社内のナレッジを一箇所に蓄積、累計1200社が導入する「Qast」が8000万円調達

社内ナレッジ共有ツール「Qast」を運営するanyは5月11日、HENNGEを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。同社は4月にグローバル・ブレインとGazelleCapitalから6500万円を調達済み。今回も含めてanyではプレシリーズAラウンドで総額8000万円を調達したことになる。

QastはQ&AとWikiの機能を備えた社内向けのストック型の情報共有サービスだ。属人化していてチーム内で蓄積されていないノウハウ、毎回同じような質問が繰り返されているナレッジなどをQ&Aやメモを通じて一箇所にまとめて整理できるのが大きな特徴となっている。

いわゆる社内Wiki的なサービスとしては「Qiita Team」や「esa.io」、「Kibela」など複数の選択肢が存在するが、any代表取締役の吉田和史氏によるとQastは特に非IT系の中小企業やエンタープライズ企業への導入が進んでいるそう。たとえばSlack上の投稿に絵文字をつけるだけでQastにメモとしてストックできる機能やテンプレートなど、簡単な操作でナレッジをためられる点が好評だという。

また投稿数や反応数に応じて投稿者にスコアが付与される機能を搭載。従来は見えづらかった「情報共有の面で、誰が、どれだけ貢献しているか」を見える化し、社内評価にも繋げていける仕組みを作った。この点は全社導入を考えている企業などには特に刺さっているそうだ。

蓄積した情報はいつでも検索して参照することが可能。Word、PowerPoint、Excel、PDFを添付した場合にはファイル内の文字列までが検索対象になる。

Qastは吉田氏が当事者として感じていた課題を解決するために作ったプロダクトだ。吉田氏自身、過去に「情報が上手く共有されておらず、新しいメンバーが入るたびに毎回同じような質問が飛び交う状況」に悩まされていた時期があったという。

「欲しい情報を誰が持っているかもわからない状態だったため、知っていそうな人を何人もリレー形式でたどっていくような状態だった。今やウェブ上で検索すればほとんどの情報にアクセスできる時代なのに、社内の情報は整理されていなくて検索できない。ヒアリングをしてみると自分たちだけでなく他の人たちも同じようなペインを抱えていることがわかったので、まだ本質的な解決策は生まれていないと考えてこの領域でチャレンジすることを決めた」(吉田氏)

直近では新型コロナウイルスの影響でリモートワークが進み、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールを導入する企業が増えている。Qastでもそれに伴って新規ユーザーの増加スピードが上がっているそうで、無料トライアルも含めた累計の導入企業数は1200社を突破した。4月30日にはTeams上のメッセージをQastに簡単に投稿できる機能を新たに実装するなど、チャットツールとの連携強化にも取り組む。

今後はエンタープライズ企業への導入加速に向けた機能拡充にも力を入れていく計画。エンタープライズ向けSaaSを展開する新規株主のHENNGEとも、営業基盤やセキュリティ面などにおいて連携を見据えているようだ。


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