先週、ソニーのノイズキャンセリング対応ヘッドフォンのWH-1000XM4が発表されたとき、TechCrunchのスタッフの間ではさまざまな反応があった。新しいヘッドフォンを探していたスタッフは興奮し、最近別のヘッドフォンを購入したスタッフは失望していた。この製品の前身であるWH-1000XM3は、4万円前半の価格帯のヘッドフォンの中では最高のオーバーイヤー型ヘッドフォンとして一般的に評価されていた。今回の最大の疑問は、この新製品が我々にM3以上のなにをもたらすかだ。
まず言っておきたいのが「すでにWH-1000XM3を持っている読者のみなさん、おめでとうございます。あなたは素晴らしいヘッドフォンを購入しました。アップグレードを急ぐ必要もありません」ということ。M3は、旅行者の長年の定番だったBose(ボーズ)のヘッドフォンの地位をかなり脅かせた。
M3はまったく新しいデザインで世に出てきたが、2年たったいま発売されるM4はその特徴を引き継ぎつつ洗練度を増している。M4は、ノイズキャンセリング対応オーバーイヤー型Bluetoothヘッドフォンの王者としてのソニーの地位を揺るぎないものにするだろう。いまのところM4に勝る製品は見当たらない。
M4は、多かれ少なかれM3とまったく同じように見え、ヘッドフォンとして目立つデザインではない。Bose Quiet Comfortモデルと比較して、比較的シンプルであるのもポイントが高い。ちなみに、目立ちたかったらSennheiser(ゼンハイザー)かBang & Olufsen(バング&オルフセン)の製品がいいかもしれない。正直なところ、飛行機などでの長距離移動の際はヘッドフォンはあまり派手デザインでないほうがいい。
M4は驚くほど軽い。数年前、ソニーの重役たちと会議をしていたときに初めてM3を試したときもそう感じだが、新しいヘッドフォンはもう少しパッドが入っていて非常に快適だ。オーバーイヤー型のヘッドフォンが苦手な人間の一人としてこの点は非常に重要だ。この記事を書いている4日間の大半をM4と過ごしている。
もちろん、4日間ずっと装着していたわけではない。フォームファクターの性質上、散歩に行ったり、就寝するときに着けるヘッドフォンとしては理想的ではない。特にニューヨークでは最近はとにかく暑いのでオーバーイヤー型は散歩には適さない。一方で、家の騒音をすべて遮断してくれる性能は素晴らしい。新型コロナウイルスの感染蔓延が終息して再び飛行機に乗るようになれば、その飛行体験もM4によって素晴らしいものになるはずだ。M4が3.5mmのヘッドフォンジャックを搭載してくれたことにも感謝したい。飛行機の座席のエンターテインメントシステム用に有線でも繋げられるのだ。
ほぼ途切れることのない使用を実現している別の要素としては、同時に2つのデバイスとペアリング可能であることを挙げられる。これは率直に言って、これは私が最近使っている多くのヘッドフォンの欠点だった。ユーザーが手動でヘッドフォンを選択する必要があったのだ。M4では、専用アプリを使ってスマートフォンとデスクトップトップにM4をペアリングすることで、シームレスに切り替えることができる。実際に使ってみると、その解放感に驚くに違いない。注意したいのは快適な切り替えを実現するには、ペアリングしているデバイスのサウンドレベルを合わせておくことだ。
M4はM3と同様、ジャンルに関係なく音質は優れている。正直なところ、音質は前モデルとかなり似ていてまったく問題はない。個人的にはNuraのヘッドフォンが備える優れたサウンドプロファイルテクノロジーがいまだにトップの座を維持しているが、M4は日常的なヘッドフォンとして優れたオーディオ体験を提供してくれるだろう。
しかし、音質よりやはり一番の目玉は、ソニーが誇る本当に優れたノイズキャンセリング機能だ。このカテゴリーではこれまでボーズに優位性があったが、秘密兵器といえるソニーのM3の登場によりその勢力図が激変した。新モデルのM4では、システム・オン・チップを介して周囲の音を毎秒約700回検知し、積極的にそれを打ち消すように適応させるなど、ノイズキャンセリングをさらに進化させている。また、ノイズキャンセリングオプティマイザーも搭載。これは、ほかの製品のノイズ最適化機能と同じような働きをする。ボタンを押したままにすると、耳にオーディオ信号を送り、密閉度や気圧(主に飛行機用)を測定して、その場所により最適化されたプロファイルを作成する。そして、全体的に素晴らしいオーディオ体験を提供する。
ほかにも便利な機能がたくさんあるが、特定の用途以外では使わないかもしれない。例えば、私はすぐに周囲の音を聞こえやすくする「Speak to Chat」を無効した。素晴らしい機能ではあるのが、一人暮らしの私にとっては、咳をしたり、笑ったり、無意識のうちに音楽に合わせて歌っていることに気付いたりしたときにこの機能が邪魔になるのだ。右耳カップを手で覆うと周囲の音が聞こえるという機能のほうが、私の場合は使いやすい。なお、マイクからヘッドフォンに入ってくる周囲の音は、まだ少し不自然に聞こえるが、十分に効果を得られた。
また、M4が備える位置情報の追跡もオフにしている。正直なところ、私が持っている多くのガジェットが私の位置情報を特定しているからだ。また、よく行く場所に合わせてノイズキャンセリングを調節する機能も備わっているが、私にとってはあまり意味がない。特に最近では自分のアパートを出ることも少ないし、iOS 11以降では隅に位置追跡アイコンが表示されるのが嫌だ。
M4は、GoogleアシスタントとAmazon Alexaを内蔵している。しかし私がヘッドフォンでよく使う機能ではないので、バッテリーを節約するためにそれらの機能をオフにしているが、連続使用可能時間は30時間とうたわれているので、正直言ってそれほど気にする問題ないだろう。さらに、USB-C経由で充電すると約10分で5時間も再生できる。
価格は4万円前後とM3と同価格帯だ。決して安くはないが、この価格帯のワイヤレスオーバーイヤーヘッドフォンでM4以上のものを見つけるのは難しいだろう。
画像クレジット:Brian Heater
[原文へ]
(翻訳:TechCrunch Japan)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/08/21/2020-08-20-sony-wh-1000xm4-headphone-review/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Brian Heater
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