超速湯沸かしからとろ火まで!料理好きも納得の「ジェットボイル ミニモ」【アウトドア銘品図鑑】

こんなに小さいのに驚くほどパワフル! 専用ポットの底にフィンが付いていて炎の様子が見えないのに、湯沸かし時間は2分程度。しかもポットにはネオプレン製のコジーが付いていて、かわいいうえに触れても熱くない。

2003年にアメリカ・OR(アウトドアリテーラー/世界最大級のアウトドア商品展示会)で発表されたジェットボイル(JETBOIL)は、その独創的なスタイルのガスバーナーで世界中のアウトドア好きの度肝を抜いたものです。

ジェットボイルにはフラッシュという最大出力2269kcal/hというモデルもありますが、スタンダードモデルのジップで1134kcal/h、多機能モデルであっても1500kcal/h程度と、決して驚くべき数値ではありません。出力が低くても効率がいいから素早く湯沸かしができる…。そんな夢のようなバーナー&ポットの調理セットですが、もちろん不満もありました。ポットの形と火力で、意外に料理の幅が限られる!

新進ブランドであったジェットボイルも登場して約20年。その間にユーザーの声を反映しつつ研究を続け、2014年に広口ポットでとろ火機能付きの「ミニモ」を発表。「すごいギアだけど、結局キャンプ料理には使いづらそう」と思っていたキャンパーの心をがっちりつかむことに成功したんです。

 

■条件付きですがオールインワン収納

ジェットボイルシリーズは、ポットの中にすべてのパーツと燃料缶を収納できるオールインワンが代名詞。「ミニモ」も、ちょっと癖ありですがまとめて収納できるんです。

標準セットはコジー付きポット、バーナー、ゴトク、ふた、スタビライザー、プラスチックカバー。収納サイズはφ12.7×H15.2cm、重量500g。

全部をポットにまとめると、燃料缶が入りません。ゴトクをポットから取り出し、バーナーと燃料缶を横向きにするとあら不思議、ポットの中にぴったり収まります。オールインワンじゃないの!? とちょっと不満に思えますが、そもそもポットだけで料理ができるし、ゴトクを使うなら必要になる鍋やケトルの中に納めて持っていけばいいわけです。そう考えると結構現実的な収納方法かもしれません。

 

■1年中、繊細な火力調整ができる

市場には、小さくて最大出力2500kcal/hオーバーのバーナーは珍しくありません。「ミニモ」は最大出力1404kcal/hなのに湯沸かし時間はわずか2分20秒! 驚きの低燃費なんです。

バーナー部分を上から見ると、自動着火装置付きで炎口がびっしり。通常のバーナーは汁受けとなるところですが、燃焼に必要な空気を取り入れるためでしょうか大きな穴が空いています。

専用ポットの下には蛇腹状のフィンが付いています。これがフラックスリング。バーナーの炎口は真ん中だけですが、フィンが温められることでポットの底全体が熱を受けられ、効率よく湯を沸かせるというわけです。ジェットボイルの熱効率はなんと80%以上とのこと。ライバルのバーナーより最大出力が低くても素早く湯沸かしできるのは、このためなんですね。

ポットに取り付けられたコジーはネオプレン製で、ポット側面からの放熱を防ぐ効果もあるんです。それに肌に触れてもやけどするほど熱くなりません。これはすごい!

サーモレギュレートテクノロジーを搭載し、-6℃の低温下でも燃焼効率は変わりません。それに火加減を繊細に調整できるので根菜など煮込みが必要な料理にも対応しています。

 

■専用ポットとロッキーカップで沸騰時間は変わる?

「ミニモ」には専用ポット以外のクッカーを使うためにゴトクが付いています。夕食など1食で主菜と副菜、スープを作りたいときに便利ですが、はたしてゴトク+鍋と、フラックスリング付き専用ポットでは目を見張る差はあるのでしょうか?

これが付属のゴトク。脚を回転させて広げ、フチに載せるだけ。結構しっかりはまります。

容量350mlの水を入れたロッキーカップで湯沸かし。2分30秒で沸騰しました。

同じく容量350mlを専用ポットを使って湯沸かししたところ、1分で沸騰。半分以下のスピードで、まさにあっという間です。キャンプではそこまでシビアに燃料計算する必要はありませんが、この実力差を見ると、やはり専用ポットを使いたくなります。

 

■広口ポットは調理しやすく食べやすい!

「ミニモ」の容量は1L。同じ容量の「フラッシュ」はφ10.4cmですが、このミニモはφ12.7cm。2cm以上広口になり、その分高さを4.5cm抑えています。

背が低くなったことでカトラリーを斜めにいれられます。ショートパスタなど小さな食材をすくうのも楽だし、目玉焼き、炒め物のようなフライパン的使い方もしやすくなっています。

丼みたいにガッとつかんでごはんをかき込むこともできなくありませんが、ハンドルを持つ方が安心です。

ふたは湯切り穴が付いていて麺類や野菜の下ゆでも楽々。加熱・冷却が繰り返されると縮むこともあるようですが、ふたを熱湯で温め、熱いままポットにセットして冷えるまで待てば元に戻るそうです。ご安心を。

*  *  *

広口でとろ火も高火力もOK。小さな100g缶で12Lの水を湧かせる省エネ設計なので1〜2泊なら1缶で十分。料理好きのソロ&デュオキャンパーに愛されるのも納得です。ジェットボイルが日本上陸して15年以上経つので、専用燃料缶を手に入れやすいことも購買意欲をそそります!

>> ジェットボイル

<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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