もつれた光子は、ひとつの光子を観測することでもう片方の状態がわかる。この現象を利用した技術、量子暗号鍵配送(QKD)では、第三者がデータにアクセスしようとすれば必ず察知できて、通信セキュリティが高められる。
グローバルで量子暗号鍵配送を実装するとなると、宇宙のノードを利用するのが手っ取り早い。
このほど、シンガポール国立大学が開発の小型衛星を利用した実験で、量子のもつれの生成と検出に成功したようだ。
1秒に2200ペアの光子のもつれを検出
小型衛星「SpooQy-1」は、2019年6月に国際宇宙ステーションから地球低軌道(LEO)に配備され、運用されているものだ。
国際宇宙ステーションで行われた実験では、衛星に搭載のデバイスが、もつれた光子のペアを生成し、これを検出した。検出レートは2200ペア/秒だったとのこと。
この軌道上実験により、CubeSatsなどの小さな衛星を使用して、衛星ベースの量子通信プロトコルを検証できることが示された。
重量わずか2.6kgでコスト削減に
衛星で生成した量子のもつれを検出すること自体は、すでに中国の衛星「Micius」により何度も達成されている。ただ、Micius衛星の重量が600kgなのに対し、SpooQy-1は重量わずか2.6kgだ。衛星のコストはそのサイズが小さいほど抑えられるとのことで、無数に配備するノードには、小型衛星が適しているだろう。
今後の実験では、光子ペアの検出レートを2桁向上させること、そして衛星と地上受信機で光子のもつれを共有することがの目標とのこと。
参照元:Entanglement demonstration on board a nano-satellite/ Optica
- Original:https://techable.jp/archives/129900
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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