「ファイヤープランジャー」で火起こしすれば上級者に見えるかも!

炎を手にする方法は、マッチやライターだけではありません。最近注目のファイヤースターターや火打ち石、さらには摩擦熱を利用するきりもみ式や弓切り式などいろいろな手法があります。どれもちょっとばかり面倒くさいんですが「ちょっと面倒なものを素早く扱う」姿こそがスマートだと、ハマる人が急増中です。

そんな奥の深い火起こしスタイルに、古くて新しい道具が仲間入りしました。ペトロマックスの「ファイヤープランジャー」(3850円)です。

銀のスティックが銀プランジャー、黒いスティックが黒プランジャーで、これがセット。チャークロス(綿の布を炭化させた火種)と潤滑油も付属されていますが、追加でチャークロスを購入できます。

なぜ、こんな棒で着火できるのかというと、断熱圧縮という原理を応用しているから。

断熱圧縮とは、空気を圧縮させることで圧力エネルギーが熱エネルギーに変換され温度が上がるという仕組みです。エアコンやディーゼルエンジンなどにこの断熱圧縮が応用されています。

東南アジアではファイヤーピストンという装置で火起こしをしていたそうで、「ファイヤープランジャー」はこの古い発火道具をより扱いやすく設計し直しています。

 

黒プランジャーの端にある黒いジャーの中には潤滑油が入っています。

潤滑油を銀プランジャーのゴムパッキンに塗ります。黒プランジャーの中に入れて抜き差しし、潤滑油を筒の中全体になじませましょう。

銀プランジャーを押し込み、自然に跳ね返るようになったらセッティングは成功です。もし、自然に跳ね返らないようなら、ゴムパッキンの厚みを調整します。

銀プランジャーのジャーの中にはロープ状のチャークロスが入っています。

銀プランジャーのへこみにチャークロスを詰めます。チャークロスが盛り上がるようでは詰め込みすぎです。

黒プランジャーをかぶせてセット完了。

プランジャーを垂直に立て、勢いよく押し下げて圧力をかけます。下までしっかり押し込んだら、すぐに黒プランジャーを引き抜きます。写真はテーブルの上で押し下げていますが、平らな木の上や硬い地面のほうがうまく力をかけられました。

引き抜くときに小さく赤い点が付いていたら成功です。大きめの落ち葉の上に細かな繊維(火口)をのせておき、その上に火がついたチャークロスを載せます。

そっと息をふきかけると赤くなります。赤い部分に空気を送りつつ、繊維で包み込みます。このあたりはファイヤースターターなどと同じですね。

焦らず静かに空気を送っているとポッと炎が生まれますよ!

*  *  *

ファイヤープランジャーでの点火は、何度か練習が必要です。最初はうまく点火しませんが、諦めないで何度もチャレンジしてみてください。難しいからこそ、最初に発火には感動です。

そして、万が一、点火できない場合は奥の手ですが、銀プランジャーのジャーを取り外してファイヤースチールを取り出しましょう。ファイヤースチールがあれば、あとはナイフの背でこするだけ。これならだれでも簡単に炎を得られます。ファイヤープランジャーとファイヤースチールの二段構えですから安心してフィールドに向かえますね!

 

>> ペトロマックス

取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter


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