Spotify傘下のAnchorがビデオチャットを音声ポッドキャストにするツールをリリース

新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモートワークが拡大する中、Spotifyはビデオ会議、ビデオ通話をポッドキャストの普及に役立てようとしている。Spotifyのポッドキャスト作成プラットフォームは2019年に1億4000万ドル(150億円)前後で買収したAnchorだ。米国時間4月28日、同社はビデオチャットやビデオハングアウトを誰でも簡単にポッドキャスト化可能な音声ファイルに変換する機能をリリースした。 ビデオファイルからオーディオトラックを抽出する変換ツールはGoogle Meet、Zoom、Skype、Apple FaceTime、Twitch、Instagram Liveなどの人気あるビデオチャットのプラットフォームに対応する。

またローカルで作成したmp4とmovファイルもAnchorにアップロードすればポッドキャスト用に変換してもらえる。

ビデオをオーディオに変換する手順は簡単だ。ビデオチャットのビデオファイルをローカルにダウンロードし、次にAnchorのウェブでAnchorのプラットフォームにアップロードすればよい。

変換されたファイルは、Anchorプラットフォームの編集ツール、エピソードビルダーに即座に表示される。ユーザー自由にトリミング、カット、ペーストその他の編集ができる。AnchorにはBGMや各種サウンドエフェクトを付加する機能があり、音声を録音して追加することもできる。

Anchorは自身でポッドキャストをホストする他、主要なポッドキャストプラットフォームに無料で配信する。ターゲットにはSpotifyはもちろんApple Podcast、Google Podcast、Overcast、Breaker、Castboxなどが含まれる。

手間取る可能性があるのはビデオの変換ではなく、ビデオチャットからビデオファイルを作成するところだろう。

グループチャットのビデオをダウンロードするプロセスは、利用したプラットフォームによって異なる。Anchorの発表には「ビデオチャット録画のハウツー」セクションが設けられ、多数のビデオチャットのヘルプページへのリンクが用意されている。 ただし、ビデオをエクスポートするには有料アカウントが必要になるサービスもあるので注意が必要だ。

またYouTubeは動画を.mp4または.mov形式にダウンロードする方法を公式には提供していない。しかしGoogleで検索すればYouTube動画を取得するヒントが見つかるかもしれない。

Anchorの新機能を使用するには当該ビデオを使用するライセンスとビデオチャット参加者の許可が必要なのはもちろんだ。

新機能は新型コロナウイルスによる大混乱の最中という時期にタイミングよく登場した。ソーシャルディスタンス確保の要請や外出禁止命令により、ユーザーはスタジオなどでゲストと直接対面して会話を録音することができなくなっている

他方、ポッドキャストでは学校や職場が閉鎖され、リモートワークやホームスクーリングに移行することとなったため人々の日常が混乱し、数週間にわたってリスナーの減少がみられた。レイオフされたりスモールビジネスを維持するために苦闘するケースも多かった。そういう状況ではポッドキャストに耳を傾ける時間や心の余裕が持ちにくい。

これによりロックダウンの最初の数週間はポッドキャストのリスニングが減少した。しかしNiemanLabのレポートによれば、先週のポッドキャストのダウンロード数は4%アップ、オーディエンス数は2%アップと、少しずつ回復している

ポッドキャストの制作に関しては事情が異なる。AnchorはTechCrunchに対し「先月、Spotifyにおけるポッドキャストの制作数は大幅に増加した」と語っている。

2020年3月にSpotifyに投稿された新しいポッドキャストの数は対前月比69%増の15万本弱となっている。これはSpotifyにおけるポッドキャストの月間オーガニック成長率で最大のものだという。

ビデオからオーディオへの変換サービスは本日、米国時間4月28日に全ユーザー向けてにウェブで公開される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook


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