懐中電灯ライターのHATTAです。
今回ご紹介するライトは、米国ストリームライト社の単三電池2本を使用した「JR.F-STOP」です。JR.はジュニアと読みますが、2AAモデルに伝統的に付けられているモデル名です。従来モデルは、リフレクターを使用した古典的なモデルで、癖のない息の長いライトであったと思います。「業務用」として長く愛されるストリームライトらしいモデルでした。今回、このJR.がフォーカスレンズを搭載し、さらに明るさもアップして生まれ変わりました。
注:AAは単三電池なので、2AAは単三電池2本という意味になります
■無段階調整可能なフォーカスレンズ
従来のリフレクターからスライド式のフォーカスレンズに変わりました。スライド幅はおよそ9mm程度。ライト全体の長さからするとわりと動きます。前方に押し出すと光は集光され、スポット光に。逆に手前に引くとワイド光になります。つまり、遠近で見え方の異なる配光になります。この手のフォーカスレンズは他社からも多くリリースされており、代表的なメーカーは、LED LENSERやWALTHERでしょう。
ライトの把持部の直径は19mmと単三電池使用ライトらしい細身なボディ。ヘッドを前方にスライドさせるのも簡単です。スライド自体はヘッド内部のブッシュで調整されていると思います。少しタイトですが、スカスカで勝手に動いてしまうようなモノよりは、はるかに良いと思います。
ヘッドを手前に引いてワイドにする場合は、把持している手の親指でヘッドの先端を押し下げるか、太ももなどに押し付けて戻してやれば片手でも素早くワイド光に切り替えられます。私は割とのこの太ももに押し付けて切り替える癖があります。片手がふさがっている時は特に便利ですよ。
スイッチはフォワードクリッキータイプ。半押しでの間欠点灯も可能。クリック音がするまで押し込むと常時点灯します。おそらくスイッチは古典的なメカニカル。クリックするたびに「カキン!」と小気味よい音を鳴らします。スプリングのテンションは少し高めで、半押しからクリックさせるには、しっかりと押し込む必要があります。つまり、ポケットの中での誤点灯の心配がありません。個人的には、半押しで素早くON/OFFが繰り返せるのがとても好みでした。
誤点灯を防ぐためのロックアウトは、テールスイッチを半回転ほど緩める必要があります。半回転緩めてもOリングを越えないので、浸水の心配もないかと思います。
調光やモード切替はなく、漢のシングルアウトプットです。こういった割り切りが良いですね。余程のことが無い限り2AAのライトで調光の必要性を感じません。最近のLEDは本当に高効率になっているので、250ルーメンではことさらヘッドが熱くなることはありません。ユーザーの使い勝手を考えても、調光やストロボなどの機能は要らないかも知れません。
▲電池の出し入れはテールから
使用電池は単三電池2本。乾電池でもニッケル水素充電池でも使用可能。最近は2AAモデルが新商品で少なくなってきたように思えます。もちろん、エントリーグレードのアイテムとしては今もなお健在ですが、どうしてもルーメン至上主義から脱却できないライト業界において、2AAでは思うような明るさが出せません。その数が少なくなっているようにも思えます。
しかし、業務用として会社から電池の支給があるような場所では、いまだ求められるモデルであると思いますし、平時では入手性に優れた単三電池は、ある意味ストックする必要のない電源とも言えます。
▲ペンサイズ、とは言わないまでもスリムでコンパクト
実際に携帯する場合は、ズボンのポケットやジャケットの内ポケなどになるでしょうか。クリップはベゼルダウンでの収納を想定していますが、実際にはテールダウンで携帯すると思います。クリップは鋼製で、テンションでボディについているので取り外しが可能ですが…とても丈夫。ヘッド側に付け替える際は、爪などを痛めないようご注意ください。
▲一応おまけ的なナイロンホルスターが付属
なんだか寝袋にライトが入っているみたいで可愛いでしょ。ベルトループが付いただけのシンプルなホルスターが付きます。収納する際はテールダウンが想定されています。華美なデザインや材質でないあたりが逆にプロっぽい。
2AAなので、ボディは細身で握りやすい。順手でも逆手でもしっかりと握れます。細身なので一時的に口にくわえてハンズフリーでの作業も可(衛生的にどうだかは、個人の判断に任せます)。
全長が165 mmあるので、脇に挟んでハンズフリーで使うこともできます。入館証や免許書のチェック、書類への書き込みなどする時、ワイドモードで照らせばとても見やすい。また、肩にモール状のエポーレットが付いた制服を着ている方、つまり警察や警備関係の人であれば、クリップをモールに挿して使うこともできます。ちょっと前のお巡りさんの需要では、これがとても大事だったんですよね。
▲ワイドとスポットの違い
照射範囲を自在に調整できるフォーカスレンズらしい配光です。ワイドはかなり広く、近い位置から対象を均一に照らせます。逆にレンズを前方に伸ばせば、鋭い挟角なスポット光になります。シーンに合わせて使い分けられるのが最大の特徴です。
▲ワイドとスポットでルーメン値が違う?
製品の箱書きによると、スポットでは220ルーメン、ワイドでは250ルーメンとなっています。実際に照射すると、たしかにワイドの方が心なしか明るいように感じました。まぁ、ぶっちゃけどちらも250ルーメンって言っても問題なくない?と思える程度の違いですが、律儀に表記してくるあたりがストリームライトですね。
ワイドモードでのビームディスタンスは38m、スポットモードが150m。このサイズのヘッドと可動域を持ったフォーカスレンズで250ルーメンなら至極優秀なスペックです。
アルミ合金ボディ、IPX4の防水性(雨天での利用可)、1mの耐落下衝撃性など、実用性では必要充分なスペック。単三電池使用なので連続点灯では、30分ほどで明るさが半減しますが、そこからダラーっと緩やかに減光しながら6時間後に25ルーメンに至ります。アルカリ電池の場合、一旦電源を切れば、再点灯時は明るさが一時的に戻る特性があります(でも、すぐに落ちます)。間欠点灯で短時間の使用を繰り返す場合、電池の消耗を感じにくい場合もあります。
搭載LEDが以前よりもはるかに高効率なものに載せ替えられているので、燃費はかなり良いと感じるはず。「これから現場でライト使います!」という人にはぜひおすすめしたい1本です。操作が簡単でシンプル、照射範囲を変えられるマルチな配光など、初心者からベテランまで幅広くお薦めできるライトです。(アカリセンター価格:6816円)
<文・写真/HATTA>
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