auのサブブランドとしてのUQ mobile、「スマホプランR」ですみ分けもバッチリか

KDDI傘下のUQコミュニケーションズが運営するUQ mobileが、6月1日から料金プランを改定する。

KDDIは10月1日に、UQコミュニケーションズからUQ mobile事業を継承。従来以上にauのサブブランドとしての位置づけを強化し、ユーザーの獲得増を狙う方針だ。新料金プランの導入により、auとのすみ分けも明確になる。

新しく導入される「スマホプランR」とは

UQ mobileが新たに導入するのが、月額2,980円の「スマホプランR」だ。

利用できるデータ量は、月10GBまで。10GBを超えた際にも、速度は1Mbpsまでしか落ちず、半定額的に使えるのが特徴。音声通話には30秒20円の料金がかかるが、通話定額や10分までの準定額をオプションとしてつけることが可能だ。

同額で月9GBまで利用できた「スマホプランM」は廃止になるほか、月14GBの「スマホプランL」もなくなり、6月1日からは残った「スマホプランS」と「スマホプランR」の2本立てになる。

料金は2,980円で、容量は10GB。6月1日からは「スマホプランS」都の2本立てになる

auはデータ容量が使い放題になる「データMAXプラン」を強化しており、そことすみ分けを図った格好だ。

auにも、段階制で月額2,980円の「ピタットプラン 4G LTE/5G」があるが、最低料金で使えるデータ容量は1GBまで。事実上、低容量から中容量までは、サブブランドのUQ mobileを契約したほうがお得になる。

無制限のauと、低容量から中容量のUQ mobileといった形で、2つのブランドのすみ分けが進んでいきそうだ。

「スマホプランR」は楽天モバイルやワイモバイルにも対抗できる

プラン改定の背景には、楽天モバイルの存在がある。

楽天モバイルは、スマホプランRと同額の2,980円で、データ通信が無制限になる「UN-LIMIT」を導入している。一見すると、容量ではUQ mobileのほうが少ないが、楽天モバイルの無制限は、あくまで自社回線のみ。

同社の自社回線は東京23区、大阪市、名古屋市などの大都市圏に限定され、それ以外の地域では時限措置として提供されているauにローミングで接続することが圧倒的に多い。auローミングは月5GBに制限され、容量消費後は1Mbpsに速度が低下する。

この5GBと比べると、UQ mobileのほうが容量が多くなるというわけだ。

エリアや料金が強みで、楽天モバイルを強く意識したプランに仕上がっている

月3GB(キャンペーンで4GBに増量)のスマホプランSを残したのは、低容量ニーズに対応しつつ、楽天モバイルやワイモバイルに対抗するためだ。

楽天モバイルは現在、MVNOからの移行を受け付けているが、その際にUN-LIMITを選ぶと、料金が上がってしまうケースがある。MVNOからMNOへの移行は、例外的に料金プランを変更せずに移れるが、楽天モバイルの自社回線エリアはまだ穴があるため、他社を検討する余地が生まれる。月額1,980円のスマホプランSでは、こうしたユーザーを狙うことが可能だ。

対ワイモバイルで見たときにも、スマホプランSはリーズナブル。ワイモバイルにも同容量の「スマホベーシックプランS」がある一方で、料金は2,680円とUQ mobileよりも700円ほど高い。ワイモバイルには、1回10分までの音声定額が含まれているためだが、音声通話が不要なユーザーにとっては、UQ mobileのほうが安価な料金で利用できることになる。

メインブランドとのすみ分けは端末ラインナップでも……

料金プラン改定に合わせ、UQ mobileは端末のラインナップも拡充。新たに投入するのは、シャープ製の「AQOUS sense3 basic」とOPPO製の「OPPO Reno3 A」、サムスン電子製の「Galaxy A41」の3機種。

Reno3 AとGalaxy A41は海外メーカー製の端末ながら、おサイフケータイや防水などのいわゆる日本仕様にも対応する。

OPPOのReno3 AとサムスンのGalaxy A41は、海外メーカー製ながらおサイフケータイに対応

対するAQUOS sense3 basicは、SIMフリーモデルとして好評を博しているAQUOS sense3からおサイフケータイやデュアルカメラなどを省いたうえで、メモリやストレージの容量を落としたモデル。価格重視でスマホの基本機能だけを使いたい人に向けた端末に仕上がっている。

auがより高機能な5Gスマホにシフトしている中、端末ラインナップでもメインブランドとサブブランドのすみ分けがより明確になっていると言えそうだ。

価格を抑えて普及を狙うシャープのAQUOS sense3 basic

(文・石野純也)


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