ds Bland Research地域の技術をクリエイティブな発想で世に出すセメントプロデュースデザインの進め方  第三回


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クリエイティブディレクター
金谷勉氏が考える

ものづくりを変える
プロデュースとは?

全国の工場や工房を巡り、地域や中小企業の技術を生かしながら、新たな価値を生み出してきたセメントプロデュースデザイン代表の金谷勉さん。ものづくりの現場を変える方法論を聞く。

課題分析から販売まで全体に携わっていくことで地域の力を引き出せるのです

セメントプロデュースデザイン
代表取締役/
クリエイティブディレクター

金谷勉さん
京都精華大学人文学部卒業後、企画制作会社や広告制作会社を経て、1999年にCEMENT PRODUCE DESIGNを設立。商業施設や企業の広告デザイン、商品企画開発、講演など、幅広い分野で活躍している。

外観を変えることだけが
デザインの仕事ではない

今や全国各地のモノづくりの現場から声がかかるセメントプロデュースデザインだが、1999年の設立当初は現在のような事業展開は想像していなかった。「一般的なイメージのデザイン会社としての仕事がメインだった」と、金谷さんは振り返る。
「当初はポスターやパンフレットなどのデザイン受注が多かったのですが、自分たちも自社商品としてデザインクリップを開発したいと考えて、ものづくりのノウハウを一から学びました。製造コストから品質管理、販路まで、知らないことばかりでしたが、製造を依頼した工場からアドバイスしてもらったりして、何とか販売できるようになりました。このデザインクリップの開発がきっかけで、大手企業のイベントや商品デザインの依頼が増えましたが、一方で徐々に依頼を受ける企業や内容も変わってきました。町工場や職人から『新しい仕事のアイデアはないか』『どんなモノを作ればいいのか』といった、相談を受ける機会も増えていったのです」

 全国各地にあるモノづくりの現場に足を運び続けてきた金谷さん。その数は500社を超え、膨大なデータを蓄積している。目に見えやすい数字や技術だけでなく、作り手の熱意や現場の課題も拾い上げ、プロデュースに生かす。

 幅広い商品開発に携わる中で、製造を担当する下請け工場などを視察すると、技術はあっても経営が苦しいという現場が地方に多いことに気づかされた。こうした問題に自分が経験してきたものづくりのノウハウを生かしたいと考え、徐々に従来的なデザインの範疇に留まらない広い分野の仕事を手がけるようになったのだ。
「ひと言で商品開発と言っても、その工程は多岐に渡り、現場ごとに課題も異なります。私たちは技術や課題の分析から販売まで38工程を考えていて、クラウドファンディングの利用も含めると45工程を想定しています。新たに自社で商品開発を手がけたいと考える作り手は多いのですが、自分たちの強みや課題、販売までの道のりを把握できていないケースは少なくない。私たちはその分析からお手伝いし、アイデアやデザインを考えることで、技術を生かす方法を見出していくのです」

 
各地の地元信用金庫と提携し、長期的な商品開発プログラムや講演なども手がけている。地域全体で課題に取り組み、ブランディングや販路まで一緒に考えることで、産業を活性化できると考えている。

 こうした個々の依頼に対応する一方で、地域団体や自治体と協業する企画もスタート。2011年から取り組んでいる「みんなの地域産業協業活動」では、地域全体の産業活性化を図り、全国で勉強会や講演を行っている。
「日本の地場産業が窮地にある実態を目の当たりにした経験から、製造工程や販路の確保まで、無理なく実現できる永続的な仕組みを、協力し合いながら創造する必要があると考えました。技術、アイデア、デザイン、製造ノウハウ、流通まで、それぞれの強みを持ち寄ることで、日本のものづくりを地方から活性化できると考えています」



セメントプロデュースデザインが考える3つの軸

時には異なる技術を持つ工場同士の協業を実現させ、金融機関や小売店との接点作りまでサポート。地域から生まれた商品を販売するショップも運営している。作り手たちは、自分たちで商品を完成させ、売れていく様子を見ると、表情に自信が溢れてくるという。ものづくりの新たな道のりや活力を生み出すことも、セメントプロデュースデザインの仕事なのだ。

コトモノミチ at TOKYO(東京事務所)
東京都墨田区業平4-7-1TEL:03-6427-6648

全国の町工場や職人たちと共に考えて、作ったコトやモノを伝えていく場所として、東京都墨田区で自社ショップ「コトモノミチ at TOKYO」を運営。プロデュース商品の販売だけでなく、交流会やワークショップも催している。


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