いま見るとむしろ新鮮!最近じわりと人気の四角い国産車 7選

「最近のクルマはどれも丸くなりすぎ。自分は四角いクルマに乗りたいのに選択肢がない」

クルマの購入を考えている人からこんな声を聞くことがあります。

確かに今は、燃費や高速走行時の安定性を良くするために、さまざまな空力処理が施された流線型のクルマが多くなっています。そしてプレス技術の進化とともに、複雑な面を多用した抑揚感のある造形が与えられたクルマが増えました。

そのようなクルマのデザインが自分たちのライフスタイルにマッチしないという人が注目しているのが旧車。

旧車系のイベントには多くの人が集まり、SNSでも自身の愛車をアップする人が増えています。ただ、あまりにも古いものだと維持の心配も付きまとい、購入に踏み切れない人も多いはず。

そんな人にお勧めしたいのが、ちょうど日本の元号が昭和から平成に変わったあたり――1980年代後半から90年代前半に登場したモデルです。

日本のバブル期に開発されたクルマが登場する1990年代前半ごろから、流線型のモデルが増えていきました。一方でまだこの頃は直線基調の四角いクルマも多くありました。この頃のクルマならまだ何かあった時に比較的パーツが出てきやすい、エアコンなどの必需品もついているので夏でも乗りやすいなどのメリットが。

また、よく見ていくと、1990年代後半から2000年代前半に登場したモデルにも人気のある四角いクルマがあります。

今、注目したい四角いクルマを2020年5月現在の中古車相場状況ととともに紹介します。

 

1. 日産 セドリックワゴン/グロリアワゴン

日産の上級セダンであったセドリック/グロリアには、1983年に登場した6代目のY30型までステーションワゴンやライトバンも設定されていました。マークIIバンとともにサーファーを中心に流行したり、ローダウンでアメリカっぽいカスタムが人気になったりと、一定周期で盛り上がるモデルですね。

セドリック/グロリアは1987年にY31へとモデルチェンジ。しかしY31にワゴン/バンは設定されず、このY30型ワゴン/バンが1999年まで継続販売されました。そのためデビューは80年代前半でも、90年代後半に製造された走行10万km前後の中古車が流通しています。

コラムシフトを採用してフロントがベンチシートになっていることでゆったり運転できるのが特徴。広大な荷室には後ろ向きに座る補助シートがついた仕様も存在します。ボディにウッドパネルが貼られた仕様は人気が高めです。

現在も大きな荷物を運ぶ機会が多い音楽関係者などからの注目度は高く、低走行の中古車は相場が上昇傾向にあります。ただ、セドリックとグロリアを合わせると50台近い中古車が流通しているので、条件に合うものは見つけやすいでしょう。価格帯は40万〜200万円ほどとなっています。

 

2. 日産 ラシーン

1994年に登場したラシーンは、日産が80年代後半から展開したパイクカーシリーズの完結編的な位置付けです(他モデルと違い限定車ではないので、パイクカーシリーズに入れないケースもあります)。

B13型サニーの4WDをベースに製作された愛らしいSUVは、スズキ エスクードが道を開き、トヨタ RAV4やホンダ CR-Vがブームを作ったライトクロカンの中でも異質な存在でした。

スクエアなボンネット、切り立ったフロントガラスは現代のクルマではなかなか見ることができない雰囲気です。ルーフレールや背面タイヤなどヘビーデューティな雰囲気を演出する装備と愛らしいフロントマスクのミスマッチ感も絶妙!

デビューから25年経った今でも指名買いをする人が多く、ラシーンを専門に扱う中古車店も存在します。中古車は130台ほど流通していて、価格帯は20万〜150万円となっています。

 

3. ホンダ クロスロード

ホンダのコンパクトミニバン、ストリームをベースに開発されたコンパクトSUVのクロスロードが登場したのは2007年。コンパクトボディに3列シートを配置しつつ、室内を広くするためにボディサイドを切り立ったデザインに。直線基調のゴツゴツした雰囲気は、他のSUVにはない独特な雰囲気でした。

ただ、クロスロードがデビューした頃はスライドドアのミニバン全盛期であるとともに、人々の燃費意識が高まりハイブリッドカーや軽自動車への注目が高まっていました。そのため、クロスロードは販売不振が続き、わずか3年半で生産終了となってしまいます。

ところが、絶版となってしばらくしてから、クルマに四角い雰囲気を求めて中古車を探す人が増加。それとともに3列シートの利便性なども再評価されるようになりました。ボディカラーやホイールをカスタムしアウトドアテイストを高めた中古車も注目を集めています。

中古車流通量は約210台と今ならまだ探しやすく、価格帯も20万〜170万円と手の届きやすいものに。何より初度登録から10年ちょっとなので安心して乗れるのが魅力です。

 

4. ホンダ エレメント

エレメントは元々、アメリカで2002年に発売されたモデル。アメリカ・オハイオ州の工場で製造されて2003年から日本にも輸入されました。

左右ともリアドアがセンターピラーレスの観音開きになっていて、フロントドアと一緒に開けると広大な開口部が出現。アウトドアでドアを開けた時の開放感や荷物の出し入れ時の利便性などさまざまなメリットがあります。

無塗装の樹脂パーツをアクセントに使ったボディもインパクトがありましたが、日本では全く人気が出ず、わずか2年で販売終了となりました。

ところが5年ほど前から、ルノーカングーを好むようなアウトドアファンの間でにわかに注目が高まります。現在は70台ほどの中古車が流通していて、価格帯は40万〜180万円。今後流通台数が減ってくると、中古車相場は上昇に転じる可能性もあります。

 

5. トヨタ bBオープンデッキ

2000年に登場したトヨタのハッチバック、bBの派生モデルで、リアの荷室部分を切り取りピックアップトラックのようにしたオープンデッキに。bBは悪っぽい雰囲気を強調していましたが、同じフロントフェイスでもオープンデッキは太陽の下が似合う陽気な雰囲気が漂います。

bBの派生モデルとはいえ、リアドアが観音開きになったり、荷台前にあるガラスを全開にして開放的な気分を味わえるようにできるなど、随所にオープンデッキならではの遊び心が盛り込まれています。

そしてbB譲りのスクエアなデザインは今見ても新鮮! イメージカラーのイエローも雰囲気があります。

その特殊さから新車がたくさん売れることはありませんでしたが、現在でも中古車は20台ほど流通しています。価格帯は30万〜80万円。かなりカスタムされた中古車もあるので、状態をしっかりチェックした上で購入しましょう。

 

6. トヨタ ランドクルーザー70

2004年に日本での販売が終了したランクル70系が、2014年に発売30周年を記念して1年間の期間限定で再発売されました。

「かつて人気のあったクルマにもう一度乗りたい。当時のデザインで復刻してくれればいいのに…」という声はよく耳にします。バイクでは復刻版が登場することもありますが、クルマだと保安基準をはじめ、さまざまな問題から復刻版の販売は難しいと言われています。それだけにランクル70の復活は大きな話題となりました。

これができたのは日本での販売が終了した後も海外では製造・販売が続けられていたから。2004年まで日本で発売されていたランクル70とルックスが違うのは、海外で2007年に大規模なマイナーチェンジがあったためです。

現代のクロスオーバーSUVにはない直線的で無骨なクロカンスタイルは、ヘビーデューティーが好きな人にとって変わりとなるクルマが存在しません。

2014年に再販されたランクル70バンの流通量は約70台で価格帯は250万〜450万円、ピックアップの流通量は約30台で価格帯が290万〜490万円となっています。バンの新車価格が360万円、ピックアップが350万円だったので、相場はほとんど下落していません。この傾向は今後も続くはずです。

 

7. スズキ ジムニー(JA12/JA22型)

▲JA12/JA22型ジムニー

2018年7月にフルモデルチェンジした現行型ジムニー。兄弟車のジムニーシエラを含め、発売と同時に1年以上の納車待ちが発生。スズキは増産体制を取っていますが、長期納車待ちの状況は現在でも続いています。

とはいえ、最近では街中でもジムニーやジムニーシエラを見かけるようになりました。こうなると「やっぱり人とは違うジムニーに乗りたい」と思い始めている人もいるはず。

先代ジムニー(JB23型)はボディ全体こそ直線基調であるものの、乗用車テイストを意識したデザインで、丸みを帯びた雰囲気に。四角いクルマが欲しいという人に注目して欲しいのが、さらに1世代前の最終型となる、JA12/JA22型ジムニーです。

1995年から軽自動車の規格が変更となる1998年10月まで製造されたJA12/JA22型は、サスペンションをリーフ式からコイル式に変更。これによりオンロードでの走行性が向上しました(もちろん最新型に比べると劣りますが…)。さらに1997年5月以降のモデルは100km/h以下なら走行中に2WD⇄4WDの切り替えが可能になっています。

JA12/JA22型ジムニーは現在でも500台ほどの中古車が流通しています。価格帯も20万〜170万円と幅が大きくなっていて、特にMT車は相場が高めで推移。

ジムニーは林道などで使用されていたり、雪国で使われていたことでボディに錆が発生しているものも見受けられます。購入時に状態をしっかりチェックし、価格と状態に納得した上で購入しましょう。

 

文/高橋 満<ブリッジマン>

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。


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