00開店
料金 一般コース2650円、60分コース1300円ほか。深夜割増料金は1500円

 

カプセルサウナ系
サウナ&カプセルホテル北欧

昨今のサウナブームの立役者「北欧」。開業はバブルの香り残りし平成4年(1992年)のこと。当時は「タクシー待ちに一時間なんてザラ。その間をサウナで過ごす、いや、朝まで泊まってしまえ!」といった人々が多かったという。その後、出張帰りのサラリーマンの癒しに、はたまた東京観光の拠点=リーズナブルな宿泊スポット……そして現在、サウナ好きの聖地として名を馳せている。100℃近くのサウナ室もさることながら、特筆すべきは露天風呂&外気浴。上野の雑踏とはうらはら、心地よい風が通り抜けてくれるのだ。マッサージ、あかすりはむろん、フード充実、酒類満載と至れり尽せり。焦らずゆっくりと訪れたい。

アブラトシオ氏・評
サウナ室の岸壁からの輻射熱、深くて冷たい水風呂、広々とした露天外気浴スペースと、バランスのとれた施設。外気浴中に耳をすますと「首都高の喧騒」「上野駅の電車の音」なども聴こえてきてそれも素晴らしい。最近混雑が激しいので「泊まりの朝サウナ」もオススメ。

Information
エリア 東京・上野
住所 東京都台東区上野7-2-16
電話番号 03-3845-8000
営業時間 24時間営業・男性オンリー
料金 一泊料金(サウナ付)4200円、サウナ3時間コース1400円、12時間コース2200円ほか。深夜割増料金1000円

 

スパ・サウナ系
タイムズ スパ・レスタ

“都心の大人のスパ施設”のコピー通り、男女ともに、映画鑑賞できる露天風呂、ジェットバス、寝湯、水風呂、桶シャワー、男性には五右衛門風呂スタイルの釜風呂、白湯、ホワイトイオンバス、女性には露天ジェットフォームバスと充実。サウナは男女でタイプが異なり、フィンランドサウナは男性専用。30分ごとに発せられるオートロウリュ、別途、アウフグースイベントもある。女性には甘美なアロマでリッチな気分を昂めるクリアミストサウナを。塩サウナとしても利用可。リラクゼーションメニューも複数備え、レストランでは美と健康にききそうな食事もいただける。目的に応じてラウンジを使い分けられ、空間音響設計も癒しを演出。コワーキングスペースとしての機能もあり。

アブラトシオ氏・評
上質・贅沢すぎて……ちょっと落ち着かない(笑)。ですが、広い外気浴スペースをはじめ、“ ちょっとしたリゾート気分”に浸れる。時間貸駐車場のタイムズが直営しており、タイムズクラブカードの提示でお得な料金&タイムズポイントをゲットできる。

Information
エリア 東京・池袋
住所 東京都豊島区東池袋4-25-9 タイムズステーション池袋10~12F(フロントは11F)
電話番号 03-5979-8924
営業時間 11:30~翌9:00 不定休
定休日 不定休
料金 一般2850円、スピード利用(100分以内)2100円。深夜割増料金500円(60分毎)。休日割増あり

 

サウナ付き銭湯
喜楽湯

川口駅or西川口駅から徒歩12分。賑やかな商店街の反対側、静かな住宅地にたたずむ。昔ながらの銭湯の風情を残しつつも、現代風の設えは「東京銭湯-TOKYO SENTO-」によるもの。サウナと井戸水を冷やした水風呂との交互浴、ジェットバスもあり、これらをすべて追加料金なしで利用できる。近所にあれば通い詰めたい。

アブラトシオ氏・評
駅からちょっと歩くのが難点だが、銭湯料金のみ、ハンドタオルも無料貸出なのがうれしい。小さいサウナ室だからこその“壁面からの熱気”が強く心地よい。

Information
エリア 埼玉・川口
住所 埼玉県川口市川口5-21-6
電話番号 048-258-7689
営業時間 15:00~23:00(土曜&日曜=朝風呂8:00~12:00あり)
定休日 第4月曜定休
料金 430円

 

スーパー銭湯
浅草ROX まつり湯

東京スカイツリーを望む露天風呂、トルマリン鉱石の湯など風呂は11種類。サウナはフィンランド式、テルマリウムサウナ、ミストサウナ(女性専用)の3種類と、まさに“スーパー”な銭湯だ。3500冊以上のコミック読み放題、ゲームセンター、レストラン、二段ベッドの宿泊もあり。

アブラトシオ氏・評
スーパー銭湯というと、やや郊外で“送迎バス”を前提としたところが多いなか、都内の駅至近でアクセスがよい。ちびっこもいるのがスーパー銭湯としての趣があってナイス。

Information
エリア 東京・浅草
住所 東京都台東区浅草1-25-15 ROX 7F
電話番号 03-3836-7878
営業時間 10:30~翌9:00(日曜は~23:00) ※4/12までは深夜営業なし。
定休日 休館日を除き無休
料金 一般2750円ほか

 

健康ランド系
湯乃泉 草加健康センター

日本初の「湯治体験ができる健康センター」として40年前にオープン。草津温泉の湯畑から直送した露天風呂、生薬を独自に配合した薬湯、高濃度炭酸泉など“健やかなカラダづくり”に適した湯を備えている。サウナは男女ともに広々。風速80mの爆風ロウリュ、大量の氷と団扇によるロウリュなどタイプの異なる趣向が。休憩室、ボディケア、カラオケ、ゲーム、宴会プランも満載だ。

アブラトシオ氏・評
サウナ室と露天風呂が直結しており、すぐ「外」、水風呂も「外」という配置がすばらしい。薬湯と温泉のクオリティもさすがです。都心からやや遠くても足を運びたくなる。

Information
エリア 埼玉・草加
住所 埼玉県草加市北谷2-23-23
電話番号 048-941-2619
営業時間 10:00~翌9:00
定休日 無休
料金 一般1500円ほか


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