横浜市立大学大学院生命医科学研究科を中心とした研究チームが、「例外」の発見に特化した人工知能(AI)「BLOX」を開発したことを発表した。
例外的な物質を効率的に発見するAIを開発
これまで、材料開発を飛躍的に発展させてきた要因は、予想や想定ができない、いわば例外の発見が大きく影響していた。そこで、複数の特性を考慮した上で例外的な特性を持つ物質を効率的に発見できれば、かつてない機能を持った材料や新たな基礎研究の端緒を開く可能性があるとされていたが、このような例外的物質の発見は、ほとんど偶然に任せるしかなかったという。
一方、既存のAIは、人間が望む材料特性を予め設定することで新材料を開発してきており、例外的な物質を探すことは不可能とされていた。そこで今回、同研究チームは、機械学習をうまく組み合わせることで例外の度合いを数値化し、例外的な物質を効率的に発見するAI開発を試みその結果、「BLOX」の開発に成功した。
想定外な物質の発見も可能に?
「BLOX」によって発見された分子は、例外的な光吸収特性を持ち、その性質ゆえに色素や有機太陽電池などの有用な機能性分子としてのポテンシャルを持つ。注目すべき点は、これらの分子の多くはもともと薬開発の副産物として得られたもので、それらの光吸収特性は基本的に注目されてこなかった点。これは「BLOX」を用いることで、本来の用途を超えた有用な物質・材料を発見できる可能性を示しているという。
予想外・想定外なものを積極的に発見する枠組みである「BLOX」を自動合成システムなどと組み合わせれば、自動で例外物質が次々と発見され、研究者が全く想定していなかった性質を示す物質の発見が加速される可能性がある。
また、BLOXは化学や材料分野のみならず、幅広い科学分野における例外的事象の探索に活用されることも期待できるといい、様々な場面での活用に注目が集まっている。
- Original:https://techable.jp/archives/127228
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:kawaguchiasuka
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