YouTubeは中国のアカウント多数を組織的な政治的影響力の行使に従事していたとして削除した。この4月から6月の四半期における中国アカウントの削除は2596件と急増している。2020年の最初の四半期の削除は227件(Googleブログ記事)だった。
Googleは脅威分析の速報である「TAG Bulletin: Q2 2020」(Googleブログ記事)で、第2四半期の状況を「削除されたチャンネルがアップロードしていたのは主として非政治的コンテンツだったが、一部のコンテンツが中国の政治に関連していた。内容はGraphikaが最近レポートしているものに似ており、新型コロナウイルスが中国で発生したものでないなど、中国側主張に対する米国の反論に関連したものも含まれていた」と述べている。
Graphikaの「スパモフラージュ・ドラゴンの復活:中国擁護スパムネットワーク再び仕掛ける」と題したレポートはこちらで読める。それによれば中国の世界的なプロパガンダ攻勢の一環として今年の初め頃から多数のスパムアカウントがYouTube、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディア上で活動を始めていたという。
スパムネットワークは中国政府を擁護するチャンネルでビデオ画像を大量に使っていた。また中国語、英語の双方で長文の非政治的記事を掲載していた。バスケットの試合や風景、モデル画像、TikTok動画など無害な非政治的コンテンツの間に政治的記事が埋め込まれていた。つまり政治的スパムをカモフラージュしようと意図した行動と考えられる。そこで「スパモフラージュ」と名付けた。
このスパムドラゴンの活動が「復活」と名付けられた理由は昨年の秋にも同様のスパム行為があったからだ。黒幕が誰であるにせよ、発見されても気にする様子はないようだ。利用されたアカウントは新規のものもあれば休眠アカウントを乗っ取ったり盗んだりしたものもあった。今回もこうしたアカウントを大量に使って前回によく似た手法のスパム活動に利用している。ただしグーグルが指摘するとおり今回はこれに新型コロナウイルス関連のスパムが加わっているのが新しい。
6月になると、スパムコンテンツにはGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏とBreonna Taylor(ブリオナ・テイラー)氏の殺害に端を発した人種的不公正に対する抗議活動が米全土で盛んになったことが含まれるようになった。
中国のキャンペーンはロシアやイランのものと同様マルチプラットフォームだとグーグルは指摘している。これはFacebook Twitter、サイバーセキュリティ企業のFireEyeも報告していた。
チャンネルの削除は4月に186件だったのに対し、5月に1098件、6月に1312件と急増してきた。これからすると夏には大量のスパムの発生がありそうだ。注意して観察したい。
画像:Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/08/06/2020-08-05-youtube-bans-thousands-of-chinese-accounts-to-combat-coordinated-influence-operations/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Devin Coldewey
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