EU、Appleを独占禁止法違反の可能性で調査開始と発表。Appleは反発

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欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間6月16日、Appleが運営するApp StoreとApple Payが、競争法(日本の独占禁止法に相当)に違反しているおそれがある、として調査を実施することを発表しました。Appleは「失望した」とコメントし、反発しています。

アプリ内課金とApple Payの制限が調査対象に

欧州委員会は、Appleによる独占禁止法違反のおそれを調査する対象は、以下の2点と発表しています。
 

  1. コンテンツ購入に、アプリ内課金を利用するよう誘導
  2. Apple Payのサードパーティへの利用制限

 

1. コンテンツ購入にアプリ内課金を利用するよう誘導

App Store 10周年 WWDC 18
 
欧州委員会は調査の理由について、ユーザーがデジタルコンテンツを購入する際、自社の利益を上乗せできるApp Storeを通したアプリ内課金を利用するよう、Appleが開発者を誘導しており、ユーザーが外部からより安く購入するのを妨害しているおそれがある、と説明しています。
 
この問題は、2019年3月に音楽配信最大手のSpotifyが、会員登録費用をApp Store経由で支払うことで割高になっているのは不当だ、と欧州委員会に提訴していました
 
Appleはこれに対して公式Webサイトで反論を掲載し、「App Storeで無料配布されたアプリのユーザーから、Appleの課金システムを使って徴収する利用料金を全部自分のものにしようとする主張は、誤解を招く表現で不適切だ」と主張していました。
 
最近では、楽天傘下で電子書籍サービスを運営するKoboも、欧州委員会に調査を求めています。

 

2. Apple Payのサードパーティへの利用制限

ApplePay
 
Apple Payが調査の対象となる理由について欧州委員会は、サードパーティの決済アプリがiPhoneのNFCチップにアクセスするのを不当に制限している可能性があるため、と発表しています。
 
Apple Payはバックグラウンドで動作し、スムーズに支払いが可能ですが、サードパーティの決裁アプリはバックグラウンドでのNFCチップへのアクセス動作が禁止されています。

Apple「ただ乗りしたいだけの要求を受けての調査開始に失望」

欧州委員会の調査は、Appleを含む関係者の主張を聞きながら進めるため、結果が出るまでには1年以上の時間がかかると見込まれます。
 
もし、Appleによる独占禁止法違反が認定された場合、Googleのように巨額の制裁金支払いが命じられる可能性があります。
 
Appleは、欧州委員会の調査開始について「プラットフォームにただ乗りしたいごく一部の企業からの、根拠のない要求を受け調査を開始するとの欧州委員会の決定には失望しました」とのコメントを発表しています。
 
Appleは現地時間6月15日、App Store経済圏が2019年だけで世界経済に約56兆円の貢献をしており、その85%以上は開発者や各種事業者が得ている、とするレポートを公開しています。
 
 
Source:欧州委員会 (1), (2), Bloomberg, 日本経済新聞, 9to5Mac
(hato)


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