この夏から、株式会社AILLが開発したAI恋愛ナビゲーションアプリ「Aill (エール)」が、企業間トライアルを経て事前登録を開始した。
社外の出逢いを提供する「Aill」の最大の特徴は、出逢いからお付き合いまでをAIがナビゲートする点だ。
なぜ今このようなアプリが必要なのか、なぜ恋愛において人工知能のアシストが必要なのかーー。代表の豊嶋氏に話を聞いた。
従業員エンゲージメントと恋愛
ーー「Aill」は対個人ではなく、企業の福利厚生サービスとして提供するんですよね。これは従業員の恋愛や結婚が、企業にとって有益なものになるという考えがあるからでしょうか?
豊嶋:従業員の恋愛や結婚は、企業の利益創出につながると考えています。
「従業員エンゲージメント」という言葉をご存知でしょうか。所属する企業に対する自発的な貢献意欲を指す言葉なんですが、これは企業が継続的に成長していくための重要なファクターとされています。
しかし、米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員エンゲージメントに関する調査によると、日本の「熱意あふれる社員」の割合はわずか6%。世界平均の半分にも届いていないんです。
ーーそんなに低いんですね。何が原因なのでしょうか。
豊嶋:私たちは、この一因が「ワークライフシナジー」にあると考えています。タワーズワトソン社「グローバル・ワークフォース・スタディ」など世界の大規模調査でも示されています。つまり、仕事だけではなく、私生活の充実も同じくらい重要だということです。
そして、私生活の充実にはかけがえのないパートナーがキーファクターとなります。恋愛・結婚生活を充実させ、私生活と仕事の好循環を生むことで従業員エンゲージメントを高め、結果として企業の利益につながる、ということです。
ーーではその「恋愛や結婚」は今、日本においてどのような状況にあるのでしょうか。
豊嶋:近年、未婚率の上昇や交際率の低さが叫ばれていますが、その原因として今の20代や30代の人が、恋愛を「コストパフォーマンスで評価」しているという点が挙げられます。
ここには金銭的なコストもありますが、精神的なコストも含まれます。「失敗したくない」「傷つきたくない」という気持ちが優先して恋愛の一歩が踏み出せない、という状況が発生しているんです。
ーーなるほど。最近の傾向としては、マッチングアプリの利用というのもありますよね。
豊嶋:はい、利用者も増えていますね。しかしここにも「安心・安全性」という課題があります。
MMD研究所「マッチングサービス・アプリの利用実態調査」によると、独身者の70%がマッチングサービス未利用であり、約50%が今後の利用にも抵抗を感じています。
誰もが安心してマッチングアプリを利用するためには、安全性を保証したプラットフォームを実現する必要がありますが、不特定多数が在籍している既存サービスでは実現が困難なんです。
AIを活用した恋愛とは
ーー「Aill」ではこれらの問題を解決できるのでしょうか?
豊嶋:はい。「Aill」は福利厚生サービスにすることによって、若者たちが恋愛に積極的になれるような「安心安全な出逢いの場」を提供し、AIによるナビゲーションによって「傷づくこととを最小限に抑制しながらのコミュニケーションアシスト」ができることが特徴です。
ーーAIによるナビゲーションというのは、具体的にどのようなサポートを行うのでしょうか?
豊嶋:3つのナビゲーションによって、関係進展のアシストを行います。
1つ目は「紹介ナビゲーション」。AIが生活サイクルやキャリアプランを軸に、価値観が近く、進展可能性の高い人を紹介します。
2つ目の「会話ナビゲーション」では、AIによってチャットをアシストします。デートに誘うタイミングを伝えたり、距離を縮めるための会話をお手伝いしたり。
そして3つ目は「好感度ナビゲーション」。気になる人の自分に対する好感度をAIが可視化することで、効果的にアプローチできるようになります。
ーーそんなところまでAIがフォローしてくれるんですね。では最後に、これからの時代の恋愛がどのようになっていくか、豊嶋さんの考えを伺えますか。
豊嶋:新型コロナウイルスの影響で変わってしまうことは多いと思います。それでも、人と接すること、コミュニケーションをとること、恋愛すること、家庭をもつことは、止められないことであり、人生に幸せを感じるためには大切なことだと思います。
ただ、これまでのように「とにかく会う」ということはできません。そうなると、「量」を重視してむやみやたらに行動するのではなく、行動の「質」を高めていくことが重要となってきます。
AIを活用して行動の質を高め、行動の量を最小限に抑える。そういう恋愛であればこれからの時代でも受け入れられるんじゃないかな、と。
パートナーと過ごすことで幸福度が高まり、個の幸福度向上が日本活性化につながり、よりよい社会を築いていく。そんな好循環をつくっていきたいです。
- Original:https://techable.jp/archives/135907
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:Techable編集部
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