削って磨くだけ!自作ナイフキットは簡単だけど無心になれてハマりそう

<&GP編集部員が買ってみた!使ってみた!>

なかなか外出できない昨今。そろそろゴールデンウィークも近くなったし、自宅でなにかできることがないかと探している最中に出合ったのが、この「シンプルにオイル?それとも彫る?自作ナイフキットで相棒を作ろう!」という記事(手前味噌ですいません)。

マニアとかコレクターではありませんが、大学生の時にBUCK(バック)の「フォールディングハンター#110」を手にして以来、何本か購入。とはいえクラフトナイフには興味がなかったためこれまで持ったことも、作ったこともありませんが、今回気になったので作ってみました。

▲キャンプで使うため、持っているナイフのほとんどが折り畳み式。小さいものから鉈まで合わせると10本くらい所有するが、クラフトナイフは1本も持っていません

サイトを見ていると、“料理用の折りたたみナイフ”というところも惹かれた点。

というのも、一人でキャンプに行くときは大がかりな料理はしないので小さなオピネルで問題ないのですが、冬キャンプに行った際、大量の料理を作らねばならず、その時にちょっと物足りなさを感じたというのもあったからです。

ということで、FEDECAの折りたたみ式アウトドア料理ナイフ「It's my knife Folding Standard」(5280円)を購入。初めてということもあり、すでに外形が切り出されていて、角を落として仕上げるだけの手軽な「Standard」を選びました。

“削るは楽しい”がコンセプトの「It's my knife」シリーズには、ほかに四角い板から形を自由に成形できる、より難易度の高い「Advanced」と、加工済みのハンドル材をペーパーで仕上げて色を塗る、より難易度の低い「Easy」が用意されています。

ブレードの素材も新製品の「ステンレス」がありますが、やはり播州打刃物の産地・三木の刃物なら「青紙二号」でしょということで炭素鋼を選択。

実際に作ってみると想像以上の楽しさ。早く出番が来る日が来ないか、待ち遠しい毎日です。

■初心者でも簡単に作れる手軽さが魅力

自作ナイフキットといっても、厳密にはハンドルを削って磨いて仕上げることがメイン。

それは購入前から知っていたのですが、ソーセージ作り、壁塗り、コーヒー豆の焙煎…と、“自宅で何かを作る!”というのをこのゴールデンウィークのテーマにしているので、まずは前哨戦として軽めのモノから手を出してみました。

Webの表示は【難易度★★☆】でしたが、想像以上に簡単。

ところが…思いっきりハマりました。

■完成までは「組み立て」「削る」「磨く」「塗る」の4ステップ

キットの内訳は、フォールディング刃(安来鋼青紙二号/炭素鋼 )×1本、ハンドル用の木材(ブナの木)×1組、組ネジ(ステンレス)×2組、ピン×1本、皿バネ×2枚、ワッシャー×2枚、板ドライバー×1枚、サンドペーパー(#120・#240)×各1枚、つくりかた説明書×1です。

たったこれだけなので、説明書がなくても完成します。注意点は皿バネの向きだけ。ここさえ間違えなければ、誰でも作れると思います。

1-1.ハンドルに組みネジとブレードを組み込み固定

3ヶ所穴が空いているハンドルに、組みネジとピン、ワッシャー、板バネを置き、ブレードをのせます。文字で立体化すると次のよう。

組みネジ

ハンドル

ワッシャー

皿バネ

ブレード

皿バネ

ワッシャー

ハンドル

組みネジ

の順番です。ハンドルの内側には「inside」と書かれていますので、表裏を間違えることはありません。

前述しましたが、唯一の注意点がその名の通り、お皿のような曲面になっている皿バネの向きです。ブレードをお皿で挟むと覚えておけば大丈夫。説明書なしで組み立てられます。

1-2.組みネジを板ドライバーで締める

ブレードを組み込み、ハンドルにある2ヶ所の組みネジをドライバーで締めれば完成。板ドライバーが付属するので、組み立てだけであれば用意するものはありません。

完成までわずか5分。組み立て後の全長は約220mm、刃を収納した時の全長は147mm。ほんと拍子抜けするくらいの簡単さですが、ここからが本番です。

この状態で握ってみるとやはり角が手のひらにあたり、握りにくいため、創作意欲がフツフツと湧いてきます。

2.ナイフで自分好みに削っていく

ナイフで鉛筆削っていたのだって遥か昔。ナイフで形作ることなんて普段ないから、最初は探り探りチマチマ切っていたのですが、「削り過ぎたら直せばいいか!」と思ったら気が楽になりまずは粗削り。切削加工性が高い、ホオ材なのでサクサク削れます。

削っては握り、削っては握りしながら形を整えていたら、昔、卓球部でペンハンドのラケットを自分の持ちやすいように削っていったことを思い出しました。

ちなみに削ったナイフは、同じ兵庫県三木市の永尾駒製作所の「肥後守」!こちらも青紙鋼。

3.サンドペーパーで磨く、磨く、磨く

だいたい形が整ったらあとはひたすらサンドペーパーで磨く、磨く、磨く。まずは粗めの#120で。磨き終わったら仕上げに#240で磨きます。

キットには入っていませんが、さらに細かい番手のサンドペーパーで磨けばより表面が美しく仕上がります。

ブレードを収納したままだと磨きにくい場所はブレードを出して磨きます。刃の取り扱いにはくれぐれもご注意を。

磨きが終わり、一応の完成です。

だいたい2時間くらいで終わったのですが、削って磨いている間、無心になれました。

もうちょっと、もうちょっとと、細かく修正したり、もっと丸みを帯びた形状にしたりすればもっと時間がかかると思います。

4.ハンドルをバラして好きな色を塗っていく

素組みでは完成しましたが、ハンドルの内側まで塗れないのと、ブレードに塗料が付いてしまうため一旦、バラします。

バラしたハンドルを塗っていきます。好きな色でいのですが、風合いを活かすために手元にあった「柿渋」を刷毛で塗っていきました。

何度か重ね塗りをして塗装も完了。再度、組み立てて完成です!

柿渋を重ね塗りしたせいか、ネジ穴が小さくなった気がし、最初に組み立てた時よりも若干時間がかかりました。

5.再度組み立てて完成!

一旦バラしたパーツを組み直して完成!

素朴な感じで手作り感が残っていますが、個人的には大満足。作る際にこだわったポイントは以下の3つです。

・親指を置きやすいようにする
・人差し指の流れに合わせる
・しっかり小指でも握れるようにする

握っては削り、削っては磨きを繰り返したのでかなり握りやすくなりました。

■日本刃物の本格派だけに切れ味抜群

ハンドルのクラフトもさることながら、もともとのコンセプトが“折りたためる包丁”ということで、実際に調理をしてみました。

見た目自体からやる気満々。ハンドルと刃が一直線のオピネルと比べると、違いが一目瞭然です。ちょうど食材を切りやすい角度になっているのです。

しかも刃は、ブレードは鋼と地金からなる伝統的な日本刃物で、職人がひとつひとつ手で研ぎあげたという本格派。

そこでキャンプの朝食でよく作る“沼サン”(詳細は略)を作ってみました。切りにくいパンやチーズ、トマトに、細く切らなければいけないキャベツ、脂が絡みつくベーコンと、簡単ながらペティナイフの実力を試すには格好の調理。

ということで早速作ってみました。

まずはパンを半分のカット。いつもは食パンを使うのですが、今回はフォカッチャを使用。パンは、専用のパン切り包丁があるくらいで、パンを普通の包丁で切ると断面がボサボサになるのですが、一刀入れただけで感動!

パン切り包丁のように波形の刃ではないのに、切れる切れる。刃を入れてスーッと引けば、断面が押し潰されずにスパッと切れます。

これだけで、My キャンプ料理ナイフに確定です!

続いて、スライスチーズです。サーっと刃先を滑らせればきれいに切れましたが、滑らせるよりも刃を押し当てて切った方がすんなり切れたかもしれません。

そして沼サンのキモになるキャベツの千切り。これをサクッサクッと切れなければ料理用ナイフとしてはそもそも失格なので、もちろん問題なく、しかも取り回しがいいのも手伝って、簡単に細切りできました。

そして脂がべっとりとブレード全体に絡みつくベーコンも難なくカット。

そして最後が、難関のトマトです。皮が硬く、中が柔らかいため、スパッと切れないとまな板が汁だらけになってしまいます。

見てください。このまな板の美しさ。皮も中もスパッと切れるので、汁が出てきません。

包丁の切れ味を試すのにトマトを切った動画がありますが、まさにそれ。ほんとスパッと切れて気持ちいい体験ができました。

そしていよいよ完成!美味しい沼サンができあがりました。

ということで包丁としての実力は疑う余地はありません。まさに、作ってよし、使ってよしの1本です。

*    *    *

作り終えた今の心境は、どうバージョンアップさせるか?

ブレードに黒錆加工をするか、ハンドルを焼き仕上げにするか、それとも折たたみ式料理ナイフ専用のレザーケースである「It's my knife Folding」を購入するか、真ちゅうネジセットに交換するか…。

ゴールデンウィークの楽しみがひとつ増えました。

>> FEDECA「It's my knife Folding Standard」

 

文/澤村尚徳<&GP>


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