自撮り重視の新しいアクションカムスタイル「Alpha3」

アクションカムに、なんとフリップ式のディスプレイを搭載するというチャレンジで、世界中のカメラ好きから注目されたmokacamの「Alpha3」。InstagramなどのSNSで人気を博したハッシュタグ、#GoProのある生活。あのムーブメントが生んだ日常も撮るための超広角コンデジ市場にインパクトを残せるか。

大画面・超広角自撮りという1つの結論

手のひらサイズでフリップ式ディスプレイを搭載。同様の構造を持つ ソニーRX0 IIより広角で、自撮りのしやすさはトップクラス。

GoProに端を発したアクションカムは、非日常的なアクティビティを捉える捉えるカメラとして一大ムーブメントとなりました。ただ買ってみるとわかるのですが、多くの人にとっては極めて使いにくいカメラです。海の近くに住むサーファーや、夜な夜なウィールの音を響かせるスケートボーダーでなければ、そうそう使わないカメラなんですよね。

しかし超広角であることを生かした自撮りや、何気ない日常の写真を撮るためのカメラとして注目されていく。Instagramのマスへの浸透と共に、日本発祥の#GoProのある生活ハッシュタグは、#GoProLifeというハッシュタグ名で海外にも波及し、アクションカムをデイユースするムーブメントとして広がりました。

と、なると、求められていくのが自撮り性能。画面を見ながら撮影できる機能です。

後発のDJI Osmo Actionは前側に小型ディスプレイを用意。Insta360 ONE Rは組み換え式ボディで背面ディスプレイを前に持ってくることが可能。いずれもサイズが小さく、なんとなくの画角しか確認できないところがあります。王道・GoProは外付けディスプレイを計画しているものの、新型コロナウイルスの影響で発売延期。

リアディスプレイを引き出し、上に向けて跳ね上げるフリップ式。画面の自動反転機能はないため、ダブルタップして表示を切り替える。

そこで注目されているのが、このmokacamの「Alpha3」です。2019年にIndiegogoで3700万円を、2020年にMakuakeで1200万円を調達した新アクションカム。最大の特徴は、フリップ式のディスプレイを持ち、前に向けることができるということ。2.35インチという、アクションカムのなかでは最大級のディスプレイを自撮りのために使うことができます。

実際に使ってみると、これが、ラク。166度という超広角なレンズを使っていることもあり、手持ちでも広々とした自撮りができるんですね。

画角設定は順番に「広い」「中」「狭い」。光学ズームではないようで、「狭い」にしても細部の描写力は変わらない模様。しかしIMX577センサーとレンズの相性はよく、1230万画素センサーの写真を1600万画素に拡張しての保存には不満が残るが、昼間・屋外であればノイズ感が少なくスッキリとした写真・動画を撮れる。暗い場所では積極的にISO値を上げる傾向があるので注意。

ボディ底面に三脚穴を持つという大いなる魅力

超小型であることが求められるプロダクトゆえ、バッテリー容量を確保しながら三脚穴を装備するのは難しい。しかしAlpha3はその課題をクリアしている。

自転車やバイクのハンドル、クルマのウィンドウや、サーフボードなどの先端にくっけて使うこともあるアクションカム。強い衝撃・長い振動がかかりやすい場所ということがあり、GoProシリーズは強固なマウント&ネジ止めで固定します。

でも手持ちで、日常的にラクに使いたいとなると、あのマウントが面倒。三脚など、普通のカメラとは異なるオプションを揃えないとなりませんから。

GoProフォロワーなアクションカムも、ほとんどがGoProマウントというべきマウントシステムを使っています。しかもGoPro HERO 7までの仕様と同じく、わざわざケースに入れないと固定できない仕様です。

タイムラプス動画などを撮影する際に、この三脚穴が活躍する。撮影準備の時間も短縮できる。

ところがAlpha3は、本体に三脚用の穴を装備。スタンダードなカメラ用機材で固定できるところに拍手を送りたい! そうなの。誰もがドリフトシーンとかモトクロッサーで大ジャンプしているとことか撮ってるわけじゃないの。ちゃちゃっと固定できるだけでもOKというユーザーもいるんです。

フリップ式ディスプレイを跳ね上げると、本体とディスプレイを接続しているフラットケーブルがむき出しになる。Alaph3は、そもそもハードワークに向いた作りにしていないことがわかる。

つまりAlpha3が目指した世界はアクションカムではなく、あくまでポケッタブル、手で握れるサイズの超広角コンデジなんですよ。ここを間違えて手にしちゃうと、不満を抱くカメラになるのでご注意を。

完成度が低いとみるか、アップデートの伸びしろがあるとみるか

無調整で撮ると、明るい露出だが薄い色味のデータとなる。記憶色ではなく、記録色というべきだろうか。

動画の撮影解像度は最大で4K 60fps。電子手ブレ補正などを使う場合でも、4K 30fpsで撮影可能。フルHDなら8倍スローモーション(240fps撮影・30fps再生)にも対応しています。

そうそう、この手ブレ補正も真正面に歩くときだけ使うなら、なかなかに高精度。GoPro HERO 6 BlackやOSMO ACTIONのように、左右へカメラを動かすとカタカタっとガクつくように見えるあたりは全時代感がありますが、ここはファームウェアのアップデートで対応できるんじゃないかな。

写真撮影、動画撮影共に複数のエフェクトモード、シーンモードを備えているが、レスポンスの悪い設定画面であることから、積極的に使いたいとは思えない機能となっている。変換された色味も特段にいいものではなく、スマートフォンに画像・動画を転送してからカラーグレーディングしたほうがいいものと感じる。

ファームウェアアップデートによる使い勝手の向上を勝手に期待するなら、操作画面の反応の悪さも記しておきたい。感圧式タッチパネルか、と思えてしまうほどレスポンスが鈍いことがあり、よろしくない撮影体験となってしまうんです。また色味や撮影シーンに合わせたモードも複数用意されているのですが、前述したように画面による操作に難があるために使いたくない。

ハードウェアの作りはいいのに、ソフトウェアでユーザビリティを大幅に残ってしまうのはとっても残念。あと、もうちょっとなのに。

Alpha3はIndiegogoでもMakuakeでも、出荷が大幅に遅れたプロダクトです。新型コロナ禍による影響は甚大なものだったとは理解していますが、そもそも2019年8月には出荷を開始するといっていたにも関わらず、僕が手にしたのは2020年5月でした。しかもIndiegogoのコメント欄を見ると、いまだ手にしていないユーザーがいる様子。あとからはじまったMakuake経由のほうで入手している人がいることを考えると、メーカーであるMokacamの対応がよろしくない気がしてなりません。

そう考えるとですね。より良いものに仕上げてくれるための、ファームウェアアップデートは期待しないほうがいいのかな、と思えてきちゃいます。

ううむ、もったいない。Makeakeのページによれば、日本での一般販売予定金額は3万9999円。本体、バッテリー2個、60メートル防水ケース、ワイヤレスリモコン、ケーブルを含んでこの価格ならコスパ高=長い期間で売れるカメラとなるからこそ、使い勝手を高めてくれる一手を打ってくれたらいいのに。

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