気温や湿度といった気象条件が新型コロナウイルスにどう影響するかに関しては、まだ決定的な答えは出ていない。これに対して、人と人との接触率については、数日後の新型コロナ感染者数を予測する指標となることがわかっている。
こうしたなか、ペンシルベニア州立大学では、リアルタイムでの予測および行動介入に役立つモデルの開発に取り組んでいるようだ。現在並行して走っているいくつかのプロジェクトが、同大学によるブログ記事で紹介されているが、そのうち2つを取り上げる。
気象データを数理モデルに反映することを検討
まず、最適な行動介入や資源配分が行えるよう、データを用いてリアルタイムに感染への影響を評価しようとのプロジェクト。基軸となるのは感染拡大を予測する数理モデルで、疫学データなどに加えて気象データが利用できないかを検討しているとのこと。
そのために、気象と新型コロナを研究した論文をレビューするなどして、妥当性を探っている段階だ。
同プロジェクトには、世界中から疫学者、数理モデルの専門家、医師、公衆衛生担当者が参加し、最適な意思決定に役立つフレームワークを開発すべく協力している。
衛星データを疫学モデルと組み合わせる
また、移動や接触率の変化を測定して、行動介入の影響を評価するプロジェクトは、夜間照明、電波放射、二酸化窒素、赤外線エネルギーといった衛星データを用いたものだ。
こういった衛星データを地域の人口密度の推定値とともに利用し、人々の行動の変化を測定。この情報を疫学データと組み合わせ、リアルタイムでの行動介入に役立つかどうかを検証する。
行動介入の影響が見えるまでに時間的なブランクがある点は、新型コロナへの対応をむつかしくしているところ。気象データや衛星データを統合的に利用することで、リアルタイムに影響が予測できるようになれば、感染拡大防止策を講じるうえで有用だろう。
参照元:Geographers bring expertise on geospatial data, modeling to COVID-19 research/ Penn State News
- Original:https://techable.jp/archives/125817
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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